気の利いた人物の、気の利いた言動により、こうして一難は去り行きました・・・
が―――依然として多くの問題が、その場には残されていたのです。
そのまず一つ目・・・なぜミリヤとメイベルが、ユリアとイリスと一緒に地球へ来ているのか、
これは、どことなくリリアの方でも判っていました。
リ:あの〜〜ところでさぁ・・・なんでミリヤさん達が、この惑星へ?
ミ:(・・・)私どもは、この方々の主よりの依頼である―――と、そう聞かされております。
リ:(・・・)あのさあ〜〜私も、あんた達とそう変わらないんだけどさぁ・・・
いい加減やめようぜ? ン・な―――まどろっこしい云い方・・・。
ミ:ですが・・・そうですね、あなた様の仰り様も、判らなくはありませんけれど・・・
リ:ああん!もう!! これだからヤなんだよな!
それより・・・そうか、ジョカリーヌさんが―――
ユ:はい、その通りにございます。
長年わたくし共は、宙外からの来訪者への監視等を怠っていたわけではありませんでしたが、それでも些か寛容過ぎた―――と、云う見解の一致の下、
ジョカリーヌからの指令を仰ぎ、不肖ながら、わたくしとイリスさんとで、各宙外の組織や団体の交渉にあたったのでございます。
そして・・・何と云っても、この地球に害を為そうとする者の駆逐を図る為、こちらの方がたの力を借りよう・・・と、こう云う事にございます。
ミリヤ達が、以前の様に重要参考人及び容疑者の確保―――の為にではなく、この地球を訪れている理由・・・
それこそが、この地球を警備してくれる目的で訪れているのではないか・・・
そこまでは、リリアは理解出来ました―――が・・・未だミリヤは自分と一線を引いて応接している事に、リリアは発憤していたのです。
そしてそのことは、ミリヤも「月詠」によって、どことなくは判っていたようですが―――・・・
今のこの場では、何よりリリアの存在と云うモノが、「天帝の后」としてオープンになり過ぎている嫌いがあった為、敢えてその態度は覆さずにいたのです。
それに・・・お誂え向きに、地球に害を及ぼすまでではなかったモノの、そうした格好の材料となった者達が二名・・・
これはこれで実績があった―――つまり、ミリヤにしてみれば、この現場には「天帝の后」が立会人としており、
この場で侵略者二名を確保すれば、「ディーヴァ」が地球に来る口実づけになってくる・・・と、踏んでいたようなのでしたが、
思いも寄らないことに、その「天帝の后」自らが、例の侵略者たちの命を乞うてくるモノとは・・・
そんな事は、今までの前例にも見なかった事でしたが、「リリアならば」・・・と、ミリヤも思い直してくれたのかもしれないのです。
ともあれ―――地球であったコトの報告を、オンドゥにいる二人にも知らせ、
自分達が地球へと留まる事の有用性を解く為に、メイベルをその役目に抜擢させたのです。
そして・・・その次の二つ目―――
だとするならば、彼女達は本格的に、地球を本拠とするのか・・・
而して、その返答とは―――・・・
ミ:本来ならば・・・この話し自体、ジィルガ様に通すのが筋なのでしょうが―――
僥倖な事に、こちらには現・アカデミーの首席教授でもある「Dr」もおられることですし・・・
そう云う事で、ここは一つ―――・・・
ル:ほむ がへんずなり
ジルのやつには わっちからも よろしく まうすべくそうろう
なかなか・・・話しの内容は見えてはきませんでしたが・・・
とどのつまりは、こう―――
ミリヤ達は、今回のユリアからの要請を受け、自分達が本来、居を構えている惑星とは別の・・・程遠い惑星―――地球を警備してくれるのだという。
ならば、今まで住み慣れたオンドゥやクーレを離れ、地球へ移り住む・・・と、云うのが、そもそもの筋―――
ですが、本来・・・彼女達が帯びている大元の任務は放棄できないモノとし、
これから・・・「ディーヴァ」を創設したジィルガ本人に、『超空間連結機構』―――を構築して貰えるよう、相談しようとしていた処に、
これまた奇遇な事に、そのジィルガと比肩する知能の持ち主である、ルーシアがこの場にいることを知り、彼女との契約の折衝を行ったのです。
これによって、地球の保全は担保できたわけなのですが・・・
そもそもの「大問題」と云えば―――・・・
第二百二十八話;着地点の模索
ト:どうやら・・・貴様には借りを作ってしまったようだな。
リ:ぁあ゛ん?! 折角救ってやった〜てのに、そんな云い方はねえだろうよ!
ト:(?)「そんな云い方」・・・?
リ:このヤロウ〜〜私に向かって「貴様」とはなんだ!
なんなら・・・今からさっきの続き―――やってもいいんだぜ・・・
未だ、「天帝の后」を襲撃した者達・・・トーマスとハンスの二人は、「この場にいた」・・・と、云う事実―――
それに、トーマスの方から何やら申し立てたことが、どこかリリアの癇に障ったらしく、
先程まで穏やかだった空気が一変―――殺伐なモノへとなってきたのです。
それにしても・・・どうして―――・・・
それは、トーマスが使った、他人を呼ぶ「人称」・・・
それが、リリアをそうさせてしまったのでした。
それを見ていたミリヤは―――・・・
ミ:あらあら、「今のお后」様は、なんとも血の気の多い方なのでしょう。
けれど、私が知る知人の一人ならば、判らなくはないのですけれど・・・ね。
あなたもそう思いますでしょう―――ユリアさん。
ユ:ええ、本当に・・・。
それと一つ、誤解なきよう云っておきたいのには、「貴」とは「貴い」と云う意味も含まれており、第二人称の「様」におきましては、「最敬」の証し・・・
云ってみれば、「殿」よりも格は上だ・・・と、わたくしの方ではそう認識しております。
リ:・・・え?
ミ:あら―――それでは、「最敬」の形容を使われては、寧ろ喜ぶべきではありませんでしょうかしら・・・ねぇ。
威勢の好い啖呵を切ったモノの―――有識者二人からの説明にリリアは、その後・・・その「振り上げた拳」の収拾に、苦慮しなければなりませんでした。
そこには、そうした「言葉遣いのクセ」と云うモノもあるのでしょうが、自分が起こしてしまった短慮の所為で、折角築きかけた「縁」が台無しになってしまうモノと感じ、
他人から見れば、どう見ても「苦し紛れ」に映ってしまう所作に、その場を切り抜ける打算を見出そうとした処・・・
リ:え〜〜へへへ・・・
な・・・なぁ〜〜んちゃっ・・・た・・・
エ:プッ! にゅフフフ・・・にゃ〜っはははは―――!w
なにそれ〜〜リリアさん、ぶちおもろ〜〜!w
(!)これよ!!うちが求めとったんは!!
あ゛あ゛〜〜っ! 湧いてくる・・・湧いてくるぅ〜〜! おもろかしいアイデアが、次々とぉ〜〜!!!
イ:な・・・なんなんですか? あの人は―――・・・
ユ:あの方こそが、宇宙でも名の売れている漫画家である、『ランカータ』・・・エリーゼ先生です。
ミ:(!)あの方が・・・すると―――では、休載と云うのも・・・
ユ:「取材の為」・・・と、ありましたが、どうやら本当の事だったみたいですわね。
リリアの苦し紛れの弁解―――それのどこが面白かったのか・・・約一名が「ツボ」に嵌ってしまい、けたたましくも笑い始めたのです。
そうか・・・と、思うと、次には雷にでも打たれたように、現在自分が描いている作品のネタが浮かび上がり、
脇目も振らず、まさに「一心不乱」に、「ネタ帳」に纏めている人気作家の姿が・・・
その姿を見て、彼の人気作家が、「取材の為」・・・と、称して、「連載(月刊)」を長期休載にすると触れ回っていたのは、半ば真実だったのだ・・・と、
有識者たちは理解に至るのでした。
しかし・・・ところが―――実はそこからが大変だったのです・・・。
次から次へと湧いてくるアイデアは尽きる処を知らず、陽も落ちてくる頃会いなので・・・と、何度となく人気作家に云い聞かせても、
まるで大地に根が張っているかのように動くでもなく・・・とうとう、リリアとイリスとトーマスとハンス、四人がかりの力で、
近くの宿泊できる施設へと運びこむことができたのです。
その・・・宿泊施設の一室にて―――
リ:はあ゛〜〜疲れた・・・
しっかしまあ〜〜なんつー重さだよ、あの人は・・・
ル:ほむ・・・ちぢみしなれど 「質量」までは かえようもなしなり
リ:・・・てか、フツーにあの人、体重幾つあんだよ―――
ル:これこれ はぢらひしをとめに かようなことをききおよびしかば さようなりとて このましからざるなり・・・2,5t―――
リ:(・・・)まぢすか?それ―――
つーか、あんたもあれだけ綺麗事云っときながら、よくそんな事云えたもんだよな・・・
それよりお前ら――― 一緒についてきちまったけど、どうすんだ?これから・・・
ミ:そのことにつきましては、私から提案がございます。
未だに机(ミカン箱)に噛り付いて、頑として動かないエリーゼを余所に、談義が繰り広げられたようですが・・・
重量のある女性を移動させる為、手伝わせてしまった事もあるからか、トーマスとハンスの二人も、リリア達と一緒にいたのでした。
そこで・・・今度は彼らの処遇をどうするのか―――・・・検討が為されるのですが、
何か良い案でも浮かんだのか、ミリヤが一つの提案をしてきたのです。
=続く=