足下には地割れ・・・遥か遠くの、背後にあった大岩も、地割れの影響にて崩落してしまった・・・

そして、よく見てみれば―――目の前には、自分の悪口を云われ、怒り心頭となってしまっていた、身体の(おおき)い女性が・・・

 

しかもよく聞いてみると―――・・・

 

 

 

エ:あんたちら〜〜こらえんのじゃけえね! ぶち泣かしちゃるまで、こらえんのじゃけえね!!

 

 

 

感情の抑制も儘ならず、他からの言葉にも耳を貸さない―――

おまけに、例の大震災の如くの事象を、一個人レベルで発してしまっている事に、

何か別の方法でも立てなければ、この事態は収まらないモノと思い、

渋る「平家星」を(なだ)め、「源氏星」は一旦退く事にしたのです。

 

こうして・・・襲撃者は去りましたが、それによってまた新たな問題が浮上し、

そのことによってリリアに問い詰められるエリーゼとルーシアは・・・

 

 

 

エ:あ゛〜〜っ! もうっ!! うちが一番気にしよる事を゛〜〜っ!!

 

ル:ほむ・・・それはさておき―――

  なれど うつつ()こちらがあしにけり(こちらの都合が悪くなっておるのではないかな)

 

エ:ほえ? ありゃどしたんリリアさん―――どこか機嫌でも悪いん?

 

リ:ほ・ほお〜〜ニブそーなあんたでも判んのか・・・

  じゃあ聞くけどなぁ! 私が未だに、あいつの「后」―――って、どー云う事なんだよ!!

 

エ:え・・・?

  あ―――・・・

 

リ:ん〜だあ?その(ツラ)ぁ―――最初っから知ってました〜って(ツラ)だな。

 

エ:え゛え゛え゛・・・あ゛あ゛あ゛・・・

  る゛〜ぢゃ゛あ゛〜ん! ど〜〜しよ〜〜

 

 

 

不用意に発信されてしまった、襲撃者(あ ち ら)側からのメッセージを受け取ったリリアは、今まさに、その事についてエリーゼやルーシアを詰問していました。

 

それに・・・どうやら、「知らなかった」のは自分だけ―――・・・

コトの重要性も然ることながら、当人である自分にも内緒で進行しつつある事態に、リリアは憤りを隠しきれず、

その矛先を、先程見事な無双を披露した人物に向け、半ベソを掻かせてしまっていたのです。

 

それに・・・どうやらエリーゼの方も、返答するのに窮してしまい、ルーシアに救いの舟を求めてみた処・・・

 

 

 

ル:ヤレヤレ―――まことせしかば(本 来 な ら ば) おまえさんに しられずのうちに ことを なさせしめたかった なりにけり―――

  されども こうも うるせしべからざらんや(巧 く 行 き ま せ ん と は な)―――w

  さりとて いかでか(ど う し て) がへんぜりか(未だに「そう」であるといえまするのか)―――げなりとていえますまい(判 ら な い で も な い 事 で し ょ う)

 

リ:(・・・)フン―――大方(おおかた)、あいつのことを「生け好かねえ」って思ってる連中のする事だろうよ。

 

ル:フッ―――フフフ・・・さなりとて・・・ではありなれど をかしきことをいうものなりけり(興 味 深 い 事 を 云 う モ ノ で す か な)

  いかにも 「天帝」を「好かぬ」と おぼはまほしむやから(思 っ て い る 連 中) は すくなからずや このうつせみの(こ の 世 界 の) なかばは(半 分 は) がへんぜりなり(「そう」であると云えますかな)

 

  なればこそ―――こたびは さなるやからが さはぎたちにけり(一 斉 に 蜂 起 し た)―――と おぼはまほしかば(思いたいところなのですが) さなりとてがへんぜずなり(実 は そ う で は あ り ま せ ん)

 

  なれば たれが・・・

 

  をとにきかまほしかば(耳 に し た 事 が な け れ ば) これからわっちが まうすことこそが こたびの ふたほがみ(黒     幕) なりにけり

  すなはち―――「七人の魔女(セヴン ・ シスターズ)」なり・・・

 

リ:「七人の」―――? こんなくっだらねえ事考えてるのが、七人もいるのかよ・・・。

 

ル:ほむ―――さなりとて しちにんにはあやまたじ・・・なれど ほっせしむことは(そ の 野 望 は) なかばにてくじけにけり

  さすれば そのしちにんのうちにて げにもよにんが かくれたまひけるを(既に死んでおると聞いております)

 

リ:ん〜だあ?? いきなり・・・半分以下に減っちゃってるじゃないの!?

 

ル:フ・フ・・・されども おもきをなするが のちのさんにん・・・と くれば?

 

リ:(!!)じゃあ―――・・・

 

ル:さりとて 「后」どのに みゆきたまいしかば(お 越 し い た だ い た の は) かのものたちを つりださんがための レヴェッカのさく なりにけり

  されども・・・をこがましけるものにて(脳 み そ の た ら ん 奴 の 所 為 で) すべてがあやなしにけるを(全部が台無しになってしまったわけなのですよ)

 

 

 

並みならぬ知能の持ち主、「Dr」によって、今回レヴェッカが構想に描いていた策略が、露わとなってきました。

 

そう・・・つまり、極上の囮と云える「天帝の后」―――リリアを、「春禺宮」より連れ出し、

この極上の(エサ)に喰らいついた獲物を、一網打尽・・・(つい)には、黒幕まで暴きだそう―――と、云うのでしたが、

余り賢くない輩から漏れてしまった一言にて、この策は瓦解・・・

ならば、早急に「春禺宮」まで戻り、改めての策を立て直す必要性があるものと、そう思われていたのですが・・・

 

 

 

リ:はあ〜あ、そう云う事なのかよ・・・レヴィさんが考えてた事なら、またあそこに戻ることになるのか・・・

  なんだかよ、たまや市子の顔を見れたと思ったら、すぐに別れることになるなんて・・・な―――

 

エ:リリアさぁ〜ん・・・ぐひぐひ・・・な゛ん゛だが、可哀相すぎまず〜〜

 

 

 

気が合った人の策略―――総ては、「七人の魔女(セヴン ・ シスターズ)」と云う、昨今世間を騒がせている連中を燻りだす為に、自分を使われた事が判り、

そこの処は一定の理解を示したモノの、元々の仲間である市子やたまも、蓮也やしのとの別離(わ か れ)を惜しんだのでした。

 

しかし・・・ここで忘れてならないのは、「Dr」なる存在・・・

そう、確かにレヴェッカが講じていた策は、「ここまで」・・・でしたが、ルーシアはまだ更に先を睨んでいたのでした。

 

 

 

ル:ほむ・・・なれば いますこしばかり とどまりてまほしかば(留 ま っ て み ま す か な)

 

リ:へ? 出来んの? そんなこと―――

 

ル:ほ・ほ・ほ―――なに わっちが ここへとまいらせるるは そものことがあるるかしなり(そもそもの目的が あるからなのですよ)

 

リ:「そもそもの目的」・・・? ―――ってなによ、私の護衛・・・とか、この人のお守・・・とか、そんなんじゃないわけ??

 

ル:まあ―――それもがへんぜりなり(それも一つには ありまするが)

  さりとて このわっちの「そものこと」・・・はやむかしのことと なりにけるを

  うせものさがしにてさふらふ(失せ物を 探しておるのですよ)―――

 

 

 

第二百十九話;探し物は何ですか

 

 

 

てっきり、「天帝の后」である自分を護衛する―――だとか、中々上がらない原稿を描く、漫画家の尻をひっぱたく役割―――だとか・・・

そうとばかり思っていたら、実はルーシアには、明確なる「ある目的」が存在していたのです。

 

では、その「ある目的」とは・・・

 

どうやら昔に、失くしてしまった物が、この地球に存在する―――のではないか・・・と、云う事なのです。

 

それにしても、いつ失くしたかも判らない物が、どうして・・・なぜ地球にある事が判ったのでしょうか。

 

それは・・・ルーシアが失くしてしまった物―――それ「そのもの」と云うのが・・・

 

 

 

ル:『ノヴァ・ハーツ』・・・うまれいでしとうじ(開 発 さ れ た 当 時) 「倫理院」のものどもに めをつけられし それにて すつらせしむなり(放棄させられる羽目に なってしまったのですよ)

  なれど・・・いまにしておもへば こころのこりなりしかばまし(惜しい事をしたモノよ・・・と、思いましてな)

 

リ:「のぶ・はーつ」?? なんだ、そりゃ―――

 

ル:『ノヴァ・ハーツ』―――わっちが 400まんねんもまえに おぼえしか(発 明 し た) 「戦闘・防衛システム」のことなり

  これを このよにてはなてば よのきんこうがくずされむと きぐされし めづらしきわざものなりけるを(素晴らしい逸材 なのですよ)

 

リ:ふぅ〜ん・・・で、なんで手放したりしちゃったんだ?

 

ル:・・・これにて 「天帝」を かくせりしかば(抹殺することができたらば)―――?

 

リ:良いんじゃね?w それww

  私なら歓迎するけどなぁw

 

ル:さは おなじくして このよがうせる―――と なれば?

 

リ:(〜・・・)そりゃ(まず)いわ―――

  それじゃ、なんで??

 

ル:わっちも 「あるいは」・・・と おぼわばまほしけれ なにやら なにがしかむの いたづらにてかし(密告がありましたようでしてね)・・・

 

リ:(!!)それが―――「七人の魔女(セヴン ・ シスターズ)」・・・

 

ル:さにあらじ(そうではないのですがな)―――さりとて ありしひのきろくによれば(当時の記録から 換算すれば) なにやら「ここに」ぞとおもふべけれ(どうやら ここではないかと 思うのですよ)

  ゆえに わっちみずからが いでたまひしかば なかなかにて むつかしきことなり

 

 

 

果たして・・・ルーシアが遙か過去に失くした物とは、「ノヴァ・ハーツ」なのでした。

 

けれどもそれは、記憶の彼方に埋もれ、誰の記憶にも残っていないモノだったのですが・・・

もしそれが本当ならば、私達は、「それ」に該当する「たった一つ」を知っているはず・・・

 

けれど、「Odysseia(こ の お 話 し)」となってからは、一度たりとして出演()てこなかった「彼女」が、

出演()てこなかった」と云うのも、それなりの事情があったのです。

 

そして・・・それは、そう―――現在から遡ること、約360年前・・・

「それ」と同じ物体と見られる「躯体」を所有する、「マグレヴ」での出来事に、端を発するのです・・・。

 

 

 

 

=続く=

 

 

 

 

あと