とある「未遂事件の容疑者」と目されている二人・・・その今後の身の振り方に、リリアは悩んでいました。
するとここで、本来ならば彼ら二人の身柄を確保するため、動いていたと見られる、ある「秘密組織」の現場指揮官が、解決策の一つを提示してきたのです。
而して、その解決策とは―――・・・
ミ:一旦この二人の身柄を、私達に預けて頂きましょう。
リ:はあ゛? ちょっと待てよ―――それじゃ、さっきと変んないじゃんか。
ミ:よく聞いて下さい―――
確かに、「そこ」までは同じ・・・そして、周囲りからも、彼らは確保「された」モノと映るでしょう。
ですが―――・・・
ユ:なるほど・・・つまり、彼らの身の安全を担保するには、オンドゥに収監するのが一番・・・と、云う事ですか。
ミ:フフ―――あそこならば、「口封じ」の為に、そうした者達を潜り込ませようとも、立ち待ち取り込まれてしまいますからね。
そして、それこそが、マリアを「獄長」たらしめる所以でもあるのです。
トーマスとハンスを「確保」・・・つまり「それ」こそは、先程から悶着の大因となっていたものでした。
しかし―――現在とあの時とでは、状況が違ってきている事を、ミリヤは説いたのです。
仕事人に依頼していた内容が失敗に終わってしまった・・・
もしそこから、依頼人が誰であるのか―――判ってしまうと云うのは、依頼人にしてみれば大きな不利益となってくる・・・
そうした事を鑑みてみると、やはり一番手っ取り早い方法としては、「口封じ」・・・
それしかあり得ないだろう―――と、ミリヤは踏んでいたのです。
するとならば、こちらが考え付く最善の方法とは―――・・・
入るときには容易くとも、出るにも出られない「監獄惑星・オンドゥ」の存在・・・
そこに、敢えてトーマスとハンスの二人を収監してしまえば、「獄長」の異名を取る、
やはりこの人物も「ディーヴァ」の一員である、マリアが悪い様にはしないだろう・・・と、していたのです。
こうして、晴れて騒動は収まった・・・の、ですが―――
こうした騒動も、「終わって」しまえば―――・・・
リ:はあ゛あ゛あ゛〜〜終わっちまったぁ〜〜・・・
気が重っ―――
イ:どうしたと云うのですか、リリア姉さま・・・。
リ:ああ・・・イリス・・・
(・・・)なあお前、私の代わり―――やってみる気・・・ないよなあ〜〜
イ:(!)はい!喜んで!!
ル:なにを おろかなりしことを・・・
ト:全くだ―――自分が何様なのか、貴様には判らないのか。
リ:(〜〜)なんか喧嘩を売られている様な気になるんだよな〜〜その云い方。
だ〜けどさあ〜〜ここ最近の「后」の仕事って、気が重くなるのばかしなんだよ・・・。
イ:そうなん・・・でしたか・・・。
それより、あの〜〜先程から気になっていたのですが、「天帝の后」って、なんなのですか??
そう・・・とどのつまり、こうした騒動が一応の終着を見た場合、またリリアは「あの場所」へ―――「春禺宮」へと戻らなければならないのです。
それに、先程から話題に上ってきている「天帝の后」を、気になっていたイリスが、事情をよく知っていると思われる者達に訊いてみた処・・・
ミ:別段―――そう云うつもりもなかったのですが、やはり「そこ」に興味を持たれてしまいましたか・・・。
これは仕方がありませんね。
それに・・・あなたも、リリアさんの「アレロパシー」ならば、知っておく権利はあります。
そもそも「天帝」とは―――・・・
第二百二十九話;「この世における存在の定義の意味」
先程までは、「つい、うっかり」で済ませたモノでしたが、どうにも「急場凌ぎ」であったことは否めず、
そこで、「天帝の后」であるリリアと「アレロパシー」であるイリスから、そうした存在に興味を抱かれてしまったのです。
そこの処は、或いは・・・そのまま、なし崩し的に済ませてもらえれば―――と、していたミリヤでしたが、
そうしたモノは、やはり有耶無耶には出来ないと覚ったのか、程度の説明をしてあげたのです。
しかし・・・その、「程度」の説明でさえも、イリスには驚きの事実であり・・・
イ:(!!)そ・・・そん―――な・・・
その「天帝」とか云う存在なくしては、私達は有り得ない・・・と??
ミ:その通り―――そうした、「ごく自然な」「当たり前」そのものとは、得てして「重要だと認知され難い」のです。
そしてまた、声高にその事を「重要だ」と触れて回る「必要性」もないのです。
ユ:『我々は・・・活かされるべくにして、生かされている―――』
これは、わたくしの盟主であるガラティアが、わたくしに話してくれた言葉です。
わたくしたちが、有為・無為の内に、そうされていると云う事は、わたくし達の「意識」にはありませんが・・・
そうした最も重要な事は、実は「意識的」に行われているモノなのです。
有識者二人による、簡易的な説明により、イリスは・・・「この世における存在の定義の意味」と云うモノを、理解し始めることができました。
しかしながら・・・「できた」まではいいのですが、ならば尚更、そうした存在の「奥方」となっている、自分のアレロパシーの事が誇らしく思えてきて・・・
イ:あ・・・あ、あ・・・す―――凄いじゃないですか! そんな方を・・・亭主様に迎えられて・・・
でも、やはり―――そうですよね! だからこそ、リリア姉さまだからこそ、そんな方が相応しいのだと思います!
それにしても・・・そうですか―――リリア姉さまが「天帝の奥様」に・・・
けれど、蓮也さんのことはどうするのです?
リ:あ゛〜〜やっぱりそだ・・・おめ、勘違いしてるわ―――
イ:は?? なにが・・・でしょう―――
リ:いや・・・な? 私も笑えない処はあるんだけど―――
実を云うと、私も初めは「婚姻」だと思ってたんだよ。
けどな・・・全然違うんだ。
大体―――あんにゃろ〜も、紛らっわしい名称付けるもんだから、誤解招いたりするんだよなぁ〜〜
あのなあ・・・「天帝の后」ってのはさあ―――・・・
自分が慕う人物が、「最上の君の奥方」に娶られた事を、イリスは大きな誇りにさえ思っていました。
けれど、そう・・・そこには決定的な違いが―――
そのことを、嘗ての自分もそうであった―――と、リリアは自分の苦い体験談をイリスに聞かせました。
自分よりもいい加減な奴が、紛らわしい呼び方をするモノだから、こうした誤解を招き易いモノだともし、
「天帝の后」と云う「役職」の、本来の役割を説明してやった処―――・・・
イ:ええ〜〜っ!! そんな大事な決め事を・・・リリア姉さまに押し付けているのですか??
リ:ああ・・・それにさ―――ここ最近やったのも、一つの星系を失くしたり〜だの・・・気が重くなってくるのばっかしなんさ・・・
イ:ゆ・・・赦せない〜〜っ!
自分が出来ないからと云って、姉さまを攫った挙句、そんな事まで押しつけるなんてぇ〜〜!!
リ:は・・・は・・・なぁ〜ンかそのセリフも、私と似たような事を云ってんなあ〜〜
けどさ・・・もうなっちまってるもんは、仕方がね―――この先、何年なるか知らねえけど、務めを果たしたら、きっと戻ってくるよ・・・
勘違いをした処も、憤慨した処も、どことなく自分と同じ―――
けれど「それ」が、「アレロパシー」の特性でもあるのですが・・・
リリアも、この役目が永久的ではないと理解し始めたからなのか、いつかは地球へと戻って来られる・・・
そんな意味にも取れる言葉を云っていたモノなのでしたが・・・
しかし、その「いつか」は、定まっているわけではない・・・
なにより気紛れな「最上の君」は、そうした決まり事を創らない・・・
その事を知っていた「后」の経験者は、未知の事を嘯くリリアに、ある種の不安を抱くようになってくるのです。
=続く=