ミ:あの事件が・・・やはりそうだったと云うのね。
メ:ミリヤ様は・・・何かご存知なのですか?
ミ:(・・・)あの当時の各種報道でもなされていたように、「成功者」が自殺をする―――と、云うのは、
この私ではなくても、誰でも引っかかっていた事なのよ。
なのに・・・落ち着くところに落ち着いてしまった―――
ス:(・・・)と、するならば―――「流れ」・・・か。
ミ:フ・フ―――ご明察。
どうやら腕力自慢だけではなさそうね、安心したわ。
そう・・・「何者か」が、「成功者」の死は「自殺である」・・・と、そう思わせるだけの「筋書き」が、既にお膳立てられていたのよ。
『サラスヴァティ』からの報告により、『ラクシュミ』は、過去に遭った事件とその顛末について、彼女自身が抱いていた疑問をそこで披露して見せたのです。
あんなにまで強固な意志を持った・・・
一度、地獄の淵より這い上がってきた者が・・・スキャンダラスな事を挙げられたくらいで―――
そんな事くらいで・・・自ら命を断つ事など、考え難い―――・・・
そして今回、何らかの事情により、今まで「表」に出て来なかった、「裏」の真相と云うモノが、顔を覗かせ始めた・・・
そこでミリヤは、現在、自分達の組織内で起こっている「ある出来事」と並行させ、ジゼルに・・・「その事件」の解明を―――
いわゆる、「成功者」を抹殺す事に関与した者達のリストアップをさせたのです。
すると・・・ここで注目すべき存在が、浮上してきたのです。
ミ:「デフォー商事」・・・ここは確か―――
ジ:『はい・・・ここ最近で、上場している株式が、急騰して来ている企業です。』
『それに・・・「デフォー商事」と、取引関係にあった企業も、軒並みに上がっています。』
以前に・・・ジゼルが指摘していた「大手企業」が、このタイミングになって利幅を上げていた・・・
その事にも気にはなってくるのですが・・・取り敢えずは―――「煙」が上がってきている「火元」を確かめる為、
『カーリー』と『パールヴァティ』を動かせようとする『ラクシュミ』・・・なのですが―――
すると、事態の成り行きを静観していた者は―――・・・
ス:(・・・)気に入らんな―――
ミ:(・・・)何が―――ですか。
ス:「裏」の社会では、既知の事実になろうとしていると云うのに、敢えてこちらの動きを見透かしたかのような「情報漏洩」に・・・だよ。
まあ・・・この私も、よくこの手には引っ掛かっていたから、余り偉そうなことは云えないが・・・ね。
「獲物」を捕獲した時、誇大表現をされて・・・存外「小粒」だった事を知った時の、あの悔しさときたら、「それ」を経験した者にしか判らない事だし・・・な。
ミ:(・・・)では、どうしろ―――と?
ス:私が・・・知っている内でも、「奸計」に長けている奴に、奴自身の見解を訊いてみる事にしよう・・・。
まあ・・・奴が、素直に返答えてくれるモノとは思えないが・・・な。
静かに―――落ち着いた口調で・・・今回ジゼルが収集した情報が、「仕組まれている」のではないか・・・と、スターシアは疑ったモノだったのです。
そうした判断の裏の背景には、スターシア自身の苦い経験が素になっている・・・と、云うのですが―――
またスターシアからは、よく自分を、そうした「奸計」に嵌めた事のある存在を臭わせ、
その存在に、ここまでの経緯を話す事により、その存在の見解を訊こう・・・と、したのです。
ですが―――・・・
ス:(・・・)ああ―――ユリアか・・・私だ。
ユ:『どうしたのです〜〜こんな時間に・・・』
ス:ご就寝中だったか―――だが、すぐに頭が冴えるぞ・・・
実は、「デフォー商事」なる、大手企業の事なのだが・・・
ユ:『(・・・)ああ―――かなり以前から噂にはなっていましたわね・・・。』
『なんでも・・・「成功者」からもぎ取った利権を元手に、「社債」や「資本」に充てたことで、傾きかけていた自社を、現在では「大手企業」までに持ち直させたのだ・・・と―――』
ス:そうか・・・そう云う事だったか―――・・・
それでは、その企業の「裏」には、「誰」がついているのだ・・・?
あたら死にかけていた企業が、『文殊の知恵』でも使って、起死回生を図った―――などと、そんな絵空事を信じているお前ではあるまい。
「何と云う深い読み・・・!」
この自分と同等の―――いや・・・それ以上の事情を語る二人に、ミリヤは・・・
実はユリアは、自分から行動を起こすと云う事が億劫なのではなく、今回の事案が、もしかしたら大規模な戦闘にまで発展するのではないか・・・と、予測し、
そこに敢えて、ヘレンでさえも簡単に捻じ伏せられる、制圧の実力を持つスターシアに、後事を託したのだ・・・と、思っていたのです。
そしてその事は、次第に―――・・・
ユ:『(・・・)ウフフフ・・・このわたくしの事を買い被ってくれているのは有り難い事なのですが・・・』
『わたくしも、自分が知る以上の事は、判りませんのよ?』
ス:(・・・)ち―――逃げられたか。
ミ:(?)どうしたと云うのです?
ス:奴さんは、深い事情までは知っているが、その事が知りたければ、直接私自身が確かめろ―――だと。
メ:しかし・・・そこまでの会話は―――
ス:そうした「本意」までも語りたがらず、言葉の裏打ちだけで相手に知らしめさせる・・・。
それが、奴が最もよく使う手口だ―――お陰さまで、こちらもそうした謎解きの知恵もつこうと云うモノだ・・・。
それに・・・フッ―――皮肉な事に、奴自身の『盟主』に似つつある。
これはこれで喜ぶべき事なのか―――困ったことだよ。
その「真意」「本意」までを述べず、そうした疑問への解答の入口まで導き―――それからの後は、自分自身で見極めよ・・・
何も、望むモノを総て与えるのが「最善」とまではしない―――但し、それまでの「お膳立て」とも思える『解』までの材料を取り揃えていた事に、
スターシアは・・・ユリアは既に、事の真相を把握している―――と、していたのです。
第二百三十六話;明るみになった「氷山の一角」
だからこそ、ユリア自身の知る「解」と同じくになるよう、数値や公式まで開示してくれた・・・
あとは・・・そう―――スターシア自身が、用意された公式に准え、「解」を割り出せばよいのです。
そして―――ミリヤ達は、「デフォー商事」へと詰めかけ・・・
ヘ:さっさと喋りなよ―――もうネタは上がってんだからさ。
メ:手荒なマネを・・・それでは、私達が知りたい事は喋って貰えませんよ。
ところで・・・ミリヤ様―――
ミ:(・・・)ダメだわ―――この者は既に、情報操作を受けている可能性がある・・・
この私の―――「月詠」にかからせまいと・・・大事な処を、「マスキング」されている・・・??
「デフォー商事」の会長邸宅に押し掛けてきた美女四人は、瞬くの間に会長の護衛達を無力化し、
この会社の「裏」に、誰がついているのか・・・と、そう問い質そうとした処―――
「月詠」を持つミリヤでさえも、容易に判らせないように工夫をされていた事に、地団駄を踏みそうになったのです。
ところが―――・・・
ス:(・・・)ふうむ―――どうやらこいつは、「念入り」に・・・「前もって」・・・そうされていたワケではないようだ。
これを見たまえ―――お粗末な事に、大事な帳簿の管理や連絡交換の記録などは除去されていない。
そうした処を踏まえると、私達が踏み込むまでの数時間前に、向こうさんが押し掛けてきた・・・そう云う事だ。
それも・・・顔見知り―――だな。
なぜならば、番犬共は私達に吠えかかって来たではないか・・・。
その瞬間―――この部屋の空間が、ほんの少し揺らめきだした・・・
その事を、自分達がここへと来る以前に、証拠の隠滅を図る為ここへと来ていた存在なのだ―――と、メイベルは判断をすると、
その存在を確保するため、状況を開始しようとするのですが・・・
ス:待て―――そんなに慌てることはない・・・
メ:(・・・)ですか、折角の証人を―――・・・
ス:(・・・)『ロイド』―――か・・・
スターシアがその存在を口にすると、大手企業の会長に、或る反応が現れるのでした。
そしてそれは、紛れもない・・・その存在こそが、「成功者」に関わる一連の事件に、多大な影響を与えていた『黒幕』でもあったのです。
それこそが、『ロイド保険会社』―――・・・
宇宙でも最大手の、「信用」「信頼」を売り物にしている、そんな「大企業」が―――
たった一人の「成功者」を、そんなにも畏れていたモノとは―――・・・
しかし実は・・・それでも、まだ「氷山の一角」に過ぎなかったのです。
その事実を、やがてユリアの口から語られる事になろうとは―――・・・
そしてその事実こそは、現在「ディーヴァ」が抱えている「ある問題」にも、直接関わっていた事でもあったのです。
=続く=