ここ最近、親交を深めたレヴェッカ=カストゥール=フェルナンデスの取り成しで、「ラスト・ネーム」・・・つまり「家名」を、

「ナグゾスサール」から「オデッセイア」へと改変(あ ら た)めたリリアは、この善き芽出度(め で た)き日に、かの「レヴェッカの妹」なる人物にも知らせようと、

「彼女」が住まう惑星まで一瞬の内に跳躍するのでした。

 

それを・・・そんなレヴェッカの能力を、リリアは―――・・・

 

 

 

リ:(は・・・)レヴィさん、すんげえのな!!

レ:なにがね。

 

リ:いやいや、「侯爵」のマキさんみたく、一瞬で違う―――つか、目的の場所まで辿り着くなんて・・・

  こんな凄え能力持ってんの、あの人達だけじゃなかったんだな!

レ:ヘッヘッヘッ―――(おだ)てても、何も出てきゃあせんよ。

  ほれにのう、こがぁなん、わてらにしてみりゃ朝飯前じゃけんのう♪

 

 

 

当たり前に出来る事を、褒めちぎられのに―――レヴェッカは、本当は余り気を好くしませんでした。

なのに、どう云ったわけか、リリアから同じことをされたにも拘らず、彼女は気を好くしたのです。

 

「同じ事」・・・なのに、この「違い」は一体―――?

 

それは、飾り気のないその態度―――「赤心」あるがまま・・・だったからなのです。

 

 

或る程度、高い地位に就いている者には、その威光を(かさ)に着ようと、()(へつら)ってくる者ばかり・・・

また、そうした者達の心の内は、醜く・・・また卑下たモノであるのには、喩え他人の思考を読み取ってしまう「(つく)(よみ)」を持っていなくても判ってしまうモノだったのです。

 

それでも、そうした者達を懐柔(てなづけ)ようとした裏の背景には、「決め事」をするときには数が多いに越したことはない―――この一語に尽きたからなのです。

 

 

ともあれ、「レヴェッカの妹」が住んでいると云う、惑星・ポルックスに降り立った「姉」と、その「友人」は・・・

 

 

 

第二百四話;双子座(ジ  ェ  ミ  ニ)

 

 

 

リ:うっひゃあ〜〜―――ただっ()ろ!

  ・・・にしても、なにがあるわけでもなさげ〜〜だな。

レ:そりゃそうじゃろw なにせここは、あんないつの「家」じゃけぇのう。

 

リ:・・・「家」?

  ―――てことは、丸々一つの惑星が、レヴィさんの妹さんの「住居」・・・ってことなのかあ?!

  うっわ・・・なんか、すっげえ贅沢―――

レ:ほうかのう、わてにしてみりゃ、不便この上ない事なんじゃが・・・

 

 

 

見渡す限りの平原―――その他には、所々に岩が屹立(きつりつ)し、それ以外には「何もない」惑星・・・

それが、一個人が所有する、「居住施設」だと「姉」は云ったのです。

 

それにしても・・・一つの惑星を、丸々「一個人の住居」とするだなんて―――・・・

以前に、「地球」と云う、リリア自身が住んでいた惑星の実態を知っていただけに、

一つの惑星を、「レヴェッカの妹」と云う一個人が「占有」していると云う事実に、リリアは関心を抱いたのです。

 

 

それにしても―――・・・

「一つの惑星を占有している」と云う事は、事実上その惑星を「支配」していると云う事であり・・・

だとしたら、この惑星に住んでいると云う、「レヴェッカの妹」以外の、他の住人達はどこに・・・?

 

いえ―――そもそも、そうした考え方が間違いなのです。

それと云うのも・・・

 

 

 

リ:それよりさぁ―――他の住人達はどうしたんだ? 他には誰も・・・

レ:カッカッカ―――w ほう云う事かw

  リリアちゃんが、なんであがいな事を云うんか、ようやく判ったわい。

 

  ほうよのぅ・・・リリアちゃんや、わてみたいな―――「サイズ」じゃったら、こがいにただっ広うて、なんもない処が・・・

 

リ:―――は? ちょ・・・ちょっと待て??

  い・・・今なんて―――? 「サイズ」??

  「サイズ」・・・って、あの―――??

レ:ほうよ、「サイズ」っちゅうたら、まんま「大きさ」のことよ。

 

 

 

「〜つて、云う事は・・・もしかしてえ〜?」

そのリリアの疑問は、すぐにも解けました。

 

それと云うのも、明らかに「スケール」が違った「何か」が、自分達がいる地点に落ち・・・

 

 

 

リ:どわあああ〜〜〜っ?!!

  な・・・なんだ?こりゃあ・・・

  あ、あ、あ・・・足ぃ〜〜?!

 

レ:ようやっと来よったかい―――あんまし、客を待たすもんじゃないでぇ。

 

 

 

見るからに、自分達の様な「足」と思われる物体が、天空より落下・・・

いや―――「これ」が一個人のモノならば、移動の為にこの場に下ろしたモノだと云う事になるのですが・・・

 

それを助長するかのように、「姉」からのお叱りの言葉を受けた、「妹」と思われる人物は・・・

 

 

 

リ:い゛っ―――い゛い゛い゛?! か・か・か・・・顔、(でか)っ!!

  ―――つて、コレが同じ人間??

 

 

 

・・・と、初対面の人間からそう云われたモノだから、思わずも「妹」と思われる人物は涙ぐんでしまい・・・

しかし、そうした事を、「姉」であるレヴェッカは―――

 

 

 

レ:泣いたら(こら)えんのんど・・・わての妹じゃったら、泣いたらいけんど―――エリーゼ。

エ:『ほじゃけど〜〜お姉ちゃんやこの人が、うちいぢめるじゃないの〜〜』

 

 

 

明らかにベソを掻いていた―――その人から「エリーゼ」と呼ばれた「妹」は、自分が受けている仕打ちに、泣き言を云っていたのですが、

奇妙に思われたのは、規格外の「サイズ」で、話している事が普通に聞こえていたことに・・・でした。

 

そうしたリリアの疑問を―――

 

 

 

リ:・・・あれ? 普通に聞こえる―――

  身体がこんなに(おおき)いんだから、さぞかし声の方も(おおき)いんだと思えば・・・

 

レ:カッカッカw 拍子抜けか?w

  ほじゃがのう―――こうでもせんと、うるそうてやれんのじゃわい。

  なにせ・・・こんないつの「声」ときたら、「(ささや)き」でも、わてらが話す音量の「大声」に匹敵するけぇのう。

 

リ:(う゛・・・)てぇ〜〜ことは・・・もし、あのまま―――泣かれたりすると・・・?

 

レ:ヒッヒッw 喩えこのわてでも、無事にゃ済まんじゃろうてのう。

  じゃけん、「(こら)え」云うたんよ。

 

  じゃがの、心配せんでええ、おい―――ほならぼちぼち・・・

 

エ:『ほ〜い―――』

 

 

 

身体の大きさが、自分達とは比較にならない程(推定30m)なのに―――発する「声」が、普通に聞こえてくるのは・・・なぜ?

 

実はこれは、「あの原理」と同じ―――

つまり、直接耳に届いているわけではなく、脳の「知覚野」に、「そう」であると働きかける「テレパシー」だったのです。

 

しかし、そうした背景には、やはり姉からの躾があった―――

あのまま、感情にまかせて泣かれた日には、妹の涙腺からあふれる涙や、想像を遙かに超えた破壊力のある声にて、生物や、他の物質でさえも、破壊は(まぬが)れない―――

そんな難問を解決する一つの方法として、「テレパシー」の習得が急がれたのは、そうした背景があったからなのだとリリアも理解したのです。

 

しかし、それはそれで不便なので、レヴェッカはエリーゼに、いつものようにするように促せたのです。

 

そう・・・実は、エリーゼと会話をするのに、「テレパシー」しか方法がないわけではなく・・・

 

 

 

リ:う、うわっ―――? ち・・・縮んで行く―――?

レ:一応のう、他人様と交流するんは、やっぱし「同じサイズ」で「同じ目線」の方がええじゃろ。

  じゃけん―――こんないつには、サイズを自由自在に変えれるようにさせたんよ。

 

エ:初めまして―――うちは、エリーゼ=ポルックス=フェルナンデス云います。

 

リ:(は・・・)てか、縮んでも(でか)っ!!

 

エ:・・・う゛っ―――

  お゛姉ぇ゛ち゛ゃ゛あ゛〜ん゛! この人・・・またうちの事〜〜―――

 

レ:泣かんでええ―――泣かんでええ―――

  リリアちゃんよう、これも仕方がないんよ。

 

  これがこんないつの限界―――オリジナルじゃあ30m位じゃけど、縮んでも3m位にしかならんのんよ。

  そこんところを、判ってくんないや―――

 

 

 

リリアにしても、エリーゼの事を批判したわけではないけれど、豪気な「姉」と違い、涙もろい性分である「妹」はそう取ってしまい、

今度こそ本当に泣き出してしまったのです。

 

けれどそこでは、不思議と「姉」であるレヴェッカは止めに入らなかった・・・

その事は、とどのつまり―――サイズが縮んでしまったことで、破壊性のある危険が無くなってしまった事を示していたのです。

 

 

それにしても、随分と気性の違う「姉妹」が、実は「双子」なのだと気付くのに、そう時間はかからなかったのです。

それと云うのも―――・・・

 

 

 

レ:はあ〜・・・それにしても、こんないつの「泣きびり」だきゃ、いつまで経っても治らんもんよのう―――

  わても、色々手を尽くしとんのじゃが・・・

エ:ゴメンね? おねいちゃん―――

 

レ:ああ〜泣かんの、泣かんの。

  お姉ちゃんはの、そがいなお前でも、可愛いんじゃけん―――

 

  つぅ〜より・・・どしたんリリアちゃん、わてらをマジマジと見て―――

 

リ:え? ああ、いや―――・・・

  見れば見る程「そっくり」なんだけど・・・違うっちゃ違うなぁ〜と、思って・・・

 

レ:カッカッカ―――w そりゃそうじゃろうw

  なにせわてらは、「双子座」宙域を守護する者じゃけんの!

 

 

 

顔は「そっくり」―――けれど、「身長(サ イ ズ)」から「性分」まで違ってはいても、彼女達は「双子座」付近の宙域を守護する存在でもあったのです。

 

而してそれは・・・絶大な権限を有する者の証しであり、「あの人物」と同等の存在でもあることが、次第に明らかとなってくるのです。

 

 

 

 

=続く=

 

 

 

 

あと