全く違う別の性質の「モノ」が、ある時期を以て、一点に「融合」「混合」「集約」する―――
また、そうした性質の存在の事を・・・
第二百五話;アマルガム
―――と云う・・・
而して、「全く違う別の性質のモノ」とは、今まで別々の場所で、展開・・・進行しつつあった出来事―――
しかしながら、その「目的」は「別」ではなく、今ここに、それぞれの思惑が交錯しつつあったのです。
そしてそれは、今や「追われる身」ともなっている、この者達とて同様・・・
「魔女」の一人である「クレシダ」は、過去にあった醜聞が、有名人たちのゴシップを記事に売りモノにしている「タブロイド紙」に載った事もあり、
今では、すっかりとメディアに出演する機会を失っていました。
また「モルドバ」は、自らの「政治活動資金」が、穢れたモノであると云う事を、「後援会」の人間達に知られてしまい、急激にその後ろ盾を失っていました。
「ジルドア」は、自身も「裏社会の掃除人」でしたが、さある依頼によって、今度は自分が「標的」になってしまったことで、日々を怯えながら過ごさなければなりませんでした。
そして「カサンドラ」は、自身が招いてしまった不手際により、さある・・・とんでもない人物から、やはり、その存在を脅かされるようになっていました。
つまり、「七人」いた彼女達の内、実に四人までもが何かしらの事情により、「追われる側」へと追い込まれてしまい、
今では地下へと潜伏して、再び陽の目を見る機会を窺っているのでした。
処変わって・・・惑星クーレのミリヤ邸に、ある「客人」が訪れ・・・
メ:(!)あなたは―――・・・
(・・・)アポイントメントの方は―――
メ:良いのよ、メイ。
この人は私が招いたのだから・・・
しかし、この「客人」こそは、以前に自分達・・・殊の外、自分の主人であるミリヤに苦杯を呑ませたことから、
メイベルにとっては、余りいい印象は映ってはこなかったのです。
けれどミリヤの方は、過去にあった出来事は感情の隅へとしまいこみ、手厚くその「客人」・・・ユリアを出迎えたのです。
そう―――彼女達は、現在のお互いが、「今何をすべきか」を判っていたのです。
だから、形式的な社交辞令のご挨拶は抜きで―――・・・
ユ:早速ですが・・・本題に入らせて頂きたく存じます。
現在わたくし達は、あなた方でも情報を掴んでの様に、「ピース・メイカー」に依頼をし、「七人の魔女」の壊滅を視野に入れています。
しかしながら・・・残念なことに、現在の処は、名前と存在が一致しているのは、下位の「魔女」四人のみ・・・
上位の三人に至っては、未だ名前すら・・・
ミ:「テレジア」「ロクサーヌ」そして「ヴィヴィアン」・・・ようやく私達も、これだけは判ってきました。
それにしても、好き日和に来てくれたモノね。
それと云いますのも、実を云いますと、この三名の名前・・・判明したのは今しがたのことだったのですから・・・ね。
ユ:ウフフフ・・・さすがは―――
では、「サラスヴァティ」様に、篤くお礼を申し上げておいて下さい。
反目し合っているように見えた―――とはしても、所詮それは知恵比べの上での話し・・・
策略と策略を競い合った時、ほんの少し相手が上回っていただけのこと・・・
それに、自分に匹敵する智慧者が、これを機会に手を結びたいと云ってきている・・・
これを無下にあしらってしまうようでは、これ以後、互いが歩み寄る機会は永久に失われてしまうと云うモノ・・・
それに実は―――ミリヤは、ユリアの事を、そんなにまでは嫌ってはいなかったのです。
ミ:それにしても・・・手間が省けたと云うモノですね。
あなたが、彼女達を狙っていると云うワケでなければ、この私が、「ピース・メイカー」に依頼をしていたのでしょうから。
それで・・・彼女には、なんと―――
ユ:「Go ahead」―――・・・
個別に叩いていたのでは意味をなしませんので・・・
しかし彼女達は今頃、わたくし達に報復する機会と手段を話し合っていると思いますので、一つの場所に集まっているはず・・・
ミ:フフフフ―――・・・抜け目がありませんこと・・・
確かに、個別に襲わせていたのでは、費用もかさんで莫迦にはなりませんからね。
それを一度に済ませることができるとあれば、重畳この上ないと云うモノ・・・
ユ:―――・・・
ミ:・・・なにか―――不安でも・・・?
現在のミリヤとユリアは、ある一つの事を成し遂げる為、個別に行動をしていました。
それが、「七人の魔女」の壊滅―――・・・
それを、一度に殲滅する為、程度のダメージを与えておき、いずれ手傷を負った者達が、自分達の報復のために集結するであろう場所を特定し、そこを一気に叩く―――
それにミリヤは、口にこそは出しませんでしたが、自分達「ディーヴァ」も、その為に「ドゥルガー」を・・・
そして指令こそ出してはいないものの、「パールヴァティ」と「RIDEEN」が、「魔女」と接触していた事実を掴んでいたのです。
ところが・・・意外にも、最善を尽くしたと云える策を張り巡らせながらも、ユリアは浮かない表情をしていたので、
その理由を、ミリヤが訊ねてみた処―――・・・
ユ:(・・・)実は、未だ確証までは至ってはいないのですが、「ある噂」を耳に致しまして・・・
ミリヤさん、あなたは、「レヴェッカ」なる人物を御存じではありませんか。
ミ:「レヴェッカ」―――と云えば、広域指定の暴力組織「マシロヒ会」の会長を務めていた・・・までは知ってはいますが・・・
ユ:その「レヴェッカ」なる人物が、宇宙会議の議員でもあった「モルドバ」・・・キャンベル=トラロク=グノーの、裏の政治資金源であったとされた、
麻薬密売組織の壊滅に関与をしていた・・・との情報を、わたくしはここに来るまでに掴む事は出来ました。
ミ:(!!)その件に関しては、「RIDEEN」こと、ビリー=バンデット=マッコイと、「パールヴァティ」であるヘレンが、
やはり、そうした機関の出先ともなっている一つを、潰したとの報告を受けているわ・・・
―――と、なると・・・もしかすると、彼らと「レヴェッカ」との間に、そうした約定が交わされていたのでは・・・
ユ:なるほど、今となっては、そう考えるのが自然な流れの様ですね・・・。
それに、これも不確かなる情報なのではありますが、例の「レヴェッカ」と一緒に、麻薬密売組織の壊滅に関与した人物に・・・
どうやら「天帝の后」の存在が、臭わされているとも―――・・・
「天帝の后」―――その存在を聞いた途端、ミリヤの顔色は一変しました。
そう・・・彼女達は知っているのです。
「不確か」とは云え、その存在が、表沙汰になる「その意味」と云うモノを・・・
「天帝」と云う、最上の存在に「准ずる判断」が出来うる存在―――・・・
それに―――・・・
ミ:なるほど・・・これは貴重な情報ですわね。
ならば、私も出し惜しみはせず、情報を開示したいと思います。
これは、「魔女」達の全容を、「サラスヴァティ」であるジゼルに解明させていた処、偶然入手したモノなのですが・・・
どうやら「レヴェッカ」は、単なる「任侠道を極めた者」ではなさそうなのです。
それに・・・私達は、現在の「魔女」達を、「オリジナル」だと認識してしまっているようですが・・・
先程、あなたが仰っていた、「「天帝の后」と共に行動をしている」―――・・・
だとすると、「あの噂」もやはり・・・
ユ:「あの噂」―――とは・・・?
ミ:あなたも薄々とは感じているかもしれませんが、現在の「魔女」達は、「オリジナル」ではない―――と、云うこと・・・
そして、私達も、その記憶から逸脱しようとしている存在―――・・・
「その」存在の事を、ミリヤが口にすると、ユリアも「それ」がなんであるか、判ってきました。
気の遠くなる様な過去より、消されることなく、また冒されることなく、永遠に証明し続ける「封印されたモノ」・・・
それは、「現在」ではなく、「過去」の・・・それも、「オリジナル」と呼ばれた「七人」が、「呟いて」いたモノ・・・
「魔女たちの呟き最終ログ」―――
それは、厳重・厳正なる管理の下、UPの特別区画に、今も尚・・動かぬ証拠として、存在することだけを赦されていたのです。
=続く=