この度、リリアがレヴェッカによって連れて来られたのは、レヴェッカ自身の「双子の妹」である、「エリーゼ」と云う人物が住んでいる惑星でした。

 

しかも、その惑星で彼女はたったの一人住まい・・・

それと云うのも、普段のエリーゼはとても巨大(推定30m)で、どんなにか調整をしても3mよりかは縮まることがなかったのです。

 

それにもう一つは・・・エリーゼの職業にも、一因があったようで―――・・・

 

 

 

リ:(しっかし・・・にしても(でけ)ぇなぁ・・・)

  それより―――どうした? なんか眠たそーにして・・・

 

レ:ん? なんなら―――また貫徹か。

エ:そうは云うけど〜〜あんましええアイデア出て来んのんよ・・・

  うち、どうしたらええんじゃろか・・・

 

リ:(はあ〜〜性格似てなくても、喋り方は同じなんだ・・・)

  で―――「アイデア出す」・・・って、何? 一体どんな仕事をしてんだよ。

 

レ:正確に云やぁ「ネタ」なんじゃがの・・・

エ:ああ〜〜ん・・・なんか―――こう・・・もう、天から降って地から湧いて出来るような、おもろかしい「ネタ」が転がっとりゃせんもんかねぇ〜〜

 

リ:「おもろかしい」??

 

レ:おお、こんないつの仕事云うたらの、ここいら界隈の宇宙じゃ、大手の出版社から出されとる「月刊誌」の、「漫画家」なんよ。

 

リ:「マンガカ」?? なんだそりゃ―――

レ:それも、「ギャグ」や「コメディ」専門の―――の・・・

  一つ「サンプル」があるけぇ、見てみるか。

 

 

 

なんと、エリーゼこと、PN(ペン・ネーム)「ランカータ」は、周辺宙域では結構名の売れた、人気のある漫画作家だったのです。

しかし・・・「人気を取る」とは辛いモノ―――常に求められるのは「より良い作品」・・・

つまり「良いアイデア」が出なければ、その雑誌を購入する読者層から支持を得られず、やがては連載をしている作品も打ち切りとなってしまう・・・

そんな、まさに「地獄」を地で行くかのような職業だったのです。

 

それに・・・ならば―――と、云う事で、レヴェッカから見せられた、サンプルとしてのエリーゼの作品に目を通したリリアは・・・

 

 

 

リ:(・・・・・・・・)

  ぶわ〜っはっは!w なんだこれ!w こいつバッカじゃね〜の??!w

 

エ:エヘヘヘ・・・そう云って貰えると、なんだか嬉しいわぁ〜♪

 

リ:は? どうして―――・・・

 

レ:それが、こんなぁの努力の賜物じゃけぇよ。

  話しの展開や画の表現で、どれだけ他人を笑わかせる事が出来るか・・・わてにゃ、中々できん芸当よの。

エ:おねいちゃ〜ん♪

 

レ:ほじゃがの・・・そうするまでが大変なんよ―――

  まで、おま・・・締め切りいつなんなら。

 

 

 

エリーゼの描いた作品を目で追い、読んで行く内・・・つい声を出して笑ってしまったリリア。

内容としては、登場人物の天然さが炸裂し、合の手等も入って莫迦莫迦しさこの上ない作品に仕上がっていたのです。

 

けれど・・・こうした作品にするまでに一方ならぬ苦労があるのを、レヴェッカは知っていました。

 

しかも今回は、まさにそのいい例であるとも云えたのですが・・・なんと今回は、殊の外切羽詰まっていたようで―――

それと云うのも、レヴェッカが口にした「締め切り」・・・つまり、「タイム・リミット」「デッド・エンド」と云えるモノが・・・

 

 

 

エ:・・・う゛っ―――ぐ・・・ぐひぐひ・・・

  ど・・・どうしよ〜〜あと36時間しかないんよ〜〜

レ:(・・・)ほで? 仕上がっちょるのは―――

 

エ:―――・・・・

レ:(・・・)まさか・・・「白紙」?

 

エ:―――・・・うん

 

リ:え? なに?? なんか(まず)い事でもあったわけ?

レ:「(まず)い」・・・ちゅうもんじゃない、「アウト」じゃ―――こりゃ・・・

 

リ:そうなの??

 

 

 

つまりは「そう云う事」―――

期限が目の前に迫っていると云うのに、1(ページ)として仕上がっていない作品・・・

しかも、作品としての要であり、命とも云える「アイデア(ネ    タ)」が出ていない状況と云う事は、

短距離走でスタートの合図が出されているにも拘らず、未だスタートラインにも着いていない―――と云う状態・・・

 

その事に、さしものレヴェッカも緊張の度合いを濃くしていく始末―――とあっては、人情深いリリアにとっても、放ってはおけなかったのです。

 

ともかく―――このままではいけない・・・事は良く判ったので、三人とも冷静になって、少しでも状況が好転するように、知恵を絞った処・・・

 

 

 

リ:(とは云ってもなぁ〜〜「冷静になれ」―――って、簡単には云うけど・・・)

 

レ:(〜〜・・・)

  ・・・のう―――おま・・・ええアイデアが出たとして、最短最速で、どの位で仕上げられるんなら。

 

エ:30分もあれば〜〜―――

 

リ:そんなに速えぇの??

  だったら―――あと36時間しかなくても・・・

レ:それがの・・・簡単に出てくりゃ、世話はありゃせんのんじゃ―――

 

  ほなら・・・仕方がないかの―――「Dr」に会いに行くか・・・

 

エ:(・・・)ええ〜〜―――っ?!! あ・・・あの人にぃ〜?!

  い・・・いやよ―――うち・・・あの人の助け借りる位なら〜・・・

レ:そがぁな贅沢云うちょる場合じゃなかろうが!!

  ま―――・・・それに、今回ワレの処に寄ったんは、「アレ」の事もある事じゃしの・・・

 

エ:ああ・・・「アレ」じゃったら、うちは一向に構わんよ?

 

リ:はぁ? あんたら、なに身内でしか通用しない会話をしてんだよ―――今一(いまいち)話しが見えて来ねえじゃねえか。

 

レ:ま・・・云うてみれば、あんないつも、こんなぁの作品の愛読者様じゃけえのw

  これからの話しのネタ作りに、妥協はしてくれんわけよ。

 

  それに・・・わてらと、あんないつとは、付き合いの「永い」ヤツじゃけぇの―――

 

 

 

エリーゼは、描く速度は人並み外れて「速い」―――のですが・・・それまでが「難産」・・・

その為レヴェッカは、予定としていた事―――実はこれが昨今問題となっており、その事の「助言(アドヴァイス)」や対策を話し合う為、「Dr」と呼ばれている人物と会う約束をしていた・・・

その際には、妹のエリーゼや、「とある役職」ともなっているリリアを交えて―――という思惑があったのです。

 

ですがここで思わぬ予定―――例の「Dr」なる人物も、「ランカータ(エ  リ  ー  ゼ)」の描く作品の支持者(フ  ア  ン)であり、

もし「Dr」にネタの提供を受ける場合は、一切の妥協を許されない事を、エリーゼだけではなくレヴェッカも知っていたのです。

 

それにしても・・・「永い」とは―――?

 

 

それよりも、その「Dr」なる人物がいるとされている場所―――

それは・・・

 

 

第二百八話;宇宙総合技術開発研究所(ア      カ      デ      ミ      ー)

 

 

・・・と、呼ばれる場所―――

 

 

 

リ:どっひゃあ〜〜!

  な・な・な・・・なんじゃこりゃあ〜〜!!

  ほ・・・惑星が丸々―――

 

レ:リリアちゃん、こがぁなんで驚いとっちゃ、後がもたんで・・・

  そりゃ、わてらがおった頃にゃ、この惑星一つで―――

 

リ:へえ? レヴィさんここ出身の人?? 見えねえわぁ〜〜

 

レ:他人からは、ようそう云われるわい―――w

  それに、わてだけじゃのうて、こんないつも・・・これから会う「Dr」も・・・それから、ガラちゃんやジルの奴も―――ここの卒業生よのう。

 

リ:・・・はい? 「ガラちゃん」に「ジル」??

  ・・・って―――もしかしなくても・・・

 

エ:ガラティアさんと、ジィルガさんの事ですよぅ〜♪

 

 

 

意外な事実が、実に意外なタイミングで知られることになりました。

 

実はこの場所・・・元は「文化・化(科)学総合研究所」と呼ばれたモノでしたが、

多岐に(わた)る「研究」の門戸を広げて行く内、現在の(かたち)となってしまった・・・

 

それに、前身の「文化・化(科)学総合研究所」の時代に、数多(あ ま た)の傑出した才能の持ち主を輩出しており、

その(なか)に、リリア自身も知る、あのガラティアやジィルガ(それに名前は出てきていないが、あのジョカリーヌも、ここの卒業生である)・・・

そして現在一緒にいる、レヴェッカとエリーゼの姉妹・・・果ては、これから会おうとしている「Dr」なる人物までも・・・

 

しかもまだ驚かされるのには、現在の「アカデミー」は、現在の様に多岐多様に(わた)る研究も相まって、とても惑星一つだけでは手狭になってしまい、

ならば―――・・・と、云う事で、ガラティアやジィルガもよく使っている、違う次元と次元とを「同調(リ ン ク)」させ、往来を可能とした「多次元同調装置」が使用されていたのです。

 

 

閑話休題(そ れ は そ う と)―――本題の「Dr」なる人物を探すこととなるのですが・・・

 

 

 

レ:ヤレヤレ―――そうは云うてものう・・・このクソ広い処で、(ひと)一人(ひとり)を見つける〜ちゅうのも、また草臥(く た び)れる話しよのう。

リ:ハハハ・・・判るわ、その気持ち―――

  私も、空中庭園でジョカリーヌさん探せ〜つったら、流石にバスだわ。

 

 

 

そう・・・つまりは、予定の時間より早く来ていたので、「Dr」も出迎えには来ていないだろう―――と、そうした時に、

惑星一つ・・・果てまたは、無限にリンクしている空間を探し尽す―――と云うのは、無理らしからぬ話でもあったのです。

(しかもその苦労は、リリアも判っていた。)

 

とは云っても・・・エリーゼにしてみれば、刻一刻と締め切りが差し迫っている事であり、(なか)ば偶然を期待して「Dr」を探していた処―――・・・

 

 

 

リ:(・・・ん?)―――なんだ?お前・・・

 

 

 

一見すると、兎の様な長い耳―――前髪が鼻先まで垂れ、目が隠れて(よう)として表情が読み取り(にく)い・・・

しかも、背丈の方もレヴェッカといい勝負―――これまた小さな存在が、リリアの後を()いてきたのです。

 

それにしても・・・リリアにしてみれば、これで「三度目」―――

しのやたまもに続き、この謎の「生物」・・・

よくよく自分には、不思議な「(えにし)」があるモノだ―――と、(さなが)ら感心したモノだったのです。

 

 

 

 

=続く=

 

 

 

 

あと