たった「小一時間」・・・たった―――「小一時間」で、こんなにも状況が悪化しようとは・・・
ヘレンは、自分が少し目を離した隙に、どこかへと消えた「13分署署長」と―――
ある人物からの、『ある特定の人物の動向に注視し、報告せよ―――』との依頼が不履行になってしまった事に、焦りを隠せませんでした・・・。
それにしても・・・ヘレンに、そんな「指令」にも似た依頼をした「ある人物」とは・・・
やはり「教会」関係の人物なのでしょうか―――
それは、全くの間違い・・・
なぜなら、ヘレンに「指令」にも似たような依頼を出していた「ある人物」こそ、
ヘレン自身も所属している、「ある秘密組織」の―――それも、「事実上のトップ」なのですから・・・
しかし、「報告」までも不履行に終わらせる事が出来なかったヘレンは―――・・・
ヘ:(・・・)ああ―――あんたか、私よ・・・最悪な事にマリアが失踪をしたわ・・・。
上:『ほぉう・・・そうか―――やはりな・・・』
ヘ:やはり・・・って―――あんたは、こうなる事に気付いていたのか?? 『シャクティ』―――
シ:『「いつか」・・・は、こうなるモノと思ってはいた―――
それが偶々、「今」―――だったと云うだけのことだ。』
ヘ:(・・・)随分と軽々しく云うのね―――あいつは、あんたの部下だった・・・んじゃないの。
シ:『そこはもう、気にしなくてもいい―――既に手は打ってある。
ご苦労だったな―――「パールヴァティ」』
報告までも不履行―――と、云うのは、元々軍に所属をしていたヘレンには、到底考えられない事でもあった為、
自分に「指令」を下した「ある人物」・・・秘密犯罪取締捜査機関「ディーヴァ」の最高責任者である「シャクティ」に、現況を報告したのです。
すると・・・あちらからは、いずれマリアが、こうした行動を起こすモノと想定し、『既に手を打ってある』としたのです。
元は「シャクティ」の後輩でもあり、部下でもあったマリアが・・・「いつか」は失踪するモノだと思っていたとは―――・・・
それはそうと、時間と場所を一転させ―――
「さある人物」・・・『宇宙会議議長』より、自分達の仲間である人物を「監視」して欲しい・・・との、依頼を受けたミリヤは―――
ミ:(・・・)なぜ―――この人物を、「監視」しなければならないのか・・・その理由を、お聞かせ願いませんか。
これから・・・自分達が監視下に置かなければならない「特定の人物」こそ―――
自分達「ディーヴァ」の一員であり、現場での「直接戦闘」及び、「制圧能力」に長けた、「ドゥルガー」こと―――マリア=ルヴィ=モルガンだったのです。
それに、マリアの人となりを知っているミリヤには、マリアを「監視」しなければならない理由が判らなかった為、
その事を「宇宙会議議長」―――クラリス=サダルスゥド=ロッテンマイヤーに訊ねてみると・・・
クラリスは、なんの衒いもなく、こう返答たのです。
ク:私には・・・或る程度の「未来」が予見るのです・・・。
そして・・・だからこそ、予言ることができるのです・・・。
第二百三十三話;予言者
ク:この人物は・・・必ずや・・・近い未来・・・大規模な・・・宇宙災害を、起こす「きっかけ」・・・と、なる、危険を孕んでいます。
ですから、そうならない為にも・・・同じ仲間であるあなた方に、止めて頂きたいのです。
『「予言」・・・とは、道理で私の「月詠」にはかからないわけだわ・・・』
ミリヤは、クラリスが持つと云う畏るべき能力に、眉を顰めるしかありませんでした。
『予言』・・・とある惑星には、これから起こり得る事が、「直接的に」―――ではなく、どこか謎めいた文体をして紐解かせる、「預言書」なるモノが流行った時期がありましたが、
ああしたモノは、そのほとんどが「後付け」で、あの当時起こったモノが、そうだったのかもしれない・・・ならばなぜ、そんな事が起こり得る前に、注意出来なかったのか―――
と、云う、あたら後悔する為だけにあるモノであり、云ってしまえば、遊興程度のモノでしかなかったのです。
しかし・・・クラリス某の持つ能力は―――そんな「故事付け」などではない・・・
近く―――必ずや起こり得てしまうモノが「予見」、また「予言」てしまえる能力でもあったのです。
ミリヤも・・・その事を、「噂」程度にしか知りませんでしたが、まさか本当に出来るモノだとは―――・・・
だとしたら、あんなにまで錯綜した思考を、持つ理由もどことなく理解ってくる・・・
なぜならば、その顕現「予言者」こそは、「感応」を・・・ミリヤ自身が持っている同レヴェルのモノを、全方向性・全指向性に対して、波及しなければならないのだから・・・
しかも・・・この時既に、事態はミリヤも思わぬ方向に向かっていたのでした・・・。
それと云うのも―――クラリスとの会合を終わらせ、一息つくミリヤの下に・・・
今度は、「あの人物」から―――・・・
ミ:―――はい、私よ・・・ああ、パルディア、どうしたの・・・
(!!)なんですって―――・・・
メ:(?)いかがなされたのですか、ミリヤ様・・・
ミ:ええ―――ええ―――・・・判ったわ・・・
・・・メイ、クラリスの云う通りになってしまったわ・・・。
メ:・・・は?
ミ:マリアが・・・これから私達が「監視」しておかなければならない存在が、オンドゥから行方を眩ませたそうよ・・・。
メ:(!)そ・・・そんな―――?!
でも・・・なぜ・・・マリアさんともあろう方が―――・・・
ミ:けれど、これで「半分」・・・クラリスの「予言」は中ってしまった―――と、見るべきね・・・。
だけど、もう「半分」・・・本当にマリアが、混沌へと導く存在になり得てしまうのか―――断定までは出来ないわ・・・
この時、ミリヤの下にかかってきた連絡は、「バルディア」と云う人物からでした。
バルディア=ヤーデ=ロスチャイルド―――現役のUP本部長であり、かつてのマリアの先輩でもあり・・・上司でもあった存在・・・
そして、現職の警官でありながら、秘密犯罪取締捜査機関の、事実上の総責任者でもある『シャクティ』でもあったのです。
そう・・・ヘレンは、この人物から―――マリアの動向を逐一報告するよう依頼されており、だからマリアと同じ惑星に在住していたのです。
そして、ミリヤもまた・・・バルディアの許可なくしては、今回の地球との契約交渉も出来なかったのです。
それほど、「ディーヴァ」と云う組織内でも影響力のある人間から、状況の悪化の報せがこようモノとは―――・・・
しかもこの事で、クラリスが自分にしてくれた「予言」の内容が、半分は中ってしまった―――と、ミリアはしていたのです。
なぜなら・・・「これから」自分達が監視しなければならない特定の標的が、「もうすでに」そうした危険を感じたからなのか・・・
失踪してしまっているのだから―――・・・
しかし・・・では、一体マリアは、どんな混沌をこの宇宙に導こうと云うのか・・・
或いは、何者かに唆されているのか・・・
不安に疑問は尽きることがありませんでしたが・・・
ただ一つ―――・・・
ミ:(・・・)それにしても―――・・・
メ:ミリヤ様? 何かお判りにでも・・・
ミ:この「タイミング」―――偶然かどうかまでは判らないけれど、私達は、この度「地球」と、ある契約を交わしたわ・・・
メ:それが・・・?
ミ:もし―――今回のマリアの失踪が、この「契約」と関わりがあると云うのなら、話しは早いわ・・・
メ:(!)それでは―――・・・
ミ:(・・・)メイ、これから地球へと行くわよ―――そして、この事態を・・・ユリアに話してみるの。
これで一応は、何らかの対策が出来ると云うモノだわ・・・。
ミリヤがたった一つ疑問に感じていた事とは、マリアが失踪をした、「そのタイミング」・・・
なにより、ミリヤとメイベルは、先程まで地球のある人物から、地球の警備・警護を依頼されたと共に、「七人の魔女」の事も、知らされていたのです。
なのだとしても・・・早過ぎる「このタイミング」―――
ならば、最早事態は水面下にて激しく動いているモノと見なければならなかったのです。
そして・・・最悪―――「最強の味方」が・・・一転「最凶の敵」として現れてくる事態も、考慮しなければならなくなったのです・・・。
=続く=