その日―――ミリヤは、メイドのメイベルと共に、この度ある契約によって地球にも「別邸」を構え、
その別邸から「超空間転移装置」を使って、ミリヤ本来の邸宅がある「クーレ」へと戻っていました。
その「理由」とは、その日に「ある人物」と会う約束をしていたから・・・なのですが、
その「ある人物」と云うのも―――・・・
ミ:(・・・)あなた様が、「宇宙会議議長」―――クラリス=サダルスゥド=ロッテンマイヤーですね・・・
遠路遥々、わざわざこのような辺境の惑星にお越しいただき、ご苦労様です・・・。
数ある「銀河」の意見・要望を取り入れ、常に「最善」の選択をする「宇宙会議」の「トップ」・・・
それも「現職議長」が、地方星系の富豪の一人でしかないミリヤを訪れたのは、いかなる理由からなのか・・・
それは―――・・・
ク:ミリヤ様―――今回は、お互い政治的な話しは「抜き」・・・と、云う事で・・・
ミ:(・・・)それはどう云う事でしょう―――この数日後に「会議」を控えておきながら、
一つの星系の・・・それも辺鄙なこの惑星で倹しく暮らすこの私に・・・どう云った「個人的」な話しがある・・・と?
それは、全くの「個人的な話し」・・・
しかし、この人物―――クラリスに関しては、「個人的な話し」など全く持ちあがって来ませんでした・・・
そうした人物からの、「個人的な話し」・・・とは―――?
それに、ミリヤも、このクラリスに対しては相当手を焼いているモノと見え・・・
ミ:(これは・・・どう云う事なの?!
まるで出鱈目・・・今まで数多くの人達の思考を詠んできたけれど・・・こんなにまで支離滅裂なのは初めてだわ・・・!)
ミリヤ自身の上司でもあるジィルガの思考や―――この宇宙を統治する「天帝」を除いては、
こんなにまで雑多で、こんなにまで意味のない思考を紡げる存在を、ミリヤは知りませんでした・・・。
そもそも「思考」と云うのは、どんなにか正しかろうが、どんなにか狂っていようが、常に「一貫性」「指向性」と云うモノがあり、
そうしたモノによって、「善」「悪」の判断をするのが、ミリヤの持つ「月詠」の特性でもあったのです。
しかし・・・この人物が紡ぐ思考は―――単純に云ってしまえば、「支離滅裂」・・・
話しの一つ一つにはまとまりがなく・・・故に、この人物の思考が詠めない―――
つまりは、この事自体・・・ミリヤにとっては「強敵」と云わざるを得ませんでした。
そして同時に、こうも思ったのです。
『こんなので、よく・・・宇宙会議の議長が務まってきたモノだ―――』と・・・
それと云うのも、「宇宙会議」と云う場所は、一つの見方を変えるとするならば、『「利己主義者」のたまり場』・・・
自分が受け持つ銀河が、発展しさえすれば、それに越した事はない・・・
単なる、利権獲得の為だけの、『談合の場所』・・・
そんな、黒々しくも禍々しい感情が渦巻く中で、このクラリスは、実に1000万年もの間、「議長」として君臨し続けているのです。
そんな人物が・・・今回に限り、さある「秘密機関」の「指揮官」であるミリヤに、「個人的な話し」を希望して来ていると云う・・・
それはそれで、慎重にならざるを得ませんでしたが―――・・・
第二百三十二話;「議長」からの警句
ク:それでは、早速お話しの方を―――・・・
実は、この人物を・・・「マーク」しておいて欲しいのです。
ミ:(!! これは・・・)
あの・・・これは、何かの冗談で申し上げている事なのですか―――・・・
ク:「冗談」・・・
フフフ―――私は至って「大真面目」・・・ですよ。
それとも・・・ご自分達の「お仲間」だから、「出来ない」・・・と、仰るのですか。
『この女は・・・何もかもを存じ上げている上でこの私に―――』
『いや・・・「私達」が、「ディーヴァ」であると承知の上で、この私に話しを持ちかけて来ているのだ。』
ミリヤはそう判断をしました・・・。
それに、クラリスの「個人的な話し」と云うのも、云ってみれば「依頼」―――
それも、「特定の人間をマークする」・・・と、云う―――
しかも、この依頼内容自体は、「ディーヴァ」でも数をこなしてきている事でもあり、
それでなくとも、通常ならば・・・「警察捜査機関」でもあるUPに一任すれば良いまでのこと・・・
ですが、「マークしておく人物」こそが、重要だったのです。
だから・・・ミリヤが、クラリスより提示された「標的」の写真を見るなり、「冗談だ」・・・と、したかったわけなのですが・・・
それもそのはず―――その「標的」とは、自分達「ディーヴァ」の一員でもある・・・
それはそれとして―――こちらは、「監獄惑星」でもあるオンドゥ・・・
そして、その惑星と云えば、名物ともなっている、「ハタルドゥーミ―教会の修道女」と・・・「13分署署長」との掛け合い―――
それに、今日も「また」―――・・・
ヘ:ちゃ〜〜っす―――つて・・・あら?
なんだぁ? 皆・・・だらけ切ってるんじゃないよ〜?!
署:ああ〜ヘレン・・・しかし―――こうもやることなくっちゃ、オレ達でなくってもだらける・・・ってなもんだぜ。
ヘ:はあ〜〜ん・・・で?マリアは―――
署:ハハ・・・オレ達以上―――今じゃ署長室で、「トロ」になってっか「スライム」みたくゲル状になってんじゃね?w
ヘ:(これだ・・・)
全く―――よくこんなんで、あんた達を抑えてられるわねぇ・・・
ん〜〜だったら・・・今ならあいつに勝てるんじゃね?
署:は・・・そりゃヘレン―――署長の事知らなさすぎ・・・だってw
署:そ〜そ・・・そう思って、今まで以上に、どっぷりドツボに嵌ってった奴を、何人見て来た事か・・・
ヘ:(つ〜事は・・・ナニかぁ?)
今・・・「トロ」とかそう云う風になってるの―――って・・・
署:云うだけ野暮だぜ・・・ヘレンw
今日も「また」―――ご機嫌伺いに・・・と、13分署の扉を叩いたら、いつも以上にだらけ切っている署員達の姿が・・・
それだけでも、ヘレンを呆れさせるのに十分な様なのですが、そのこと以上に呆れさせたのが、マリアの有り様・・・
或る署員の証言によれば、自分の部屋に籠って、自分達以上にだらけているのだと云う・・・
ならば―――これ以上の絶好の機会はないのだから、マリアに挑戦してみてはどうか・・・と、ヘレンは云うのですが、
それこそが認識不足・・・
署員達にしてみれば、「今」こそが、一番・・・最も危ない状態なのだと云うのです。
その事を証明するモノとして、やはり過去に、こうした状態の時に、マリアに挑み・・・漏れなく絞り尽くされ、干物寸前にまでなった者達の事が語られたのです。
だとしたら・・・この時も、そんな状態になっているマリアがいるのだとしたら―――・・・
しかしヘレンも、これはこれで困ったモノだと思い、思い切って署長室の扉を開けて入ってみると・・・
ヘ:お〜い、マリ―――(・・・つて、イカ臭さぁ〜!!)
おま・・・っ―――ちょ・・・何やってんだよ!!
マ:あはぁ〜ん・・・ヘレ〜ン・・・・丁度好い処に―――あはあぁぁ〜っ!!
ヘ:(ぐっ・・・)くぅおの―――色慾魔人が!!
扉をあけると・・・そこは思っていた以上に「混沌」でした―――
しかも、窓も閉め切っていた状態であった為に、臭いが籠って、なんとも筆舌し難い状況だとも云えたのです。
ともあれ・・・ヘレンが本当は来たくもなかった13分署に来ていると云うのも―――・・・
内々にして上から下りて来た「指令」を実行するためであり、とは云っても・・・こんな状況では真面目な話が出来るはずでもなく、
「小一時間してからまた来る―――」と、云い残し、その場から去ったのでしたが・・・
次に13分署に来た時、事態はそれどころではなくなっていたのです―――
=続く=