お話しの時間軸を「現在」に戻し・・・
畏るべき「ある者」の、覚醒の進行を食い止めるべく、まさに「最前線」へと赴いていたジョカリーヌとミリティアは・・・
ジ:(・・・)これほどとは―――聞いていたよりも強力ですね・・・
ミ:否―――あの者はあの者で、封印されている間、更なる進化を遂げておる。
そのことは汝らでも知っているであろう。
だからこそ、たび重なる「シュミレート」を繰り返してきたのではないのか。
ジ:いえ・・・仰っている事に反発をするようですが、「カルマ」の―――「ブラック・ウィドウ」との対立は・・・
ミ:フ・フ―――気付いておらなかったと見ゆる。
「そうした事」も、すでに「予定調和」の内に入っていたのだよ。
ジ:(!)そうだったのですか―――・・・
しかし、「演習」とは云え、私は多くの大切なモノを失ってきました・・・。
ミ:「それ」も総ては「仮初」―――彼の者達は、肉体は消滅していても魂魄は存在している・・・
「肉体」と云う、主物質界に措いての媒介は必要不可欠なるが、
「魂魄」と云う、星幽界・意識界に措ける媒体も、また必要不可欠と云える・・・
それに―――不思議には思わなかったかね、汝が「生命」や「存在」を削ってまで争った存在・・・「ヱニグマ」が、汝の「共有者」であったことを。
今にして思えば―――どうして「自分達」は、一方の存在の打破と共に、後には親密なほどに親密になり得たのか・・・
その理由が、ジョカリーヌの内で晴れてきました。
そう・・・総ては「予定調和の内」―――
自分達よりも更に行為なる存在である『賢下五人』によって、計画されていた事・・・。
だから、あんなにまで激しく闘争を繰り広げた「ヱニグマ」とも、今現在の関係性では何ら支障を来たしてはいなかった・・・
総てが「この時」の為に―――・・・
自分の「欲求」の為に、幾つもの宇宙を産みだし・・・また同時に破壊してきた「不和と争いの女神・エリス」―――・・・
この存在を、もう一度封印する為、準備をし尽してきた・・・
しかしミリティアには、一抹の不安材料がありました。
それが―――果たして「予言者」の予言通り、「エリス」の封印が解かれ、覚醒の初期段階に措いて、リリアが100万年の過去に飛ばされたのか―――と云う事実・・
しかし・・・それだけにも拘らず・・・実は・・・
お気付きではありませんでしょうか、「予言者」の予言は、『被験者が過去へと飛ばされる』―――と云う処で終わってしまっていると云う事を・・・
つまりは、そう・・・「それから」の事は、未知の段階でもあったのです。
第二百七十四話;ある「予言」の内容と「それから」の模索
閑話休題―――
ジィルガは、リリア達が、ジィルガ自身の旧知であるクラリスによって「予言されていた者達」である事を知り得ていました。
そして、「何」の影響によって、リリア達がこうなったのか、その事は―――・・・
リ:ああ・・・判ってんよ、総ては「こいつ」・・・「不和と争いの女神・エリス」とか云う存在のお陰さ。
ジ:本当に・・・厭よねぇ〜〜反吐が出てきそうだわ。
そいつのお陰で、私自身も損な役回りをさせられちゃうし・・・
だけどもぉ〜?w そのお陰で女禍ちゃんとも出会えるきっかけにもなった事だしぃ〜〜
そこだけを考えるなら、私としては結果オーライなのよねえ〜〜♪
リ:(は・・・あ・・・)ま、そのことはいいんだけどさ―――どうやったら私達は元の時代に戻れるんだ? それとも・・・
ジ:残念だけど・・・その質問には明確には答えられない・・・と云うのが現状ね。
私も、クラリスから聞かされている限りでは、未来のあなた達が過去へと来る―――とまでしか伝えられていないのよ。
市:(!!)それでは―――・・・
た:(可能性のみを考えるとするならば・・・「戻れぬ」―――と云う事も、有り得るか・・・)
ふ〜む・・・しかしそれでは、少し辻褄が合わないではありませんかな?
ジ:そうね、それもあなたの云う通り―――
「もし」戻れないとするならば、「未来」から来たあなた達は、この時代に措いては完全な「イレギュラー」な存在・・・
だから―――「もし」この時代にこのまま留まるようであれば、時空連続体に措ける「タイム・パラドクス」が発生し、
最悪・・・「これから」の歴史が大きく塗り替えられてしまう可能性も出てくるわ。
蓮:なんと・・・では―――拙者達が、これからの歴史に悪影響を及ぼす・・・と?
ジ:ええ―――でもそれは、飽くまでもの「可能性の一つ」・・・
もしかすると、別の「可能性」も考えられなくはないのだけれど・・・ね。
そう・・・リリア達は、「この時代」に措ける「未来」―――
つまり、リリア達が元いた時代に措いて、この宇宙の存亡のカギを握っている「存在」からの作用により、「過去」である「この時代」へと来ていたのです。
そして「これから」どうなって行くのか・・・その事について激しく悩んだりするのですが、こうした場合は稀にして珍しく、
しかも「以前にあった」―――と云う事実確証もなかった為、「凡例」と云うモノがなかったのです。
ならば・・・やはり「これから」―――リリア達の身になにがあるのか・・・
しかし今は、そんな事ばかり思い悩んでもいられない為、「ある事」も併せてジィルガに訊ねてみる事にしたのです。
その「ある事」とは―――・・・
リ:ああ・・・そう云えば―――ここ最近、ヴァンパイアになり立て・・・で、いいんだよな・・・
その「エルム」って人がいると思うんだけど―――その人、今どうしてる?
ジ:「エルム」?「ヴァンパイアになり立て」・・・ああ〜マグラが云ってた、マハトマ教の娘の事ね。
そんな事を知ってるだなんて―――なるほどねぇ・・・やはりあなた達は、「未来」から来てるようね。
で〜〜・・・私としても聞きたいんだけど―――女禍ちゃんと私との関係性とか、宇宙はどうなっているか・・・とか
リ:ヤ〜ハハハ―――いや、それはさすがにwww
た:(うん??)
ジ:や〜っぱ、そうよねえ―――w
今あなたがその事について話しちゃったら、「それ」だけでもタイム・パラドクスを産みだしちゃうものwww
そこでたまもは、リリアの更なる成長ぶりを垣間見ました。
元来のリリアの性格上、自分が習得した知識などは、周囲りの知り合い達に喋りたくてウズウズしてしまうはず・・・
なのに―――??
ジィルガからの誘惑にも屈せず、頑なまでに守秘を貫きとおした姿勢に、たまもも―――・・・
た:いやあ〜感心感心、よくぞ我慢できたものよ。
リ:ん〜なんじゃねえよ・・・きつく云われてんのさ。
私が知ってきた事、簡単に他人に話すな―――て・・・
誰かだって? いやあ〜〜口で表現できないまでに怖ぁ〜い人がいてさ・・・
もし私が喋ろうものなら、「蛙に変えてやる」てなことを、平気で云うし実行に移す人がいるんだよな〜〜
ジ:「人間」を「蛙」に・・・そんな空恐ろしい事が出来るのは、「魔眼」「鬼眼」そして「神眼」を持っている、「あの人」しか考えられないわよねぇ〜w
まあいいでしょ・・・今回は「あの人」に免じて、敢えて深く聞かない事にするわ。
(余談ではあるが、ジィルガが、ここでは敢えて「ミリティア」の存在をぼやかしているのも、リリアがそうしている事に倣った為。
「クラリス」も「エルム」も、リリアからの告白がなければ、ジィルガもそれに倣い「匿名性の存在」を臭わせていた事だろう。
なぜそうするかは「自明の理」にして「推して知るべし」である。)
ジ:それにしても・・・そうだったわね―――確かに「エルム」と云う娘は、最近ヴァンパイアになったばかり・・・
今では「大公爵」と呼ばれている「エルムドア」の保護下にあるけど・・・それがどうかしたの。
リ:その人の様子・・・遠くからでいいから、見させてもらえないかな。
なんともおかしな話もあったモノで、最近になって人間ではなくなってしまった一人の女性の様子を・・・
それも「遠目」で拝見したい―――と云うのです。
その事にジィルガは疑問を感じながらも、本当にリリア達が未来から来たと云うのであれば、
未来から来ているリリア達の事を知らない、今のこの時代のエルムが知ってしまえば、歴史上の歪みが生じてしまうかもしれない・・・
そしてまた、そうした歪みによって、未来に措いての・・・つまり、リリア達が元いた時代に復活が予言されている「エリス」との対立で、
こちら側に不利な条件を与えてしまうかもしれない・・・
こうした様々な・・・未来に措いて起こり得るべき総ての可能性を考察し、ジィルガはリリアからの相談を受けたのでした。
=続く=