「仲間」・・・と、信じていた者達にとっては、「その予言」は、とても信じ難いモノでしたが、
その組織の最高責任者からの指令により、「仲間」の動向を見張っていた者からの報告により、
『ラクシュミ』と『カーリー』は、地球にいる「ある人物」に、ある依頼をする為、一路急いでいたのでした。
ですが、本来ならば、依頼を受けなければならない立場の自分達が、よりによって依頼をしなければならない立場に追い込まれようとは・・・
『ラクシュミ』は、「ある人物」が居を構えている、ロマリア国の「シャルルマーニュ」に着くまでの道中、苦笑を噛み殺していたモノでした。
そして―――シャルルマーニュにある「花屋」・・・『フォゲットミーノット』の前で、店番と見られる少年に「店主」の不在を問うてみた処・・・
ユ:お待ちしておりました・・・そろそろ来る頃合いだと思っていましたよ。
『相も変わらず・・・こちらを見透かしたかのような態度―――手強い人ね。』
ミリヤは、この「ある人物」・・・ユリアに畏れを抱くと共に、「今」は味方でいてくれている事に感謝の念を惜しみませんでした。
それよりも、取り敢えずは・・・今回、ユリアに協力して欲しい―――と、要請を願い出てみた処・・・
ユ:その「要請」は、わたくしでは荷が重かろうと云うもの・・・ですが、「適任者」ならばおります。
確かに、見かけの上でも「淑女」の形をしている者に、「ディーヴァ」の内でも、戦闘能力に関してはトップ・クラスを誇る者を相手には出来ないのかもしれない・・・
そこでユリアは、そうした任務に最も適している人物を推挙げたのです。
そして、呼ばれた人物とは・・・ユリアと同様の、「匂い立つ女性」―――・・・
誰:(・・・)この私を、お前から離して、私がいないでいる間・・・またお前は何を企もうと云うのだ・・・。
ユ:フフフ・・・厳しいお言葉・・・。
その言葉、よぅく胸に刻み込んでおきましてよ。
誰:フ・ン・・・それで、相手は誰になるのだ。
しかし・・・次の瞬間、この人物の評価を一段階引き上げねばなりませんでした。
その人物こそは、今は肉体を失ってはいるものの、その魂こそは不滅―――
ヴァンパイアの「大公爵」により与えられた仮初の肉体にて、変幻自在―――縦横無尽の活躍を見せる、
『龍皇』こと、スターシア=ラゼッタ=アトーカシャだったのです。
こうして、スターシアの加入によって、戦力の増強を図ったミリヤ達と並行して、
こちら・・・現在では、仲間内の「ディーヴァ」ではなく、『ピース・メイカー』と行動を共にしているジゼルは・・・
ジ:・・・―――
フ:どうしたの・・・深く思い悩むなんて、あなたらしくないじゃない。
ジ:(・・・)「こんな時」の私にだって、悩む時はありますよ。
それに・・・事態が深刻になりつつあります。
フ:それほどの?
ジ:ネットの検索によれば、「デフォー商事」が上場していた株式が急騰・・・
またそれにより、関連企業や会社の株式も軒並み吊り上っています。
そこで、考えられる事は、ただ一つ―――・・・
フ:つまり・・・それが、「成功者」がいなくなった事により、利権を得た者達だ・・・と、あなたは推理するのね。
ジ:「推理」・・・などではありません、これは最早「確定事項」です。
その証拠に、彼が亡くなった直後・・・にではなく、時間経過などによって彼の事が忘れられようとしている「現在」になって・・・
しかも、彼の「妻」も、最早いない―――と、なれば・・・
フ:フフフ―――やはり、あなたを択んでおいて正解だったわ・・・。
それに、その情報のリーク・・・既に「報告済み」なのでしょう。
ジ:(・・・)半ば、敵になるかもしれない、あなたと一緒にいますからね。
云わば「それ」は、失点の帳消し稼ぎ―――ですよ。
普通ならば考えられない事に・・・ジゼルは、フランソワの不意の訪問から今まで、彼女の為に情報を収集し、意図的に『ラクシュミ』・・・ミリヤに流してさえもいました。
その事をジゼルは、敵になるかもしれないフランソワに協力をしているのだから・・・と、お為ごかしの様な云い訳をしたモノでしたが、
フランソワには「それ」が、自分の行動を逐一監視し、報告させている「指令」だとも思っていたのです。
ですが・・・果たして真相の方は―――・・・
現在、クーレに戻ってきたミリヤ達は、「仲間」からの報告を受けている最中でした・・・
ミ:なるほど・・・ではバルディアは、その危険性は感じていたわけなのね。
ヘ:ああ―――その事を知っての上だったのに・・・面目ない。
ミ:気にする事はないわ。
バルディアがそう感じていたのなら、いずれ・・・早かろうが遅かろうが、今回の事態になっていたはず。
それに、バルディアからは「既に手は打ってある」と云われたのでしょう。
ヘ:ああ―――・・・
(・・・)それより・・・誰?この人・・・
ミ:フフ―――ああ、彼女? 彼女は・・・
ス:私の事ならば気にしないでもらいたい。
単なる「お荷物」だ。
ヘ:(おいおい、「お荷物」・・・って―――)
大丈夫なのかい・・・
今回オンドゥで起きた事態、「マリアの失踪」の報告を受け、実は「そのコト」もまた、「ディーヴァ」の想定内である事の見解が述べられたのです。
ですから、その為の「事前措置」である―――『既に手は打ってある』・・・
その言葉を反復した時、ヘレンの視界の端にいた「麗人」の姿・・・
すると、この「麗人」からは、『自分は「お荷物」なのだから・・・』なのだと云うのです。
これから、仲間内でも「最強」と謳われた戦士が、「敵」となって襲って来ようとしている時に、
なんとも悠長な事を云うモノだろうかと、ヘレンは心配になってきたモノだったのです。
すると・・・丁度その時―――・・・
第二百三十五話;「事件」裏の真相
ミ:(!)あら、あの子からだわ・・・
―――はい、どうしたの。
「仲間」の一人から繋がれた回線を通し、すぐに応答に出るミリヤ・・・
するとそれは、云うまでもなく『サラスヴァティ』からの報告だったのです。
ジ:『ミリヤ様、お時間の方・・・よろしいですか。』
ミ:ええ、いいわよ・・・。
ジ:『それでしたら早速・・・現在私は、「ある人物」からの依頼により、その人物と一緒に行動をしています。』
『その「ある人物」とは―――『ピース・メイカー』こと、フランソワ=エヴァ=ベアトリーチェ・・・』
ヘ:(!!)ん゛~だとぉ?! くらぁ―――ジゼル!! あんた、奴と私との因縁知って・・・て・・・??
ジ:『・・・あの―――大丈夫なのでしょうか?』
ミ:ええ、大丈夫よw お陰で「役に立つ」事が判ったみたいだし―――w
それで?
ジ:『はい・・・実は―――今回、フランソワから直接、「調べて貰いたい」・・・と云う依頼がありまして、
そこで調べてみた処、意外な事実が発覚してきたのです。』
そこで今回の報告の内容を話してみた処、やはりタダでおかなかったのはヘレンでした。
ヘレンはフランソワの事をあまり好くは思っておらず、仲間の一人がフランソワと現在、行動を共にしていると云うのを聞けば、当然面白いはずもなく、
喩えそれが、通信用の画面であっても、喧嘩腰になってジゼルに喰ってかかろうとしていたのです。
ところが・・・その様子を見ていたスターシアは、「報告の邪魔になる」とでも云いた気に、腕力にモノを云わせて瞬くの間にヘレンを捻じ伏せてしまったのです。
その事に―――当初ヘレンは、何が自分の身に起こったのか、理解するのに時間がかかったモノでしたが、
ふと我に帰った時に、捻じ伏せられた自分を省み、
まさかこの事が、先程―――自身の事を「お荷物」だと云っていた者の仕業なのかと思うと、急に大人しくなってしまったのです。
それに、そうした素早い対応を見せてくれた事に、ミリヤも内心ほくそ笑まずにはいられませんでした。
そして、改めてジゼルからの報告を聞くのには―――・・・
フランソワからの依頼絡みで入手した情報・・・その情報の内に、実は「成功者」の自殺は、本当は「自殺」なのではなく、
何者かによって仕組まれた、巧妙な「偽装殺人」なのだと云う事が、時間を隔てた現在、浮き彫りになってきた・・・と、云う事だったのです。
=続く=