「魔女」である自分を狩る為に現れた「不死者」に・・・ドロシーは戦慄していました・・・。

 

それにしても・・・「まさか」―――

 

そんな思考が、目まぐるしくドロシーの頭の(なか)で交錯していた時・・・

 

 

 

レ:ほなら―――覚悟して貰おうか・・・

ド:(く・・・っ!)このまま・・・このままでは終わらない!!

 

 

 

どうしようも―――どうにもならない「現実」・・・

物理的には、なす術がなく・・・また化学兵器を用いても、髪の毛程度の傷すらも負わせられない・・・

ならば、古典的に「銀の弾丸」や「聖水」を用いるべきだろうか・・・

いやそれも、一説によれば「より高位の不死者」には効果がないと云う・・・

 

・・・「より高位の不死者」―――??

 

まさか、この存在は―――・・・

 

「不死者」であると云うレヴェッカからの危機から逃れる為、ドロシーは「長官室」にある「シークレット・フロア」へと移動していました。

その時に上記の様な思考を紡いでいたのです。

 

そこで到達したのが、「より高位の不死者」―――・・・

あの「ヴァンパイアの真祖」をも凌駕すると云う、更なる「不死」なる存在・・・

それは得てして、「不死の王者」と云っても差し支えなかったのです。

 

そして我々は・・・そんな「唯一」の存在を知っている―――・・・

それが「死せる賢者(リ  ッ  チ  ー)」―――・・・

 

けれど、あの存在を世間に公表しているのは、「あの人物」のみ・・・

なのに・・・「あの人物」以外にも、そうした存在がいるのだろうか―――と、ドロシーは詮索したのです。

 

しかし、その詮索もまとまらないうちに・・・

 

 

 

レ:「追いかけっこ」に「かくれんぼ」は、(しま)いかぁ?

  わても、おんどれの遊戯(おあそび)につきおうちゃおれんのじゃわいや。

 

ド:(・・・)減らず口を―――私はただ、私の「奥の手」を発動させる為に、ここへと来ただけだ!

  そして後悔するがいい―――・・・この「区画(フ ロ ア)」は、私が「長官」に就任してから、誰にも知られぬよう秘密裏に創らせたモノ・・・

  ここで何が行われようが―――

 

レ:表沙汰にゃあならん・・・おんどりゃあ、ええ趣味しとるわい―――w

  ここの壁に()みついた血が、ここで何があったかを物語っちょる・・・。

  あたら、おんどれに都合の悪い者を抹殺(け す)ために、使われたんじゃろうよ。

 

ド:フ・・・ン―――判っているようじゃないか・・・

  そしてお前も、この「壁の()み」の一つとなるがいい!!

 

 

 

「恐怖」が・・・あちらの方からにじり寄ってきた・・・

 

レヴェッカも、自分の本懐を遂げるべく、ドロシーを追尾し・・・そして行き着いた先―――

「長官室」にある、他のUP職員ですら知られていない内に創られたと云う、「シークレット・フロア」・・・

しかもその場所は、「長官」であるドロシーの都合に悪い者達を、数多く葬ってきたと云う―――云わば「私刑場」・・・

 

ここに迎えられて、生きて出た者は・・・いない―――

これまでも・・・そしてこれからも―――・・・

 

なぜならば、ここには―――

 

 

 

レ:ほぉ〜う・・・ほほぉ〜う・・・

  殊の外、児戯が好きな長官殿と思いきや―――ほんまに児戯が好きじゃったとはのう・・・

 

ド:フン・・・その余裕、どこまで見せれるか試してくれるわ―――

  この「パワー・ド・アーマースーツ」は、我が同胞の一人である『ロクサーヌ』が開発したモノ・・・

  これでお前もお終いだ―――!!

 

 

 

あらゆる衝撃から所有者を護るため、あらゆる可能性を考慮した上で設定された装甲―――

それが『テレジア』の「奥の手」でした・・・

 

そして、「これまで」は、この区画に通された、自分(ドロシー)に都合の悪い者達は、皆一様にして顔が蒼くなり、

無様にも泣いて(すが)りつき、命を乞うてきたモノでした・・・

 

それに、そうした無様な格好に表情が、これ以上もなくまた面白く、そうした者達を虫けらの様に甚振(い た ぶ)り尽くすのも、

これまた、なんとも云い様のない快感でもあった―――・・・

 

そしてそれは、「これからも」―――・・・

 

しかし、この「パワー・ド・アーマースーツ」を目にしても、何一つ動じないこの者は・・・??

 

 

 

レ:ほなら〜〜ちゃっちゃ―――と、始め・・・いや終わらそうかいのぅ・・・。

  それに、これでちったあ加減をせんでもよさそうなわいw

 

 

 

「フン・・・見え透いた余裕―――を??」

 

自分の装甲を見ても、眉一つ動かさない者に対し、この装甲の性能を知らない・・・所詮は愚か者、所詮は無知者だと思っていた矢先、

レヴェッカからとてつもない「何か」―――が放射され、直撃を受けたその装甲は・・・

 

 

 

第二百五十話;『拳帝神皇』の「拳」

 

 

 

レ:(・・・)ほほぉ〜う―――今のに耐えられるとは・・・のう。

 

ド:(う・・・ぐっ―――な・・・なんだったのだ・・・今の・・・は。

  ・・・ナニ?? 莫迦な?! あらゆる衝撃に耐えられるよう設計された「アーマー」の・・・耐衝撃吸収のキャパシティーを・・・遙かに超える数値を検知??)

  い・・・今―――何をした・・・お前・・・

 

レ:う〜ん? 知らんかったか―――?

  今のが、この『拳帝神皇』の奥義が一つ―――『波動烈風波』

  おんどれの・・・その装甲(ごっついヤツ)の程度を見図る為に放ったんじゃが・・・最早見切れたわいw

 

ド:(〜〜うぬぬ・・・)抜かせ―――!

  ならば今度はこちらから・・・「アーマー、『リパルサー』を展開!」

 

レ:ほほぉ〜う・・・中々やりよる―――

  じゃがのう・・・『暗琉天破』!!

 

ド:(!! バ・・・バカ・・・な! こちらの電磁波を・・・無効??)

  お・・・お前―――は・・・一体??

 

レ:これから死に逝く者に、何を教えちゃっても無駄じゃろう・・・

 

ド:(くうぅ〜っ・・・!)『リパルサー・レイ』!

  (!! バ・・・バカ・・・な―――私の『リパルサー・レイ』が・・・ヤツを狙ったはずの光弾が―――逸れた??)

  ああっ・・ぐうっ―――・・・

 

レ:そろそろ観念せい―――この『賢下五人』の一人であるわてに、目を付けられたが運の尽きよ・・・

 

ド:(やはり!! では―――・・・)

 

レ:闇へと堕ちた者は、闇に滅せい―――!!

  『天将奔烈』―――!!!

 

 

 

道理で・・・敵うはずがない・・・

私は・・・いや、我々は―――相手にしてはならない者達を、相手としてしまったのだから・・・

 

けれど・・・この「事実」の報告を―――私・・・の・・・盟主・・・に・・・し・・な・・・け・・・れ・・・

 

しかし、そのドロシーの願い叶わず―――その装甲の防御面に措いてのキャパシティーを、遙かに超えるダメージを受け、

その装甲もろとも・・・ドロシーの存在も掻き消えてしまったのです・・・。

 

そして―――・・・

 

 

 

レ:「お〜う、Dr―――こっちは首尾よう済ましたでぇ、そっちの塩梅はどうない。」

 

D:ほむ・・・さよう であるか

  さなりとて たやすく かたづけるものと おもいかば げにも むつかしけれ?

 

レ:「ケッ―――あんたぁも、いびせないやっちゃのう。

  こっちも、永らく前線から遠のいとったもんじゃけん、腕が(なま)っとりゃせんか、試したんよ―――」

 

D:ほむ・・・なれど たわむれも ほとほとにせよ―――

 

 

 

「魔女」の一人を滅し終えた事を、何者かに連絡をするレヴェッカ・・・

しかも、その連絡先も旧知の仲のようで―――・・・軽口を叩きながら、通信を終えたのです。

 

それにしても、この連絡先の相手とは―――・・・

 

まず「場所」は―――「アカデミー」と呼ばれる施設・・・

そして、レヴェッカが「Dr」と呼んだ存在こそ・・・

 

現在では「アカデミー」の「化学科首席教授」を務める・・・

ルーシア=ヴィンデミアトリクス=アーデルハイド―――

この「彼女」も、レヴェッカの同胞(はらからのもの)なのです。

 

 

 

 

=続く=

 

 

 

 

あと