その人物の「本来の目的」とは、この度、別の宙域への転任が決まっていたジョカリーヌに随伴する為、ある役目を終えたリリアと共に地球へと来ていたのでした。
そして、「目的」通りに、ジョカリーヌに随伴して転任の地へと赴くミリティア・・・
そんな彼女達を見送ったリリアには、或る意味予測通りの追及が待ち構えているのでした。
リ:(サイナラ〜)
はあ〜あ・・・やぁ〜ッと、清々したあ〜―――!
ミリ:それよりも、説明して頂きたい事があるのですが―――
リ:(ははは・・・「説明」―――ねえ〜・・・)
「面倒」・・・なんだけど、しなけりゃこのまま終わりそうもないようだなぁ―――・・・
メ:当然ですっ―――! そもそも、あのミリティアとか云う者は、なんなのですか!!
その最初に、いきなり核心を衝いてくる質問―――
地球の「前代表」を、「じゃじゃ馬」だと揶揄し―――自分の主にも似た背格好をしている、「ミリティア」なる人物・・・
その質問に、リリアは―――・・・
リ:ああ〜〜あの人の事な。
あの人もどうやら、「賢下五人」の一人みたいなんだ。
ミリ:(!)「死せる賢者」の?!
ミト:ガラティア様と同じ・・・!?
しかし―――「死せる賢者」を称するのは、あの方ただ一人・・・なのでは?
リ:あ〜〜そこん所の事情は、あんまし良く判んないんだけど・・・
あの人達も、そこんところを知られたくなかったんじゃねえの?
メ:そう云えば・・・「賢下五人」―――都合、あと三人いるのですよ・・・ね。
ミリティアの人物像を説明する上で、欠かせない特性・・・それが「死せる賢者」―――
ですがミトラ達は、ミリティアより以前に、その特性を持ち合わせている人物を、たった一人知っていました。
それが・・・ガラティア=ヤドランカ=イグレイシャス―――
それに、「死せる賢者」の称号も、後にも前にもガラティアを措いて使う存在がいなかった為、
ガラティアのみが、「そう」だと思われていたのです。
が・・・次にミリヤが口を開いた時、信じられない事が―――・・・
ミリ:あとの三人は・・・「レヴェッカ=カストゥール=フェルナンデス」「エリーゼ=ポルックス=フェルナンデス」
そして・・・「ルーシア=ヴィンデミアトリクス=アーデルハイド」―――
メ:(!!)ミリヤ様―――あなたは知っていらしたと云うのですか?!
ミリ:ええ―――と、云うより、以前こちらに来ていたエリーゼとルーシア・・・あの二人の事が気になりましてね。
それでジゼルに調べさせていたの。
その結果、エリーゼは表向きは「漫画家」と云う事になっていますけれど、裏の業界では『破壊者』の名で知られている事が判明したわ。
メ:『破壊者』・・・!!
まさか―――彼女が?!!
リ:メイベル―――知ってたんだ。
メ:噂には聞いた事があるだけです・・・。
しかし―――今なら納得できます・・・。
ミリ:そのエリーゼと「双子の姉妹」なのが、レヴェッカ―――
彼女の事はすぐに判りました。
なにしろ「ディーヴァ」の性格上、最要注意の人物なのですからね。
ミト:どう云う事なのだ?
リ:あ〜〜あの人ね〜〜―――「マシロヒ会」・・・って云う、ちょいヤバめの組織のトップなんだ。
ミト:それをどうしてリリアが知っている。
リ:そこんところも・・・な、今回いろいろ廻ってて知り合ったわけよ―――
でもな〜〜あの人、そんなには悪そうには見え・・・
ミリ:当人がそう見えなくとも、彼女が首領である「組織」が問題なの。
リ:あ・・・ははは〜〜―――やっぱそうなりますか・・・
メ:しかし―――と、なると・・・
ミリ:そうね・・・余り過敏な反応は取らなくてもいいみたい・・・。
それとあともう一人―――それが、現「アカデミー」の首席研究員・・・と、表向きにはなっていますが、
これが一皮むけてみれば・・・とある「兵器」の開発責任者だったのよ。
ミト:とある・・・「兵器」?
ミリ:「プロジェクト・ナンバー2501」―――あの「試作品」が、どう云うワケか・・・この地球に漂着していたようでしてね・・・。
メ:あの「兵器」が??!
アレ一つで・・・恒星系一つを破壊できるとまで噂された・・・?!!
ミト:そんな物騒なモノが・・・この地球に?!!
リ:ああ―――あの「ナオミ」とか云う人ね。
ミト:ナオミが?!! しかし―――彼女の事なら、昔から知っているが・・・
ミリ:あまり危険な臭いはしなかった・・・。
まあ―――「兵器」や「機械」である以上、プログラミングの善し悪しが問われてくるのでしょうね。
その事を踏まえた上で、今まで平穏無事―――と、云う事は、最初に組まれていたプログラムが正常に走査しなかった・・・か、
第三者によって書き換えられたか―――・・・その辺は、推して知るべしでしょうね。
あたかも、「賢下五人」の詳細を知るかのように、紡ぎだされてきたこと・・・
しかしそれは、以前―――この地球に来訪していた、エリーゼやルーシアの事を間近にて見聞し、
その事を不自然に捉えていたミリヤが、「ディーヴァ」の仲間であるジゼルに調査させて判っていた事だったのです。
そして、先程までいた人物も・・・最後まで判らなかった「残りの一人」―――
あのジョカリーヌまでもが、一歩後退して接していた処を鑑みると、少しばかり考えなければならないようだ・・・と、ミリヤは思っていたのです。
それはそれとして―――今回ジョカリーヌより、地球の代表を引き継いだリリアに、「交流の再開」を打診してみた処・・・
リ:いや―――ちょっとここは、様子を見てみようと思う・・・
メ:(な・・・)何を云っているのですか?!
私達が必要としている時に、要望に応えられない―――なんて・・・
ミリ:(・・・)待って―――
メ:ミリヤ様??
リ:―――・・・。
ミリ:(・・・・・・)
なるほど―――それがあなたの考えと云う事ですか・・・
判りました、受け入れましょう―――
メ:(??)あの・・・ミリヤ様???
ミリ:行くわよ―――メイ・・・
「もう少し我慢してくれ・・・」
その一言に、メイベルは思わずも感情的になりましたが、ミリヤとリリアの会話なき会話で、殊の外重要な取り決めが交わされ、ミリヤもそこの処は了承したのです。
そして、これ以上は長居は無用―――とばかりに、ミリヤとメイベルはその場を後にするのですが・・・
残されたミトラとリリアは―――・・・
ミト:なにを取り決めたのかは知らないが、「代表」としての義務は―――
リ:あ゛〜〜悪ぃ・・・それ、あんたがやっといてくれないか。
ミト:はあ? 何を云い出すのだ―――お前は・・・。
我が盟友から引き継いだ―――
リ:「代表」―――つっても、なにも政治を統れりゃ、優れてるってなもんじゃねえだろ。
ま・・・この惑星の運命左右する様な事は、「評議会」で議題に出せばいい事だからさ。
その他の細々とした事は、あんたの方でもできるだろ―――ミトラ。
リリアから核心を衝く様な事を云われ、口ごもってしまうミトラ・・・
実はミトラは、以前ジョカリーヌから打ち明けられていた事があったのです。
それが、「代表」としてのあり方―――・・・
そもそも「代表」とは、その惑星の意思を、外部に発信する役割―――
それをジョカリーヌは、一政治家としての立場を崩さず、自分達を導いてくれていたのです。
いや―――その辺りも、未熟な自分達が、一人立ちをするのがまだ尚早いから、手本となってくれていた・・・
その事にミトラは、ジョカリーヌからの説明を受けて理解をしていましたが・・・
なぜかリリアは既に知っていた―――
そして知っていた上で、重要な取り決め事以上は、自らは関わらないことを宣言していたのです。
それにこの時―――ミトラはまた一つ理解しました・・・
「だからなのだ―――だから盟友は、もう私達が、一人で立って歩く事が出来るのが判ったから、転任の話しを受け入れたのだ・・・。」
当初ミトラは、ジョカリーヌが今までよりかは、意外とあっさりと転任の話しを受け入れた事に、疑問を感じていました。
が・・・ここにこうして、高度な判断力が備わっている人材が出てくる事を予測したから、そうしたのではないか―――と、次第に思うようになっていたのです。
処変わって・・・ミリティアとジョカリーヌは―――
ジ:まさか本当に来て頂けるなんて・・・心強いです。
M:感謝の辞なら―――よい。
それより、「あの者」を野放しにしておく事の方が問題なのだ。
ジ:(・・・)はい―――判っています・・・。
それにしても・・・リリアの事を「竪子」だなんて―――少し意外でした。
M:ほう・・・そうか。
だが、我にしてみれば、意外でも何でもないのだがな。
そこでの彼女達は、一見して四方山話に花を咲かせているかのようでした。
しかし・・・依然として、余人は知らない―――また、知るべくもない・・・
これから彼女達は、ある出来事の為の矢面に立つべく、彼の地に赴任をしてきたのだから・・・
そこはまさしく、戦場で云うべき処の、「最前線」であり―――また「最終防衛線」の様な場所・・・
ですが、判らないことと云えば、そうしたジョカリーヌの事を溺愛していたジィルガは、どうして反対を唱えなかったのか・・・
それは―――・・・
『真に重要な事は、自分を殺してでも為さなければならない』
その事を判っていたからではないでしょうか・・・
それに「彼女達」も、ジョカリーヌやミリティアにのみ、負債を負わせる事は考えてはいなかった・・・
そう―――「彼女達」・・・「賢下五人」は知っているのです。
宇宙創生より、遠く別離れ―――対立しあって来た『不和と争いの女神』の事を・・・
そして・・・その事実を、先程の「会話なき会話」の内で、詠み取ったミリヤは―――・・・
第二百六十話;「ファイル;ディスコルディア」
ミリ:『シャクティ』―――私だけど・・・
シ:『おや―――誰かと思ったら・・・どうした、もう「休暇」は充分か。』
ミリ:あなたも・・・相変わらずよね―――バルティア。
それより、第一級の指令の提起よ―――
バ:『(・・・)なんだ―――』
ミリ:「シークレット・コード」を使用しても、恐らく相手には知れてしまう事なのでしょうけれど・・・一応は―――
『ドゥルガー』に『パールヴァティ』の二人には、「臨戦態勢」を―――そして『サラスヴァティ』には、「ファイル;ディスコルディア」を調べるよう指示をして・・・
それから私達―――『ラクシュミ』と『シャクティ』は、「能力全解放」の準備を―――
あと『カーリー』は、『サラスヴァティ』の移動並びに調査中の護衛―――それが終了するのと同時に、「予備戦力」としての准待機よ。
バ:『随分と大袈裟―――と、云ってやりたいところだが・・・調査させるファイル名だけで納得したよ。』
『そこの処は便宜を図ろう・・・それで―――勝てるのか・・・』
ミリ:「勝てる」―――見込みは「ない」・・・わ。
ただ、「あの人達」でさえ、手古摺った相手みたいだもの・・・それを、私達如きが―――・・・
バ:『判った―――善処してみよう。』
ミリヤが連絡を取った先は、「ディーヴァ」の司令官である『シャクティ』・・・バルディア=ヤーデ=ロスチャイルドでした。
そしてそこで、指令の「提起」をしたのです。
そう―――指令「そのもの」ではなく、飽くまでの「提起」・・・
その事に、殊の外重要なのだろう―――と、耳を傾けてみれば・・・
近接戦闘制圧要員の二人には、「いつ」戦闘態勢に入ってもいい様に―――との準備を促し、
司令と副指令である自分達二人も、能力を全開放させる手立てを―――
そして一番重要な任務には、過去に「ある争い」があったと云う、「ファイル」の探査と調査・・・
(実はこれが最重要課題で、その為の役割を与えられたジゼルが、最も危険な役目を担っていると云えよう。
そうした事を考慮したミリヤが、自分の護衛であるメイベルを、今回に限ってジゼルの護衛に充てさせた処を見ると、
強ち軽視できない懸案であった事が判る。)
それは・・・ファイル名に明記されている事からしても、判ってきたモノでした―――
「ファイル;ディスコルディア」・・・
それが何を意味するのか・・・
少なくとも、「ディーヴァ」のNo,1とNo,2には、判っていた事なのでした。
=続く=