リリア達が、「現代」の時間軸に戻ってきたのと同じ頃―――宇宙では・・・
「超一流」との呼び声高い「暗殺者・ピースメイカー」であるフランソワは・・・とある人物からの依頼を受けている処でした。
依:フフ・・・いや、なるほど・・・
あなたが噂に名高い「ピースメイカー」でしたか。
フ:(・・・)ご用件は―――?
依:この人物を抹殺して欲しいのです
フ:この人物を抹殺して欲しい―――その経緯を説明して貰いたいのだけれど・・・
依:実はですな―――
その依頼の「内容」とは、実にありきたりで、普段フランソワが請け負っている「依頼」と、そう大差ないモノでした。
つまり、割とよくある話しで、商売や事業を展開していく内に、その前に立ちはだかる「障害」となるべきモノ・・・
それを排除して欲しい―――と、云うモノだったのです。
だからこそフランソワも、この時・・・普段通りに「依頼」を受け、見事それを完遂して見せた―――
しかし異状は、それから後に浮上してきたのです。
フランソワが、例の依頼を受けてから数カ月後・・・
別の経緯で、例の「依頼」の裏の事情が表沙汰になろうとしていました。
しかし、その件は、ある協力者のお陰で未然に防ぐ事が出来たのです。
その・・・「ある協力者」とは―――
フ:(!)あなたは・・・意外ね、この「秘密の連絡先」を知っているなんて・・・
ジ:『・・・皮肉にも、以前―――半強制的に付きあわされましたからね。』
『これくらいの旨味がなくては・・・』
フ:それで・・・? あなたも危険を冒してまで、この番号に連絡して、私とのお喋りを楽しみたいわけではないのでしょう。
ジ:『・・・フフフ、いつもながら厳しいですね。』
『それでは手短に・・・直近にあなたが受けた依頼の裏が、さある放送関係者の手に渡ろうとしています。』
『その裏取引の場所と時刻は―――・・・』
携帯式通話端末の先から聞こえてきた声に、フランソワは驚くしかありませんでした。
それと云うのも、その通話先の人物と云うのが、以前・・・無理矢理に近い象で自分の依頼に協力させた事のある、
「電脳侵略」の申し子であり・・・また、さある秘密機関で情報収集―――及び、操作を担当している「サラスヴァティ」こと、ジゼルだったのです。
しかもジゼルは、先般―――そう云う事があったにも拘らず、愚痴の一つもこぼすことなくフランソワをサポートしてきた・・・モノと思っていたら、
フランソワ自身にも気付かれることなく、彼女の秘密の連絡先を入手していたと云うのです。
しかし・・・これは、フランソワにしてみれば大問題―――
「秘密」と云うのは、誰にも知られないから「秘密」なのであって、しかもそれが、こともあろうに「電脳侵略」の天才に知られてしまった・・・と云う事は、
最早この番号は役に立たないモノとし、この通話が終わろうとした時、ジゼルにその番号の消去を求めたのですが・・・
ジ:『・・・いえ、それをするには、まだ尚早かと思います。』
フ:(・・・?)―――と、云うと・・・?
ジ:『・・・これは、実に断片的なのですが、今回の一件は、まだ更に・・・奥に何か潜んでいるように思われるのです。』
『ですから・・・この番号の消去のタイミングは、飽くまで私のタイミング―――と、云う事で・・・』
『そうしなければ・・・今回の様に、緊急のお知らせもできませんでしょうから。』
危険を伴っているのはジゼルの方でも判っているモノと見えたようですが、如何せんジゼル自身とフランソワとを繋げる糸は、このか細いモノでしかなく、
今後また・・・こうした類の「緊急連絡」があった際に、「それでもあった方が良い」ことを伝えたのでした。
それに・・・フランソワも、ジゼルの事を信用していたのかもしれない―――
しばらくは、ジゼルの云う通りにしていたのです。
それから数日後・・・
一つの郵便物がフランソワの下に届き、それを開封してみると―――・・・
フ:(これは・・・「再生専用ディスク」―――?)
その郵便物の内容物とは、何かの記録が入っているモノと思われる、「メモリィ・ディスク」が一枚だけ・・・
(ここで皆さんは不思議に思うかもしれませんが―――・・・と云うのも、フランソワは産まれついての盲目であり、
・・・というより、そうした種族と思って差し支えありません、なので、「映像記録」はもちろん「文章」ですら読めない―――と、思われがちなのですが、
宇宙では脳の視床下部に刺激を与える事で、そうした盲目の存在でも、映像を捉えられる技術が発達しているのである。)
そしてそこで・・・ディスクを再生してみると―――
ジ:『フランソワですか・・・一大事です、ですから手短に―――』
『「アンフィス・バエナ」に気を付けて下さい・・・。』
『それから・・・あなたの番号は、完全に消去しておきましたから・・・あなたの・・・ホ―――ウ・・・ ・も・・ ・ ・ ・』
最後の辺りでは画像や音声が乱れ、その後の状況が判らなくなるのでしたが・・・何を伝えたかったのかは、はっきりとしていました。
それに、映像のジゼルも、どことなく慌ただしく、何者かに追われている―――と云うより、襲撃を受けそうになっている・・・?
そう感じたフランソワは、考える事もなく、秘密の連絡先とその機器を、完全に破壊したのでした。
その数日後―――グレゴール修道会の集会で、同じ修道女であるヘレンを見つけ・・・
フ:御機嫌麗しゅう・・・シスター・ヘレン
ヘ:これは・・・御機嫌麗しゅう、シスター・フランソワ
フ:一つ・・・聞きたい事があるのですが・・・
ヘ:(・・・)ジゼルの件ね―――
あの用心深いヤツが、住処を割られて襲撃を受けたそうよ。
フ:そう・・・彼女には悪い事を―――
ヘ:(・・・)あんたらしくもないわね。
アレは元々、あいつが首を突っ込み過ぎてヘマをした―――それだけの事よ・・・
フ:(・・・)冷たいのね。
ヘ:はああ? それをあんたが云う?? あんただって―――
(!!)あら、おほほほ・・・なぁんでもござんせんのことよ??
フ:それで・・・ジゼルを襲ったと云う連中の事は―――
ヘ:はあ? ああ・・・なんでも―――このシンボルが印刷された紙切れが一枚あっただけ・・・なんだとさ。
フ:(・・・)これは―――?
ヘ:私やマリアは判らなかったけど、バルディアは知っていたみたいだったわね―――
フ:(!!)あの人が・・・現場復帰したと云うの??
ヘ:え・・・ええ・・・なんでも、バルディアの云うには、このシンボルを使う連中は、少なくとも「この宇宙」には存在しないんだと・・・
その、驚くべきヘレンからの証言は、自分達の知らない処で・・・知らない過去に・・・そうした「外宇宙」からの来訪や、侵略(?)があった事実を示しており、
まだ更にフランソワを驚愕させたのが、その「シンボル」を使用している「組織」の名が・・・
第二百八十八話;アンフィス・バエナ
二匹の、翼を持ちし竜が、互いの尻尾を喰い合っているように見える・・・それがその組織の証し―――
そして奇しくも、この一報を地球に駐在をしているミリヤも受け・・・
メ:「シャクティ」から、なんの報せでしょう・・・
ミ:(・・・)「アンフィス・バエナ」―――あの連中が、またこの宇宙に来ていると・・・
メ:「アンフィス・バエナ」―――に・・・「また」??
ミ:そう・・・まだ若過ぎるあなた達には、知る由もなかったわね・・・。
この連中が・・・この宇宙に来たという記録は、少なくとも現在から2800年前―――それも秘密裡に処理されているわ・・・
メ:では・・・ミリヤ様と「シャクティ」は、その頃から・・・
ミ:勘違いをしないで、その頃は「ディーヴァ」も設立されて間もないし、何より戦力が揃ってはいなかった・・・
専ら、あの連中を追い払ってくれたのは―――「拳帝神皇」と「破壊神」よ・・・
メ:(!!)あの二人・・・
ミ:けれど、あの二人をして相当に苦戦を強いられたようでしてね。
それに・・・バルディアはあの当時、まだ現役の捜査官だった事もあり、彼女達のサポートをしていた・・・と云うけれど、
恐らくその時に、連中との格の違いと云うモノを見せつけられたのでしようね・・・
メ:「格」の違いを・・・
ミ:それに、あの頃からよ・・・バルディアが変わってしまったのは―――
他人の自由を奪ってしまえる、「ウォーロック」と畏れられたのは・・・ね。
するとやはり、ミリヤもその組織の事を知っていました。
けれど、「知っていた」とは云っても、その存在自体のみ・・・その組織の概要までは知る処ではなかったのです。
しかし・・・その組織が、過去に―――何のためにこの宇宙へと来たのかは知っていました。
それこそが「侵略」・・・
更なる組織の勢力を拡大する為―――他の宇宙までも、侵食しようとしていた・・・
その、彼らの野望を打ち砕いたのは、奇しくもその存在自体が危険視されていた、「賢下五人」のメンバーである
「拳帝神皇」のレヴェッカ=カストゥール=フェルナンデスと、「破壊神」のエリーゼ=ポルックス=フェルナンデスの「二人」・・・
ですが、その「二人」を以てしても、ようやくの「痛み分け」によって退いて貰っただけ・・・
だから、今度は以前の様に行くモノなのか―――と思えば、そうはいかないのでは・・・と思ってしまっている自分がいる・・・
それになにより、今回の彼らの行動の目的が何なのか・・・依然杳として知れない処に不気味さが隠されているのです。
果たして・・・前回の様に、「侵略」なのか―――それとも「別の目的」なのか・・・
而して、彼らの目的は、また別の経緯で明らかとなってくるのです。
=続く=