UPの最下層―――「特別区画」と呼ばれる処に、存在することだけを赦された端末・・・
それは―――過去から現在まで、消されること・・・或いは冒されることさえ許されず、
ただ―――「ある事実」を証明するために、「存在すること」のみが赦されたモノなのです。
それこそが、「魔女達の呟き」と云う、ツイッター・サイトの「最終ログ」・・・
過去の―――現在に措いては、一部の関係者から「オリジナル」と呼ばれている「七人の魔女」・・・
その内の一人、「マーリーン」が世界を混沌の渦に堕そうと画策していた「動かぬ証拠」・・・
けれど、時を隔てた現在、人知れず「魔女」達は復活・・・
いえ―――装いも新たに、「七人」が集い・・・
今後は一人だけではなく、七人全員が宇宙全体の秩序を乱そうとしていたのです。
そうした矢先に、「クレシダ」「モルドバ」「カサンドラ」「ジルドア」の四人は、
自身達の不手際も手伝い、世間にも知られる処となってしまい、地下へと潜伏をして、
自分達をこのように貶めてくれた者達への復讐を画策する為、現在は一箇所に集まって計画を話し合っている処でした。
ク:(ナディア=「クレシダ」)
くっそぉ〜〜あのロリババァ・・・あいつの所為で、私がこんな目に―――
カ:(シェリル=「カサンドラ」)
荒れているようね、ナディア―――
ナ:うっさいわね・・・黙ってなさいよ! シェリル―――
シ:(!)折角、あなたが落ち込んでいるから、励ましてあげようとしてるのに、そんな云い方って・・・
ナ:そりゃどーも!
けど・・・そう云うあんただって、ユリアって奴を襲わせるの・・・失敗しちゃったんでしょ。
シ:そ・・・それは・・・
し、仕方がないでしょ―――彼女があんなにもキレる者だとは、思わなかったし・・・
それを私は、「ロクサーヌ」様から授かったデータを参照にしたと云うのに・・・
ジ:(ヨルダ=「ジルドア」)
よさないか―――今、自分達が云い争った処で、問題の解決にはなりはしない。
モ:(キャンベル=「モルドバ」)
それにしても・・・申し訳の仕様もない不始末をしてしまった・・・。
そうした私達への処分の件なのだが、「テレジア」様から格別のご配慮を頂き、
我々を斯くも貶めてくれた者達を、各個人の裁量の下処罰せよ―――
また、成功した暁には、これまでの不始末を不問に附し、栄誉ある「魔女」の名に連ね続ける事を許可する―――との仰せである。
ナ:フフフ・・・そう云う事―――ならば、私はミリヤと云うロリババァを・・・
シ:では、私はユリアを―――
ヨ:自分は、「ピース・メイカー」を・・・
キ:私は、レヴェッカとその郎党を・・・
やはりその場所では、ミリヤの思惑通り、自分達を貶めてくれた者達への報復を話し合っていた処でした。
「アイドル」である、ナディア=リヘンツェル=プシーキンこと―――「クレシダ」・・・
「某企業秘書」である、シェリル=ナサローク=ドルネーズこと―――「カサンドラ」・・・
「暗殺者」である、ヨルダ=フィヴォルグ=ツヴェルクリンこと―――「ジルドア」・・・
「宇宙会議議員」である、キャンベル=トラロク=グノーこと―――「モルドバ」・・・
この四人は、それぞれが恨みを抱く者達へ、これから自分達なりの趣向を凝らした報復と、一層の結束を誓い合っていた処だったのですが・・・
そうした時に―――・・・
配:すいやせ〜ん―――ここを嗅ぎ回ってる、怪しいヤツを捕まえたんスけど〜〜
自分達が素敵な計画を話し合っている最中に、なんとも気の抜けた口調で、自分達が「隠れ家」としている建物の周辺をうろついている不審な人物を、
この四人の誰かの部下・配下と見られる見張り役が知らせてきた・・・
それでなくとも、当局の眼が光っている事を知っていた彼女達四人は、
自分達を緊張させる不届き者の面を拝む為、またそれと、これからの景気づけにと、
自分達のカリスマでもある、「ヴィヴィアン」に捧げる「供物」とする為、その者を連れてくるよう伝えたのですが・・・
意外な事が、すぐに判明してきたのです。
ナ:それにしても・・・やるじゃない♪ ヨルダ―――
こんなにピリピリしている時でも、見張りを配置しておくだなんて・・・ね♪
ヨ:(ん?)ちょっと待て・・・自分は違うぞ。
自分は・・・てっきり、キャンベル―――あなたが気を利かせたと思っていたが・・・
キ:(?!)そんな事は知らない・・・
それに、シェリル―――この事は、お前も・・・
シ:知らない・・・だとしたら、誰が―――?
すぐに判明してしまった、何者かによる「騙り」・・・
それに彼女達は、その事が判ったとしても、捕まった不審者が「誰」であるのか・・・「騙り」を行った、見張りに扮した者が「誰」なのか・・・見当すらついていませんでした。
そして・・・次第に近づいてくる、「死神」の足音に怯えていた処、その場に現れた三人のうち、一人を・・・彼女達の内の一人は、知っていたのです。
なぜならば―――・・・
ビ:ヘッヘッへ―――お取り込み中の処、スイマセンねぇ。
ナ:はぁ〜? なんだ・・・修道女じゃないの――
ヨ:(・・・!)
(・・・!!)
(・・・!!!)
い・・・いかん―――そ、そいつを入れては・・・
奴は・・・ヤツこそは〜〜!!
第二百七話;依頼の履行
この「隠れ家」に入って来た三人組のうち、二人までは「ある職業」の格好をしている女性でした。
しかし、「ジルドア」であるヨルダは、直近にその内の一人と関わりがあった為、その人物を指摘したのです。
そう・・・「その業界」では、「ピース・メイカー」として知られている、「暗殺者」―――
フ:あなた達の関係性を確認した上で、排除―――
ヘ:あんただけに・・・獲物は渡さないからね!
そして、「隠れ家」に轟く銃声―――
瞬くの間に、四人の「魔女」の内、三人までもが真額を撃ち抜かれ、即死―――
しかし・・・ただ一人、「ジルドア」であるヨルダだけは・・・
ヨ:な・・・っ! なぜ・・・自分だけ・・・
ヘ:フフ〜ン・・・そんなの決まってるでしょ。
あんたは「暗殺者」であって、同時に「賞金首」でもある―――
それを狙う私が、見逃すはずもないでしょ〜う?
ヨ:な・・・っ! では貴様―――「賞金稼ぎ」!!
ヘ:ああ〜〜そうそう、悪いけど、あんたとの関係は、これからもないからww
ただ―――私の財布を潤してくれる、この瞬間だけでいいんだからねぇ〜〜w
「命」の価値を、「金額」で考える者・・・「賞金稼ぎ」―――
そうした存在の不敵な笑いに、自身の命運が完全に断ち切られた事を覚った「ジルドア」・・・
それにしても―――なぜフランソワとビリーとヘレンの三人が、一緒に「魔女」達の隠れ家に・・・?
それには、それなりの理由があったのです。
この前日に、不意に、ビリーとヘレンの下を訪れた、フランソワがいました・・・
ヘ:はぁ〜い・・・誰―――
(!!)あんたは・・・何をしに来たって云うのよ―――
フ:お邪魔させて頂くわね―――
ヘ:あっ・・コラ―――ちょっと待ちなさいよ!!
ビ:あ゛〜〜〜なんだったんだ?
(・・・って)うおっ―――お前は、「ピース・メイカー」!!
フ:あら、お早うビリー。
その反応を見ると、「お愉しみ」の最中だったようね。
ヘ:(〜〜・・・)
か―――関係ないでしょ・・・そんなこと・・・あんたには・・・
それより、何の用なのよ!
来訪者が来た事を報せる「呼び鈴」が鳴り響いたため、急いで扉口に出てみれば―――
なんとそこには、ヘレン自身も知った顔・・・フランソワ=エヴァ=ベアトリーチェの姿が・・・
ヘレン自身と同じ、「グラスゴー修道会」の修道女にして、「暗殺者」・・・「ピース・メイカー」であるフランソワ・・・
その彼女が、自分と相棒の愛の巣に、なぜ突然押し掛けてきたのか・・・
その理由が、今回の襲撃にあったのではないでしょうか―――
優れた「狩人」でもある「ピース・メイカー」は、ここ最近の「魔女」達の動向を探っていた処、
近日中に一箇所に集まる情報を入手しており、またその場所も特定できていた・・・
そしてこの情報を、やはり別経緯で入手していた情報・・・
宇宙会議の議員であるキャンベルの、裏の政治活動資金源と見られていた、「麻薬密売組織」の出先機関の一つを潰した「男女」が、
ビリーとヘレンであると云う事も、知っていた―――・・・
そこでフランソワは、目的を同一にしている者達と一緒に、依頼主の依頼履行の下、
「魔女」達を涅槃へと導いたのです。
=続く=