傍若無人(カタハラニ ヒト ナキガ ゴトシ)に暴れ回っていた巨人の女性が、一転―――・・・小さくなって謝罪をしていた人物こそ、

「巨人の女性」こと、エリーゼ=ポルックス=フェルナンデスが、生涯、頭が上がらない彼女自身の姉―――レヴェッカ=カストゥール=フェルナンデス・・・その人でした。

 

しかも、態度が小さくなった・・・だけかと思えば―――

 

 

 

ナ:あっ・・・身長(サ イ ズ)も小さくなってきた・・・。

  へえ〜自在に変えられるんだ。

 

リ:けど・・・往生したあ〜〜!

  レヴィさんが止めてくれなかったら、地球は今頃―――・・・

  そこんところは感謝しとくわ、ルーシアさん。

 

ル:ほむ れいは よい

  こちらとて めでたきに やぶさかではあらじなり

 

 

 

姉に叱られたのがきっかけとなってしまったのか、徐々にエリーゼの身長が小さくなり始めました。

(とは云え、彼女の最小サイズは「3m」)

 

また、それに伴い、ルーシアの持っていた携帯式超空間通信機器で、エリーゼの弁護をしてあげるリリア、

ですが―――当面の問題と云えば・・・

 

 

 

リ:まあ―――まあ―――この人も、悪気があってやったわけじゃないんだろうしさ・・・

 

レ:『(・・・)リリアちゃんが、そこまで云うなら、わてはもう何も云えやせんよ。

  それに―――元々リリアちゃんを騙した(かたち)となったんは、わての所為じゃろうし・・・のぅ。

  じゃけど―――わてが睨んだ通りになったのぅ。

  ま・・・そこんところは、こっちゃあで調べてみようよ。』

 

 

 

やはり―――レヴェッカの狙い通りに、「天帝の后」という(エサ)に釣られ、刺客を送りこんできた者がいた・・・

しかもそれは、以前まで自分達が交流する為の集団―――「コミュニティ」を形成していた、「七人の魔女(セヴン ・ シスターズ)」であることを、レヴェッカは突き止めていました。

 

ならば・・・「現在」の、「七人の魔女(セヴン ・ シスターズ)」の、「誰」が刺客を送り込んだのか・・・

 

その手っ取り早い方法としては、今回の実行犯でもある「彼ら」に聞くのが早いのです。

 

しかし―――・・・

 

 

 

リ:(・・・)なあ、一つ訊いていいか。

 

ト:ん? なんだ―――・・・

 

リ:なんでお前ら・・・逃げなかったんだ。

 

ト:フ・・・もう詰んでいるのに、逃げれるはずもなかろう。

 

リ:「詰み」? どう云う―――

 

 

 

今回の刺客であった、トーマスとハンスは、状況が収まった今なお、その場から離脱していませんでした。

 

いや・・・しかし、「それ」では表現の不足―――正確には、離脱するのは不可能だったのです。

 

それと云うのも・・・お忘れでしょうか―――

外宇宙を航行し、数々の団体や組織と契約を交わし、そして・・・本来の目的である「ある秘密組織」と提携を交わすことに成功した人物達が、

その「ある秘密組織」の「中心人物」を伴って、地球に向かっていた事を・・・

 

そして―――その人物達は、奇しくも・・・この混乱が収まった時には、地球へと降下していた・・・

この事を敏感に感じていたトーマスは、最早逃れられないモノだと観念していたのです。

 

それに・・・リリアも、その「人物達」の事が、誰なのかはすぐに判りました。

 

 

 

リ:あっ!! ユリアさんに―――ミリヤさん・・・それに、イリスも!

 

イ:姉さま―――!

 

ミ:(・・・)お久しぶりにございます―――「お后さま」・・・

 

リ:あ〜〜いや・・・その・・・その呼び方、止めてくれないかなぁ〜〜

 

ミ:そうでございますか・・・それにしても、急いだ甲斐があったと云うモノです。

  これだけの物的証拠を残しては、最早云い逃れもできませんでしょうしね。

 

 

 

「秘密犯罪取締機構」―――通称「ディーヴァ」・・・その、現場指揮官とも云える、車椅子の美少女ミリヤと、

「地球・東の評議員」であるユリアと、同じく「地球・北の評議員」であるイリスとが、

今回の騒動のあった現場へ現れていたのです。

 

それに・・・地球へ着くまでに入手していた情報―――「天帝の后」の命を狙う為に、手向けられた刺客と・・・

既に終着していたとは云え、「天帝の后」と激しく()り合った跡と見られるモノが、証拠として残されていた・・・

 

これで、刺客がどう反論を行おうとも、証拠としての「跡」が残されているのだから、云い逃れは出来ない―――と、ミリヤはしているのですが・・・

 

 

 

第二百二十七話;情状酌量

 

 

 

リ:あ〜〜・・・ちょっと悪い・・・

  その事なんだけどさぁ〜〜・・・

ミ:なんでしょう。

 

リ:別に〜〜味方を批難(こうげき)するわけじゃないんだけどさぁ〜〜・・・

  実は、ここまでの事してくれたの〜〜って・・・

 

エ:エへへ・・・はぁ〜い、ごみんなしゃい・・・

ミ:エリーゼ=ポルックス=フェルナンデス―――御高名は伺っていますよ。

  ですが―――・・・

 

リ:そこを〜〜なんとか・・・

ミ:なりません―――何より、「天帝の后」としてのあなた様を、襲ったと云うのは紛れもない事実―――なのですからね・・・。

 

 

 

天帝の后(自    分)」を襲った―――・・・

しかし、トーマス達のした事ではないとは云え、第三者の眼から見れば、どう見ても・・・この地を破壊したという現状は、トーマス達のしでかしたことに映ってしまう・・・

そこをリリアは、こうなってしまった事の詳細を説明したのでした。

 

それこそは「弁明」・・・

なぜ・・・自分の命を狙われていたと云うのに―――・・・

 

ところが、この時更なる混乱を招いてしまったのは、今まさにミリヤが口にした、「ある事実」・・・

ユリアにミリヤは、事前に知っていたから―――なのでしたが、現在この場で、その「ある事実」を知らない人物が、「たった一人」存在していたのです。

 

そう・・・リリアの「アレロパシー」である・・・

 

 

 

イ:ちょ―――ちょっと待って下さい?

  リリア姉さまが・・・「天帝の后」?

  なんなのです―――「天帝の后」・・・って・・・

ミ:あら、これはつい「うっかり」

 

リ:おい―――ちょっ・・・あんた、今のそれ、狙ってやっただろ!!

  どーしてくれるんだよ! 絶対あいつ・・・

ユ:・・・ちょっと遅かったようですわね。

 

リ:ユリアさんまで〜〜他人事じゃねえんだって!!

 

 

 

「狙った」のか、どうかまでは、定かではないのですが―――

ミリヤが口を滑らせてしまった事実に、イリスは当惑していました。

 

それにリリアも、犯罪を取締まる側の責任者が、そんな「うっかり」で情報を漏洩するはずがない・・・と、思ってはいたのですが、

そうした誤解(?)を解こうと、イリスの方を見てみれば―――・・・

今まで以上に自分(リ リ ア)の事を神格化し、まるで眩しいモノを見つめるかのような、そんなイリスの眼差しに・・・リリアは言葉を失ってしまったのです。

 

自分は・・・望んで現在の地位に就いたわけではないのに―――・・・

ただ・・・状況の作用のみで、そうせざるを得なくなってしまっているのに―――・・・

 

それでも・・・この中にいる―――いや、この地球に存在する誰よりも、偉くなってしまった自分・・・

 

そして―――切羽詰まったリリアが取った手段というのが・・・

 

 

 

リ:(・・・)それじゃあさ、「天帝の后」として、あんたにお願いしたい事がある・・・んだけど・・・

ミ:(・・・)なんなりと―――

 

リ:だったら、こいつらを赦してやってくれよ。

  あんた等にはどう映っているか知れないけれど、まあ大方・・・「天帝の后()」を襲いに来た―――そうなってんだろ・・・

  だけどよ、私はちっともそんな事は思ってやしない、それどころか、久々に退屈を紛らわせてもらって感謝してるんだよ!

  あいつの・・・「天帝」のダンテ―――って云う奴の宮殿で、箱詰めにされて・・・窮屈な想いはもう沢山なんだ!!

  だからさ・・・最近仲良くなったレヴェッカ―――って人が、気を利かせてくれて・・・ちょっとの間だけど、地球(こ こ)へと戻らせて貰っているのさ・・・。

  そこを・・・なあ―――この通りだから・・・なんとかならないか?!

 

 

 

「天帝の后」―――いわゆる、「最上の存在」からの依頼・・・

そして―――「命令」ではなく、「お願い」・・・

 

それに、こう(土下座)までして、「最上の存在」が、自分の命を狙いに来た者達の命を乞うた前例は、ありませんでした―――

 

それに、リリアがトーマス達の事を救いたかったのは、やはりこの一点・・・

「退屈を紛らわせてもらって感謝している」・・・

 

而して、その理由そのものは、周囲(ま わ)りを驚かせたものでしたが、

ミリヤは―――・・・

 

 

 

ミ:(・・・)残念ですが、どうにもなりませんわね。

リ:なんだって・・・? ミリヤさん―――なんだって、私のお願いが・・・

 

ミ:メイ―――容疑人を確保。

リ:ミリヤ―――・・・

  そうかよ、あんたって人間を、見損なっちまったぜ!

 

メ:ミリヤ様―――・・・

ミ:私の云う事が、聞こえなかったと云うの・・・

  容疑人を―――トーマス=リゲル=ヴィンセントと、ハンス=ベテルギウス=ヴィンセントの確保を急ぎなさい!!

 

メ:(・・・)申し訳ありません、リリアさん―――(マスター)よりの命令(オーダー)です・・・。

リ:そうかよ・・・なら、この私を倒して行くこったなあ―――

  おい・・・何をしている、早く逃げろって!

 

 

 

冷徹なまでの判断―――いくら「最上の存在」からの「お願い」だとしても、自分達の組織の規律(コンプライアンス)にはそぐわないものとし、

飽くまで、容疑者の確保に拘ったのです。

 

そして、ミリヤからの命令(オーダー)を受け、「ディーヴァ」でも「ドゥルガー(マ  リ  ア)」に次ぐ「武力制圧」の人間が動く事になったのですが・・・

ですがメイベルには、リリアの云っている事も痛いほど判っていた為、(ミリヤ)の再考を促せるのですが・・・

ミリヤからは厳しいまでの言葉が―――

そのことに、仕方なく容疑者の確保に回るのですが、トーマスとハンス達を逃走させる為に、なんと・・・「天帝の后」自身が、彼女達の前に立ちはだかってきたのです。

 

その事に、再び(マスター)の再考を窺おうとした処―――・・・

 

 

 

ミ:なにをしているの―――メイ・・・早く追いなさい! 高跳びをされてしまうわよ。

メ:(え?)いえ・・・ですが―――あの、「彼ら」は目の前にいるではありませんか・・・

 

ミ:なにをおかしなことを云っているのかしら、この子は・・・

  今、私達の目の前にいるのは、地球に観光目的で訪れた方達なんでしょう?

メ:(!)これは大変失礼なことを・・・では至急、マリアさんと連絡を取り、かかる容疑者の確保に回ります!

 

リ:ミリヤ・・・さん・・・

ミ:(・・・)今回だけですよ―――

  全く・・・あなたも随分と無茶をする方ですよね。

  まあ・・・尤も、「あの方」程ではありませんけれど・・・ね。

 

 

 

その時、ミリヤにしては全くと云っていいほど奇妙な事を云うモノだ・・・と、思いました。

そう・・・「全く(もっ)ての奇妙」―――すぐ目の前に、確保すべき重要参考人達がいると云うのに、

自分達が確保すべき者達は、既に地球を離れていて、別の惑星か―――或いは宙域に潜まんとしているのだと云う・・・

 

そして、それをして自分達がその者達を確保すべく行動に映っている事を、「向こう側」に悟らせない為に、「カーリー(メイベル)」に指令を出していたのです。

 

ですが・・・逃がすも何も、容疑者本人達は、未だこの場にいると云うのに―――・・・

 

けれどこの瞬間、ミリヤがなにを云いたかったのかを察したメイベルは、オンドゥにいるマリアとの協力の下、

いるはずもない「容疑者達」の確保へと回ったのです。

 

 

しかし・・・そう―――ミリヤには判っていたのです

リリアの胸の内の事など・・・

 

けれど、「天帝の后襲撃事件」は、裏社会でも既に話題になっており、そうした状況を収まらせるのにも、誰かが一役買わなければならなかったのです。

 

とは云っても・・・自分達「ディーヴァ」は、「秘密」の組織・・・

「重要参考人・容疑者の確保」と云う重要事項の落とし所を、どこにするべきなのか―――

まさにそれは、「苦肉の策」でもあったわけなのです。

 

 

 

 

=続く=

 

 

 

 

あと