某日未明・・・何者かに襲われた「メイトリアーク」と思われる構成員達。

それは、エクステナー大陸南西部「ガルボラーナ」で起きた、少し珍妙な出来事でした。

 

では、何が「珍妙」なのかと云うと―――

現場の至る所で確認された、「人のそれ」にしては、いかばかりか(おお)き過ぎる「手型」に「足型」・・・

つまりは、「それ」がメイトリアーク達を退治した、直接の原因だったからなのです。

 

その報告に目を通したパライソ国の「総統」であるミトラは・・・

 

 

 

ミ:(なんとも不思議な報告の仕様をするモノだ・・・。

  第一、現在「巨人族」は、北方の大陸「エグゼビア」の・・・それも、或る一地域にしか居住権を得てはいないはずなのに・・・。)

  ・・・ひょっとすると、「不法入星」か?!

 

  だが―――私がこんな事で思い悩むより、あの方に直接聞いた方が早いのだが・・・

  思い切って、訊いてみるのも手の一つか・・・

 

 

 

自分くらいの身長(ミトラ自身の自己申告によると、彼女は180cm)の人間を、そのまま押し潰すのには、「それ」そのモノが(おお)きくなければならない・・・

それに、それ程(おお)きなモノを身体的特徴に持つ存在は、地球上でも限られた特定の場所にしか居住権を得てはおらず、

それ以外の場所で、そうした存在の確認を示唆されたのでは、またしても許可を得ずに地球へと降下してきた不心得者がいるのではないか・・・と云う憶測まで出てくるのです。

 

しかしそこで、ミトラが思い悩んでしまうよりも、そうした事に詳しいジョカリーヌに聞いてみればすぐにでも判るのですが・・・

今は叶わないかもしれないけれど、一応は報告はしておこう―――とはしていたようです。

 

 

処一方で場面は変わり・・・「ハラフワティ」艦内では、また新たな情報を入手したユリアが、

まさにその事についての協議を開いていたのです。

 

 

 

ユ:皆様・・・たった今入手した情報によりますと、「メイトリアーク」の一部のパーティが掃討されたようです。

ミ:ああ・・・そのほとんどを「カメレーナ」で構成されていると云う、あの・・・

  けれどそれは、特に珍しくは―――

 

ユ:わたくしが注目しているのは、「そのされ方」に・・・です。

ミ:(・・・)どう云う事なのかしら―――

 

ユ:この報告によりますと、掃討された連中・・・巨大な手や足と見られる物体で、押し潰されている・・・と。

イ:(?!)しかしそれは―――私の国である「トロイア」の北東部・・・「スルト」に居住権を得ている巨人族の事なのでは・・・

 

ミ:(・・・)それもどうやらちがうようね―――だとしたら、考えられる事はただ一つ・・・

ユ:はい・・・。

  現在、「彼女」の護衛を務めておられると云うのは、少なくとも・・・『破壊神(ジャグワーノート)』である・・・と、云う事のようですね。

 

ミ:フ・フ―――・・・だとしたら、相当についていなかったわね、その連中・・・

メ:―――と、申されますと・・・?

 

ミ:メイ、あなたも強さを求めると云うのなら、知っておくといいわ。

  「最強」の条件と云うモノを・・・。

 

 

 

「最強の条件」―――その一つを、ミリヤは説明し始めました。

 

「最強」・・・それは、武術・武芸百般に通じ、頂点を極めた者の事―――

「最強」・・・それは、向かう処敵は皆無で、敗れた事のない者の事―――

「最強」・・・それは、恵まれた体躯の持ち主が、恵まれた環境の下で練磨し、上記の二つを兼ね備えてしまった者の事―――

 

そして、今回の一件を起こしてしまった者は、紛れもなく後者であったこと・・・

恵まれ過ぎた体格であったが故に、「普通」の所作が「必殺技」になってしまう・・・

それは、産まれ持った天性―――「天賦の才」・・・

そうした「武の長者」が、現在「ある人物」の護衛として、「陰より見護っている」と云う・・・

 

すると、彼女達は―――・・・まるで示し合わせているかのように、地球への帰路を第一優先にするのでした。

 

 

その一方で、ノーブリック城では・・・

少し遅めの「お目覚め」をした、リリアが―――

 

 

 

リ:ふわぁ・・・あぁ〜〜あ!

  (〜・・・)む゛〜〜・・・

  (・・・)あ゛?! も・・・もうこんな時間?? やあっべ―――

 

 

 

寝惚け眼で外を見てみると、もう既にかなり高い位置に太陽が昇っている事が判り、大慌てで跳び起きたモノでしたが、

そこには誰一人として苦言を呈する者などいなかったのです。

 

いえ・・・それより寧ろ―――・・・

 

 

 

た:おう、もう起きたのか、もう少し休んでおればよいぞ。

市:あ、リリアさん、お早うございます。

  昨日は遅くまで大変でしたね。

ギ:リリア様、今は御無理を為されずとも―――・・・

ソ:リリア・・・今回は本当にありがとう―――

  私もすぐに良くなって、あなたに負けないように頑張らないと・・・ね。

 

 

 

第二百十六話;なんか変・・・いや、これは大分(だ い ぶ)―――

 

 

 

以前ならば、こんなに遅く起床した自分を煩く注意してきた連中が、今回ばかりは(こぞ)ってお咎めなし―――

それに大体、こうした背景には何かがある・・・と、思っていたら、案の定―――

 

 

 

エ:あっ、リリアさ〜ん、おっ早よ〜♪

リ:ああ・・・(ん?)

  あんた・・・その手・・・

 

エ:え? ああ―――これ?

  ちょっとね〜〜壁を這い寄った虫を潰そう思いよったら、力の加減を忘れてしもうてね〜〜w

 

 

 

笑いながら、絆創膏だらけの右手を見せて、程度の云い訳をしだす、身長の(おお)きい女性―――

しかし、生来から嘘を看破(み や ぶ)ることに長けていたリリアは、疑惑の眼差しを向けると―――・・・

 

 

 

エ:え〜〜・・・エへへ・・・

  ちょ〜っち散歩・・・

 

リ:ちょっと待てよ、くらぁ―――

  あんた・・・なんか私に隠してんな?

 

エ:な、な・・・なんにもないよ〜〜疑りすきだってばさぁ〜〜

 

リ:(・・・)ダヨナ〜〜w

  ・・・で? なんで私と目ぇ合わせられねえんだ??

 

エ:(〜〜)る゛〜ぢゃ゛あ゛〜ん゛! だ〜じ〜げ〜で〜〜!

 

ル:ヤレヤレ・・・このうつけめが―――

  ときにごじん こたびのところは 「何もなかった」ことにして まほしかば

 

リ:(!)そうかよ・・・ま、結局のところ、あんたらとは「他人同士」だしな―――

 

 

 

殊の外早くバレてしまったエリーゼの嘘・・・

しかし、ルーシアからは「今回の処は何もなかった」そう云う事にしてくれないか―――と、云われ、

そこの処は、自分の仲間達の様な「絆」を発生させていないことに気付いたリリアは、それ以上深く追求することを止めてしまったのです。

 

 

それはともかくとして・・・順延となってしまっていた、シャクラディア城訪問を決行するに至り―――

 

 

 

リ:さぁ〜て、と・・・そろそろ行くとしようぜ―――

ル:ほむ がへんぜり(まかせて 頂きましょう)―――

 

 

 

ルーシアが持ち込んだ装置を使い、一瞬にしてシャクラディア城へと着いたリリア達。

 

それに、アポイントメントを取っていないとは云え、非公式に訪れた者が、ここ最近「大皇(おおきみ)」の元気を失わせている原因である事を知っていた総統・ミトラは、

急遽その事の報告を、自ら「大皇(おおきみ)」に奏上をしてみた処―――・・・

 

 

 

ジ:(・・・)え? リリアが―――? 本当に・・・?!

 

 

 

その報告以前には、返事すらして貰えなかったモノなのに・・・

その報告を聞いた途端に、迅速に行動に移す「大皇(おおきみ)」―――

 

なにはともあれ、「反応(リアクション)」があった事は、それはそれで良かったのでしたが―――

反面、どこか妬けてくる気持ちを芽生えさせても来た・・・

けれども同時にその事は、ジョカリーヌがリリアの事をどれだけ手塩にかけて来たのかが、ミトラにも判ってきたのです。

 

それが・・・あの時―――・・・

リリアが謎の失踪をしてしまった時、ジョカリーヌは元気を失くしてしまった・・・

しかも、リリアの「それ」は、単なる失踪ではない事を、ミトラは感じていました。

 

けれど・・・感じてはいても、その事は口外してはならない事を、理解もしていたのです。

 

 

そして・・・彼女(リ リ ア)は戻ってきた―――

だからこそ形振(な り ふ)り構わず、対面を果たしたモノでしたが―――・・・

 

同時に、リリアと一緒にいる二人の人物を目にするに至り、

ジョカリーヌは、現在、宇宙で何が進行しつつあるのかを思い知らされたのです。

 

 

 

 

=続く=

 

 

 

 

あと