ヴァンパイア達の「闘争」を、遠目にて見学をしていたリリア達は、自分達の時代には知る由などなかった数々の事実を知って行くに当たり、
今回このような事態となってしまった事に、次第に思うようになってきました。
リ:いっやあ〜〜しっかし・・・驚いたの何の―――って・・・
まさか「怪獣大決戦」みたいになるとはなあ〜。
た:(その名称もどうかと思うが・・・)
それよりも・・・わしが見たてておった通り、わしらの知るエルム殿は、あの「エネマ」とか申す者が大きく関与していたようじゃの。
市:それよりも・・・エルム様のお父上である方が、いきなりエルム様になられるだなんて・・・
蓮:それよりも―――で、ござる・・・
拙者としては、無抵抗となったエルム殿を一方的に・・・あのような輩、決して赦されぬでござる!!
た:蓮也殿・・・一番にそうしたかったのは、こ奴であった事、努々忘るるではないぞ。
それにしてもリリアよ―――あそこでよう我慢が出来たの。
リ:はは・・・いやあ〜〜私、蛙なんかにゃなりたくないからさ・・・
色々としたモノを端折り、結論付けたリリアではありましたが・・・
今回のエルム達の闘争を見たことで、得たモノは多くありました。
(これは「後日譚」―――なのですが、この時には判らなかった、エルムドアとフォルネウスとのやり取りで、「ヴァンパイア」と「ヴイアゴマンテ」の対立構造が判ってきたり、
なぜエルムがキュクノスの事を激しく憎むようになったか―――が判ってきたり・・・など、それまでは不透明だった部分が明らかとなるいい機会だったのです。)
・・・と、それはそれでよかったのですが―――
一息ついた処に、「また」・・・あの時と同じ感覚が、リリア達を襲い―――・・・
第二百七十八話;タイム・リープ 再び・・・
リ:うっ・・・!? こ―――これは・・・!!
ま・・・「また」だ・・・またあの時と同じ感覚が―――っ!!
市:り・・・リリアさん―――!!
リ:市子・・・蓮也・・・たま・・・互いの手を取れ―――!
でないと・・・また・・・離れ離れ・・・に!!
た:判っておる・・・! そうせんと、今度は同じ「別の時代」へと・・・一緒に飛ばされるとは限らぬ・・・からな!!
多少なりとて「大人の事情」と誹謗りを受けてもw お話しの展開上そうしないわけにはいかないわけでww
―――とまあ、それはさておいて・・・
またも「あの時」・・・自分達が「過去」へと飛ばされた時と同じ感覚が襲ってきたのですが、
今回はすでに経験済みでもあった為、それなりの対処の仕方があった様です。
そして・・・遠のく意識―――・・・
そして・・・堕ちて行く感覚―――・・・
そして―――・・・次に意識を取り戻した時には・・・
リ:(う・・・)うぅ〜ん・・・
(・・・!)こ―――ここは?!
蓮也は・・・市子は・・・たまは??
た:気が付いたようじゃの―――幸い、離れ離れとはなっておらぬようじゃ。
リ:あっ、たま?!
市:う・・・うう〜ん・・・
蓮:むうう・・・
リ:市子! 蓮也!!
ああ〜〜良かった・・・
それで―――どうなんだ?
た:うむ、先程より式神を使役し、探らせておるのじゃが・・・
どうやらわしらは、「あの時代」よりは「未来」となるのじゃが・・・それでも、「わしらの時代」よりは「過去」へと飛ばされたみたいじゃ。
リ:あ??
・・・じゃあ〜〜だとすると・・・ほんのちょっとだけ「未来」に帰ってきた―――と、思っていいのか?
た:いかにも―――それを証拠に、早速エルム殿やヱリヤ殿の位置を把握し、式神に張りつかせておるのじゃが・・・
幸いにして、四人とも離れ離れになる事だけは避けられ、その内の一人であるたまもは、既に自分の術を行使し、
現在・・・自分達が置かれている状況の把握に努めていたのです。
そして・・・たまもは、以前の様に地球全体に式神を巡らせる―――と云うのではなく、
まず、「今回のお話し」の「中心人物」と目されている、エルムとヱリヤの二人の現在位置を探り当て、式神を張りつかせておく・・・
そのことで、現在の自分達がいる「時代」の事を検証しようとしたのです。
そこで判ってきたのが・・・直前までいた時代―――よりは「未来」・・・
だけど、元々自分達がいた時代よりは、まだまだ「過去」―――だと云う事だけは、判明したのです。
ならば、その判明した理由―――なのですが・・・
そのことに、たまもとしては珍しく口を濁し・・・
リ:(??)どうかしたのか―――? たま・・・
市:何か・・・気になされた事でも・・・?
た:うむ・・・実は―――じゃな・・・
そのエルム殿とヱリヤ殿の事なのじゃが、お二人の事を観察させて頂いたお陰で、「この時代」の事が判った・・・のじゃがな・・・
まあ良い、わしからの説明より、今現在の―――つまり「この時代」の、お二人の現状を見て貰えれば、自ずと判る事じゃ。
どうにも・・・口にするのも憚られる―――・・・
そんなたまもの口調に、これ以上面倒臭いことになるのか―――と、リリアは半分辟易ながら、
現在・・・「この時代」のエルムとヱリヤの状態を確認する為の行動を開始したのです。
そして・・・そこでリリア達が見たモノとは―――・・・
リ:あっっ?? あれは・・・ヱリヤさん???
蓮:しかし・・・少し縮んではおりませんかな。
た:うむ・・・「わしらがいた時代」で、ヱリヤ殿のご母堂である「スターシア」と申していた者・・・
その者から推察し、また「過去の時代」に措いてのヱリヤ殿のお姿を拝見し、わしは確信を得た・・・
あの方々の種族は、成長するに伴い、容姿を逆行させておるのじゃ。
しかしな―――その戦闘力は、既にわしらを凌いでおる・・・。
リ:なぁ〜るほどなあ〜〜あの人ってば、こんな昔っから強かったんだ・・・
で〜〜あの人を見たお陰で、現在の「この時代」の事が判ったんだよな?
それはそれで、いいことなんじゃないのか?
市:あれは・・・もしかして、エルム様??
ひょっとすると、あの人が同じエルム様だとでも云うのでしょうか??
その言葉・・・その、市子からの言葉で、なぜたまもが口を濁したのか・・・リリア達は理解しました。
直前まで―――「過去」に見た時のエルムは、ヴァンパイアに成り立て・・・と云う事もあり、
どこか「人間臭さ」と云うモノが抜けてはおらず、そうした人間ならではの弱さの部分が際立っていたのです。
が・・・
ほんの少し―――「未来」へと戻っただけで・・・こうも変わるのか・・・
その時リリア達が見たエルムとは、以前の様な人間としての「甘さ」は無くなっており、
まさしく・・・その種族―――「良質の闘争」を趣向としている、「魔貴族」の後継者としての頭角を現していたのです。
ヱ:参るぞ・・・エルム―――
エ:いつでも来なよ・・・ヱリヤ―――
彼女達二人にしてみれば、練磨の為の手合わせ―――の、「つもり」・・・だったのでしょう・・・。
しかし、リリア達が目にしたモノとは、自分達人間とは次元がかけ離れたモノだった・・・
遙かな「間合い」から、相手を貫こうとする―――ヱリヤの「鑓」・・・
その、僅かな隙を見切り、懐に潜り込んで絡めようとする―――エルムの「体術」・・・
そして、そうしたモノも、寸での処で見切って―――体勢を立て直しての「技」の応酬・・・
もう・・・二人は・・・この時既に、自分達が未だ達する事など叶わぬ、武の高見へと昇っていた―――・・・
その事に息を呑むのでしたが・・・
ふと気が付いたリリアは、「あの存在」の事が気になり―――・・・
リ:(・・・)あれ? そう云えば―――・・・
あの「ロデリック」ってのは、どこへ行ったんだ?
市:云われてみれば・・・確かその人物は、エネマと云う人から、あの時・・・エルム様に引き取られたのでした―――ね・・・。
た:おお! それは気が付かなんだわ・・・
そう云えば、あの者は人間―――もし「おらぬ」と云うのであれば、すでに100年は経っておると思わねばなるまいの。
「あの存在」・・・エネマなる存在が、後の半生―――自らの愛情を注ぐべき・・・と決めていた「少年」・・・それがロデリックでした。
それを、エネマなる存在は、ジィルガからの提案に基づき、エルムと存在を同一化させる事により、彼女の意思は保たれることとなったのですが・・・
この当時、既にエルムの側には、少年の姿はなかった・・・
ヴァンパイアとなったエルムならばいざ知らず・・・「彼」こそは、「純粋な地球人」・・・。
今でさえリリア達は、「生体強化」「延命調整」などの高度な技術の恩恵に携わっていましたが―――
この当時はまだ、そんな事が出来る事すら知らない・・・知らされていない―――・・・
だからこそ、ロデリックなる存在が「いる」と「いない」のとでは、この時代の検証も違ってくると、たまもは判断し―――
ロデリックの所在を探るべく、式神を放ったのです。
そして―――・・・
た:う〜〜む・・・見つからん・・・
―――と云う事は、「あの時代」から100年経った・・・と、云う事でいいのかのう??
リ:いいんじゃね―――?w
も〜〜なんだか、考えるのが面倒臭くなっちまったいww
市:リリアさん・・・そう云うのはちょっと―――・・・
蓮:ぬん? しばしお待ちなされよ・・・?
今、あの方々の話しておる事に―――・・・
「見つからなかった」から、あの時代から100年経過した事にしよう・・・と、断定しようとした時、
蓮也は聞き逃しませんでした―――
練磨・修練の時間が終わった後、何の気なしに交わされた―――エルムとヱリヤの会話・・・その内に、
たまもの式神でさえ見つけ出す事の出来なかった、ロデリックの所在を・・・
=続く=