その躯体に潜まされた「罠」―――それは「今」にではなく、「時間経過」によって齎されたモノでした。
ならば、その「罠」とは―――・・・
それはそうと、対決中の二組は、自分達が持つ技量を最大限に発揮し、
もし観る者がいたら、魅了してしまうだけの展開を繰り広げているのでした。
リ:ヘッ―――やるなぁ・・・お前、少し見直したぜ。
ト:フッ―――それはこちらの科白だ。
(・・・が―――しかし、これほど腕が達モノとは・・・な、久々だが、この私も燃えてくると云うモノだ。)
エ:うにゅにゅにゅ〜〜うちの「拳」や「脚」を受けて、ここまで持ち堪えるとはね〜〜
ハ:ハンッ!驚くのはこれからよ!
(しかし・・・何と云う拳圧―――持ち堪えるので一杯だぜ・・・)
リ:ヘッ―――へへへ・・・好いぜ・・・好いぜ!お前!!
これでようやく本気になれそうだ・・・
なにせ、ここんとこ、つまらねえことばかりを押し付けられてきたからなぁ・・・腐ってた処なんだよw
そこへお前らが来てくれて・・・本当は感謝してるんだぜ?♪
なあ・・・おい・・・頼むからさぁ〜すぐに音を上げてくれるんじゃねえぜ!!
ト:(な!! なんだ・・・こいつは・・・前にも増して、闘気が膨れ上がっただと??
では・・・私を試したと云うのか!)
ぬうぅぅ〜・・・赦せん! 私を侮った事、後悔させてくれる!!
エ:ふぅ〜〜ん・・・と、云う事は〜―――まだまだ大丈夫・・・なんよね?
えかったぁ〜♪ うち、すぐモノを壊すけん、おねぃちゃんに云われとったんよぉ〜♪
じゃけん―――これから―――・・・フル・パワーで行くね?
ハ:(なにぃ? 今までのはホンの小手調べだったと云うのか??)
ふ・・・ふざけんじゃねぇ―――こ、これ以上付き合ってられるか!バケモノめ!!
それまでにも「手加減」と云う事はしていなかったのでしょうが、自分と対等に渡り合える相手と判った途端、
抑制していたモノを解放できると云う嬉しさは、何よりも増していたに違いはなかったでしょう。
事実、リリアはその嬉しさの余り表情が一変し、「天帝の后」となる以前の彼女―――いわゆる「闘士」宛らの彼女がいたわけであり、
そうした変異の一部を垣間見たトーマスは、次第に「現在の后」本来の姿を認知するに至るのでした。
そして一方のエリーゼ達も・・・普段通りでも溢れ余るパワーの持ち主であるエリーゼが、壊れ難いハンスの「小型モビルアーマー」を甚く気に入ってしまい(?)
更なる破壊衝動に駆られてしまった時、ハンスが・・・またしても「禁句」を口にしてしまったのです。
すると・・・その途端に、エリーゼの表情が、今までとは違ったモノとなり・・・剩・・・
エ:(・・・・・・)おんどりゃあ〜・・・もうあんたぁ、ブチ殺しちゃるんじゃけえね!!
リ:(!!)うお・・・っ―――なんだあ?今の・・・殺気―――??
ト:(!!)何と云う・・・強力な気中り―――・・・
ハ:(な・・なんだあ〜〜? こいつは・・・ほ、本物の・・・バケモノ・・・)
「蛇に睨まれた蛙」・・・それは、まさしくその有り様でした。
何者かによる、強烈なまでの気中りを間近で受けてしまい、声ですら出せなくなってしまったハンス・・・
しかも、お誂え向きに身体が麻痺してしまい、文字通り蛇に呑まれる前の蛙のように、硬直してしまっていたのです。
それにトーマスは、相方が闘っていた地点での強烈な気中りの事が気になり、
リリアとの対決を一時中断させて、その地点まで急いで来てみれば・・・
ト:おい!ハンス!! どうした、何があっ―――(こっ・・・これはぁぁ!!)
リ:んげえ〜! な・・・なんだこりゃあ・・・な、なんでこんな風に??
対決当初、エリーゼの身長は3mありました・・・
しかし、気にしている事を立て続けに云われた事もあってか、堪忍袋の緒が緩くなっている嫌いはあったのです。
そう・・・互いの対決を中断させて、リリアとトーマスが、エリーゼとハンスの様子を窺った処・・・
そこにいたのは―――・・・
第二百二十四話;荒ぶれる「破壊神」
なにもかもが、「元のサイズ」―――そう・・・全長が30mはあろうかと云う巨大な女性が、そのあり余るパワーをいかんなく発揮し出した時、
総ての存在がどうなってしまうのか・・・お考えになった事はあるでしょうか―――
そんな事は、考えるまでもない―――いや・・・考えたくもない・・・
そうした結論は、喩え今まで相手をしていたハンスではなくとも、この状況を目にしてしまったリリアとトーマスなら、判った事でしょう。
そしてそれは同時に、今まで生命のやり取りをしていた間柄ではない―――なんとかしてこの状況を切り抜け、
この荒ぶれる「破壊神」を諌める手段を講じなければならない・・・そうした時、互いが敵同士であった者達はどうするのか・・・
そこは最早、説明は無用―――今度ばかりは、互いが助け合わなければならなかったのです。
リ:やあっべえ〜〜ありゃ、全身凶器じゃねえかあ〜〜
ト:同感だな・・・と、云う事で、ここは一時休戦としよう―――
リ:そうだな・・・なんだお前、意外と話しが判るじゃないか。
ト:そんな悠長なことを云っている場合ではないぞ!
相手は、敵・味方の分別もなく、見境のなくなった破壊の申し子なのだ!
リ:(!!)うおっ・・・危ね〜〜
・・・そう云やぁ、ルーシアはどこ行ったんだよ!ルーシアは!!
最早・・・自分の感情に任せ、その拳で―――脚で―――周囲りを破壊し尽くそうとしている「破壊神」・・・
しかも、口からは火を吐き、目からビームと来れば、最早人知如きでは、破壊に狂える神を鎮める手立ては残されていないのか―――とさえ思えてくるのです。
すると・・・そこで気がついたかのように、エリーゼと一緒に地球へと来た存在であるルーシアの事を思い出したリリアは、
彼女の行方を窺おうとした処・・・
ル:ほむ・・・あら うるさし えさらじなり
リ:あ〜〜っ!今までどこ行ってたんだよっ!!この大事な時に・・・
あんたの連れ、大変なことになっちゃって、大変なことしてくれてるじゃんかあぁ〜〜!!
ル:そもは そちらのせいにて あるかし
ああも 「禁句」を いいつらねしかば あやつをおさえしたがも ゆるりとなるべからざるなり
リ:だあああ〜! ン、な理屈いいから!!
ル:ほむ、なれば・・・「モード・クイバー」
今まで―――ルーシアは何をしていたのか・・・
それは、自己が創った最高傑作を、再び「殺戮マシーン」へと戻す、そうした手続きを・・・つまり、「初期化」をしていたのです。
そして・・・それは―――・・・
P:『ピーッ』
『システム・バイ・ノーマル』
『コノ躯体ノ 製造認識番号ハ Project_No,2501
verハ「1号」ト ナリマス』
『引キ続イテ 「モード」ノ選択ヲ 行ッテ下サイ』
『「コード」アクセプト 声紋照合確認』
『オ早ウゴザイマス マスター・ルーシア』
『コレヨリ 選択サレタ「モード」 「クイバー」ヲ 展開イタシマス』
再起動する際の手順を終え、「機神」は立ち上がりました。
そして、「創主」からの命令に従い、その身に内蔵された数々の兵器を展開し始めたのです。
=続く=