突如、失踪したはずの友が戻ってきた―――
それが「どうして」なのかは、市子には判りませんでしたが、
ただ、今は戻ってきてくれた事のみを喜ばずにはいられませんでした。
そして、その事を、今ではリリアの善き智嚢ともなっている、たまもにも知らせた処・・・
リ:ニッヒヒ〜w よ!帰って来たぜ♪
どうしたよ、余りの感激で声も出やしねえってか?w
た:全く・・・この莫迦めが、今更のこのこと帰って来おってからに。
そ・・・それは別としてじゃな―――なんじゃい、この二人は・・・
余りにもの突然の帰還に、驚いて声も出ないたまも・・・
それに、戻ってきた相棒の側には、この辺りではあまり見かけない二人・・・
それでいて、全く対照的な二人・・・
一人は―――現在のたまもと同じくらいの背丈(約130cm)の、頭部から何やら兎の耳みたいなモノを生やした、まるで小動物のような存在・・・
そしてもう一人は―――余りにもの巨きさに、つい見上げてしまうかのような女性・・・
そのことについて、二人の出自について問おうとした処―――・・・
ル:やれ めずらし―――このような るえんのちにて 「仙孤族」のまつえいたるや いますかるなりにけり
リ:な・・・なに?? 「センコ」?? なんだそりゃ・・・
ル:そのいちぞくなるは 「ギョクソウ」なる わくせいのじゅうにんなり
それが あるきっかけをして そのわくせいがほろびたおり すべからくかくれて しまわれたものと かんがえられておりましたものを・・・
それを このしゅが このるえんのちにて そんせらるるは まことにしてぎょうこう―――ありがたし・・・
た:(〜〜・・・)何を云うておるやらさっぱりじゃが、わしはこの惑星で産まれた者ぞい。
それに―――・・・わしにも判らん言葉で、喋くるでわないわ・・・。
ル:さはいえども・・・これがうまれついたものゆえ かえがたきものなりにけり
エ:まあ〜まあ〜〜ルーちゃんも、おちびちゃんも、喧嘩せんと仲良う―――ね?
ル:そういうおまえさんは ネタはあつめられしかば・・・
エ:う゛ぎ・・・まだですぅ〜〜・・・
『いちおう ねんはおせしが あのゆるい「編集長」も それでもげんどは あるモノとこころえよ』
そう、小動物は云うと、巨きい女性は、いかばかりか小さく返事を返すのみ・・・なのでした。
それにしても、あの「たまも」も、別の惑星からの飛来種ではないか・・・と、云う疑いに、リリアや市子は今更ながらに思う処となるのですが、
それが、たまも本人も、その事が判らないと云うのは・・・?
しかしそれは、先程のルーシアの言葉にもあったように、たまも自身が地球へと難を逃れる為に飛来してきた者の、「末裔」だとすれば・・・?
それに・・・今にして思えば、ジョカリーヌは、その事をどこか判っているようでもあった―――・・・
過去・・・初めて会ったにも拘らず、すぐにたまもの正体を看破したのも、あるいは・・・
すると、急にその事で思い出したかのように、リリアは―――・・・
リ:あっ、そーだそーだ、すっかりと忘れてた・・・
取り敢えずはジョカリーヌさんの処に行っとかなきゃあな。
た:おお、それよそれ―――お主がいなくなってしまった所為で、すっかりと人前に姿を見せなくなってしまっての・・・
その、たまもからの真実の吐露に、流石に悠長な事はやっていられない―――と、感じたリリアは、
「すぐにでもシャクラディアへと行くべきだ」と主張したのですが・・・
ル:さにあらじ―――そのようなさじは いつでもかなうなり
なればこそ いまごじんがなさねばならぬことを なさねばなりますまい
リ:な・・・なんだよ〜〜なさねばならぬことを〜?なさねば??ならない・・・って―――ナニ云ってんのか、ますます判らん・・・
ル:きけば このくにをすべしものは いかばかりかのかいふくを みせてはおりますまい
なれば いまはそのかわりのものが つとめておるはず・・・とはいうモノの 「最高意思の決定」までは なされておらぬモノとみゆるかし
それにあやまたざりにけり―――
なんとも、気の利きすぎている事を、申し述べる者もいたモノだ―――と、たまもは感心しきりになるのでした。
未だ、このテラ国が、災害からの復興への進捗度合いが初期段階だと云うのも、
最終的に判断・・・つまり、「最高意思決定」が出来る者が、不在であると云う事を看破ていたのです。
では、ならば・・・その役目は誰がするモノかと云えば―――
リ:へ? 私?? なんでやねん―――!
エ:いや〜〜だって、リリアさん未だ―――げふぅ!!
リ:おわっ! な、なんだあ??
ル:さきほど ちゃみせで くらひしかしにでも あたったのでありませう―――
第二百十五話;いや・・・つか、あんた今、確実に肘入れたろ―――
エリーゼがふと何かを云おうとした処、そこから先の事を云わせようとしない為に、ルーシアが妨害の手段を講じてきました。
それにしても・・・一体何を云おうとしていたのか―――そこは気にはなってくる処でしたが、
自分の身に降りかかった不幸を幸いに、云いネタでも浮かび上がってきたのか、「ネタ帳」に書き込みをするエリーゼ。
そして・・・リリアからの注意が逸れた処で―――
ル:かるがるしきものは ながいきできぬと いいたまへけるを―――
エ:てへへ〜〜・・・ごみんなしゃい
一連を通してのこの会話は、成り立っていないのではなく、寧ろ「ある事」が継続中である事を示唆してもいたのです。
そして、ルーシアとエリーゼの二人が、この場にこうしているのも、まさにその為・・・
以前に口外していた事は、実は「建前」である事が判るのです。
それはそうと―――ノーブリックで療養中の、ソフィアを見舞った処・・・
リ:ようソフィア―――元気してたか?!
ソ:(・・・)リリア―――・・・?
あなた、本当にリリアなの?
リ:あったぼうよ! 足もちゃんと付いてるぜ?!w
ソ:もう・・・心配ばかりかけて―――
でも・・・本当に良かった・・・
リ:(・・・)おいおい―――なんだよ、らしくないじゃねえか・・・
「いつもは、もっとこう―――・・・」そうリリアが云い掛けようとした処、次の言葉が出てきませんでした。
療養中とは云え、少しやつれたような感じのするテラ国女王・・・
自分の不在が、そんなにまで負担になってしまっていたのかとさえ思ったリリアは、
「最高意思決定」の手前で止められている案件に、「Goサイン」を出す事の許可をソフィアに願い出たのです。
すると―――・・・
ソ:そう云って貰えるとありがたいわ・・けど―――・・・
リ:心配すんなってw
私だってこう見えて、ここ最近何もしてなかったわけじゃねえんだしぃ〜w
そう云うと、山のように積み上げられた、決裁待ちの書類が・・・まるで激流の様に―――
苦もなく・・・また味気なく・・・果ては、書類に目を通しているかさえ疑わしい速度で片づけて行くリリアを見て、ソフィアは宛らに驚嘆したモノだったのです。
そして、どこでそんな技術を身に付けたのか―――と、問いかけると・・・
リ:はあ? べえっつに―――大したことじゃねえよ・・・と。
それに、大体・・・無理矢理付き合わされた事もあってな―――
無理強いをさせられたから、ここまでの事が出来るのだと云う・・・
けれど「無理強い」・・・それは、自分が知っている幼馴染は、そうした事に強く反発してきたモノだったのに―――と、ソフィアは思うのでしたが、
次第に、自分以上の政務能力がある処を見せつけられて、以前から思っていたこと・・・「国権の譲渡」が再び、頭を持ち上げてきたのです。
ともあれ―――その日、一日がかりで総ての「最高意思決定」を終わらせたリリアは・・・
リ:はあ゛あ゛〜〜終わったぁ〜〜!!
さて・・・次は―――ジョカリーヌさんと・・・こ・・・(〜zzz)
ル:むりをせず そこに おほとのごもりせしかば―――
ソ:(!)あ・・・あなた達は―――いつの間に?!
ル:わっちらは いはずもがな 「陰より見護りし者」―――
それにしても・・・フフ―――「大したことではない」とは・・・な
げにも ゆかしきごじんよ
エ:ルーちゃん・・・そろそろ・・・
ル:ほむ むべなるかな
ソ:あの・・・なにか?
ル:(・・・)フッ―――そのごじんの ことばをかるるなれば 「大したこと」ではない
こちらのじじょう・・・「身の回りの整理」―――と、いいけるを
疲れ切った身体をそのままに、次にジョカリーヌのいるシャクラディア城へと急ごうとしていた矢先に、急に眠りこけてしまうリリア・・・
しかし、それと同時に、一体いつからそこへいたのか、対照的な二人が姿を露わした事に、ソフィアは驚くのでしたが、
よく見れば・・・昼間、リリアの供として一緒にいたのを思い出したのです。
そして、上背の巨きい女性が、小動物に何かを促せると、これまた二人して何処へかと出かけて行ったのです・・・
その翌日―――パライソ国シャクラディア城では、ある重要案件が持ち上がっていた処でした。
しかも、その「重要案件」こそ、ここ最近、被害が各地で取り沙汰されている、件の「メイトリアーク」・・・
その一部が、南の大陸・エクステナーにて討伐された・・・との報告なのでした。
しかし、その事実の確認に、テラ国へと問い合わせた処―――前日には、そのような指令は出されていない・・・とのこと、
ならば誰が・・・?
その事は、余人の知れる処とはなり得なかったのです。
=続く=