UP本庁にある「長官室(自分の部屋)」に、未明の何者かの侵入を許してしまったことで、一時的にドロシーは気が動転していました。

 

しかし・・・よくよく考えてみれば、自分は「UP長官」である身・・・

それに、この「未明の何者か」は、常識的に考えてみても「不法侵入者」・・・

 

ならばここは―――・・・

 

 

 

ド:フ―――フフフ・・・この私とした事が・・・

  お前が何者で、何を考えているかは知らないが、墓穴を掘ったのはお前の方だ!

  「UP長官」である、この私の部屋に無断で入り込んでくるなど・・・自分の無知を思い知るがいい!!

 

 

 

「UP長官」と云う、自分の身分を最大限に利用し、世間的には不都合な、自分の事実の一つを有耶無耶にしようとするドロシー・・・

 

そう・・・彼女は―――「UP長官」である前に、「七人の魔女(セヴン ・ シスターズ)」の一人『テレジア』でもあるのです。

 

ただ、今回は・・・「七人の魔女(セヴン ・ シスターズ)」の事実上のトップから、計画としていた案の実行を承った・・・

その時に「未明の何者か」の侵入を許してしまい、少しばかり焦っただけ・・・

対極的にはそう変わりはない―――と、そう思っていたら…

 

 

 

誰:フン―――フッフッフフ・・・に〜しても、まあ巧い事を考えよったもんよのう。

  あたら、宇宙の秩序を護らせる―――護る処の、それも「長」が、混沌へと導く組織の一員たぁ、誰もが思いよらんかったことよ、

 

ド:(??)フ・・・ン―――何を世迷い事を・・

  お前が今更何を語ろうが、事実として「長官室」へ無断で入った事は否定できまい!

 

誰:ふ〜む・・・そりゃ、ちと(まず)いのう―――

  ほなら、何か適当な理由でもこじつけにゃ、いけん云うことよ・・・。

 

ド:(・・・く)この期に及んで減らず口を―――それに大体、お前は何者・・・

 

 

 

痛い処を衝かれてしまい、完全に後手に回ったドロシー・・・

それに、この「未明の何者か」も、時間が経つにつれ、ドロシー自身でもどことなく判りかけてきたのです。

 

この・・・荒々しくも暴力的な言葉遣いは―――

この・・・肌に突き刺さるかのような「気」は―――

しかも・・・どこかで聞いた事のある様な―――「声」???

 

・・・と、そう思っていた時に―――

 

 

 

誰:ほおお〜〜? おんどれも知っとってのことじゃあ思いよったがのう・・・このわてのことを・・・。

  ま、思い出せんのなら、自己紹介でもしちゃろうよ、そっちの方が適当な理由づけにもなるじゃろうけん・・・のう。

 

  わては―――この度限り、『マシロヒ会・会長』に返り咲いた・・・

レ:レヴェッカ=カストゥール=フェルナンデス―――ちゅうもんよ。

  まあ・・・云うたら、おんどれらUPとは、斬っても切れん(なか)―――ちゅうわけよ。

 

ド:(!!)レ・・・レヴェッカ!! すると・・・お前は―――

 

レ:フ・・・そう云う事よ―――「適当な理由づけ」にゃ、最適じゃろうが・・・

  なにせ―――おんどれらが推進させちょる、「反社会勢力撲滅キャンペーン」の対象になっちょる「大物」が、

  わざわざ―――「長官室」まで「出頭」してきちょるんじゃけえ・・・のう!!

 

ド:(く・・・っ!)お・・・おのれぇぇ〜〜!!

 

レ:じゃがのう―――本来の目的を云わしてもらやあ・・・

 

 

 

「未明の何者か」からの自己紹介―――するとそれは、現在UPが掲げている「一大キャンペーン」・・・

「反社会勢力撲滅キャンペーン」の・・・その(なか)でも上位にランキングされている「最重要人物」だったことが判明してきたのです。

 

いや・・・それより―――・・・

ドロシーが一瞬にして理解し、焦った事は、寧ろそちらの方ではなく・・・

 

すると突然、ドロシーは―――

 

 

 

ド:(・・・)フッ―――フフフ・・・愚か者が。

  丸腰で私の前に現れようとは、勘違いだけはしたくはないモノだな・・・。

  「元」・「七人の魔女(セヴン ・ シスターズ)の『イセリア・クィーン』―――

 

  それに―――ククク・・・それに、丁度いい、最近UP内でも、「七人の魔女(セヴン ・ シスターズ)」の事は取り沙汰されていたからな・・・。

  あのバカどものお陰で・・・あれだけ表沙汰になる(め     だ     つ)様な事は控えろ―――と、云っていたのに・・・

  まあそこは、私の権限で深い処までは探らせはしなかったが・・・

  それに、哀しいかな―――あの四人は、所詮「頭数合わせ」・・・真の「魔女」は、私達三人で事足りていたのだ!!

 

   そして、今ここに・・・「七人の魔女(セヴン ・ シスターズ)」のメンバーがいるではないか!! そうだろう・・・『イセリア・クィーン』!!

 

 

 

自分のデスクに取り付けられている「隠しスイッチ」を押すと、瞬時にしてレヴェッカの立っていた地点に・・・

「マイクロ・ウエーヴ波」「粒子加速戦」「重粒子線」等が照射され、哀れレヴェッカは・・・身元不明の消し炭となったのでした―――

 

それに、ドロシーにとっても都合の良い事として、この「身元不明の消し炭」を、最近UP内でも話題に上ってしまっている、

自分達が所属する「七人の魔女(セヴン ・ シスターズ)」のメンバーの一人に仕立て上げようとしていたのです。

(しかし事実・・・『イセリア・クィーン』事レヴェッカは、過去の「七人の魔女(セヴン ・ シスターズ)」なのではあるが・・・)

 

だから・・・これで―――・・・

 

 

 

レ:(・・・)フフ―――フフフフ・・・

  急に、気持ちのええことしてくれなやww

 

  それにしても・・・おんどれも気の利いたサービス―――ちゅうもんを、してくれるもんよ・・・のう。

 

  なにせ、わては、おんどれを抹殺(と る)ために来た―――ちゅうのに・・・

  それを、最近のわての肩コリやら腰痛をどうやって知ったんか知らんが―――今ので取れたで♪

 

ド:(な?!)ば―――莫迦な・・・奴は不死身か??

 

 

 

殺人的な光線を浴びせられても、傷一つどころか、生き生きハツラツとしてしまっている事に、

ドロシーの脳裏には「ある事」が(よぎ)ったのです。

 

そう・・・「過去」のメンバーの中には―――・・・

 

 

 

レ:ほほお〜えらい察しがええようじゃのう―――

  ほうよ・・・わてのもう一つの名は―――

 

 

第二百四十九話;拳帝神皇(ホ  プ  リ  タ  イ)   =真説魔女狩り=

 

 

ド:(ホ・・・『拳帝神皇(ホ プ リ タ イ)』?! では・・・するとならば・・・!!)

 

 

 

ドロシーは、ある時分に・・・自分の盟主から「ある事実」を告げられていました―――

 

『よくお聞きなさい・・・ドロシー、「過去」のメンバーの(なか)には、「不死者」の存在があります。』

『そうした者達には、決して近付かぬよう・・・』

 

そして今―――自分の目の前には、「そう」だと名乗る存在がいる・・・

 

拳帝神皇(ホ プ リ タ イ)』―――「武器」や「得物」を一切用いず、己の「拳」や「脚」にて、「天下を取る者」の意―――

そして同時に、呆れるくらいに「不死身(しなないからだ)」を持つ者―――

 

それに―――・・・

 

 

 

ド:(・・・く!!)

  警備部は何をしている!! 「長官」たる私が襲われていると云うのに・・・!!

 

レ:(・・・)来やせんよ―――誰も・・・

 

ド:(??)なに・・・

 

レ:来やせんのんよ―――いや・・・そもそも、ここが・・・今こがぁになっとる事すら、誰にも感づかれとりゃせんのんよ。

  逆に云やぁ・・・それだけの準備(コ ト)をしてきたけん、わてがおんどれの前に現れとるんよ。

 

ド:(・・・)なぜ?? いつから―――・・・

 

レ:わてが―――ここへと来た時から・・・

 

ド:莫迦な?! ここのセキュリティに関しては、同志の『ロクサーヌ』が・・・

 

レ:(・・・)ま―――種を明かしてしまやぁ、侵入する時にはわての仲間の力を借りたが・・・

  ここのセキュリティ・プログラムのソースを書き換えるくらいは、わてにもできる芸当じゃけん・・・のう。

 

ド:(!)でも・・・現にお前は―――

 

レ:フフフフ・・・ならなんで、殺人光線が照射されたか―――

  おんどれも、これから死に逝くのに、何も出来にゃ忍びなかろう・・・

  そう思うて、このわてからのささやかなハンデをくれちゃったんよ。

 

 

 

「UP長官」たる自分が遭難していると云うのに、誰一人として駆け付けて来ない・・・

 

まるで・・・何事もないかのように・・・

 

まるで・・・現実と隔離されているかのように―――・・・

 

「魔女」が戦慄をする・・・かつてない危機に晒されたが故に―――

 

「不死者」は嗤う・・・そこまでの戦術を準備(た て)たから、標的の前に現れたのだと―――

 

そして 始まる ・・・

 

真の意味での『魔女狩り』が―――・・・

 

 

 

 

=続く=

 

 

 

 

あと