死闘・激闘が繰り広げられ―――数十分後・・・

そこには、明らかなる「勝者」と「敗者」の姿がありました。

 

 

 

黒:フ―――フフ・フ・・・見事・・・だ、私の・・・敗北だ・・・。

マ:いえ・・・これも、互角の条件になれたからこそ・・・。

  その事には、あなた様に感謝申し上げます、レヴェッカ様。

 

レ:フン―――まあ、まずまず・・・と、云う処の様じゃのぅ。

  しばらく「皆伝」は、お預けじゃ。

 

ヘ:はあ? でも、マリアのヤツ、よくやったじゃんよ、それをケチケチせずにさぁ〜〜

 

レ:アホたれぃ―――!

  喩え、実力伯仲同士でも、あがいに着とるモンが、ビリビリに破けちょったら話しにもなりゃあせん!!

  こりゃ、もちと体裁きを教え込んじゃらんにゃあのう。

 

マ:へ?? 「教え込む」・・・て、私を??

  い―――いいです、いいです!(注:断っていますw^^;)

 

レ:ほほう―――ええんかい、まあ、そうそう無い機会じゃけんのう♪

 

マ:へ??? あ・・・あれ?

ヘ:あ゛〜〜ありゃあ・・・意味を履き違えられてるわねぇ・・・

 

マ:ち―――ちょっとヘレン?! ひ、他人事じゃないって!!

  あ・・・あのぉ〜〜ですね?レヴェッカ様―――・・・

レ:フッフッフ―――安心せい・・・ちったあ手加減の方は、ちゃんとしちゃるわいのう♪

 

 

 

「それは、絶対嘘だ―――」と云う、マリアやヘレンの思惑とは裏腹に、「拳帝神皇」の稽古(通称「かわいがり」w^^;)は、始められたのでした。

 

 

その一方―――「三候」の一人である、「リントヴルム」と火花を散らし合っていた者達は・・・

 

 

 

グ:フフ―――フ・・・いや、さすがだ・・・これほどの手応え、久しくなかった。

  私も、貴君らと死合える喜びに、少なからず打ち奮え、そして酔いしれている・・・

  感謝せねばなるまい―――これほどの強者を、私に会わせてくれた事を!!

 

 

 

両者共々、激戦であった事を物語るかのように傷付いていたモノでしたが、それでもグレーテルは余裕を見せるかのような態度を取ったのです。

 

それは・・・これからまた起こる、激戦の主導権(イニシアチブ)を取ろうと云う戦術なのか―――・・・

その事までは判りませんでしたが、ヱリヤもエルムも、相手からこれだけの事を云われ、刺激を貰わないほど冷静にして沈着ではいられなかった為、

闇の騎士(ダーク・ナイト)」に立ち向かって行ったのです。

 

 

 

ヱ:そうか・・・私も、相手からこれほどの評価を受けたのは初めてだ、感謝する・・・。

  そのお礼―――と云っては何だが、受けて貰えるか・・・私の、最終奥義を!!

 

エ:(!!)まさか・・・お前サ―――

 

グ:(むっ?!)これは・・・よもや、「終末の黒焔」・・・

 

 

 

ヱリヤ、最終にして最大、そして最凶とも云える奥義―――「メギド」・・・

その様相を、グレーテルは「終末の黒焔」ではないか・・・と、推測しましたが・・・

 

実は、ヱリヤの奥義は、グレーテル自身の知っている「それ」ではなかったのです。

 

それでは・・・グレーテルが云う「終末の黒焔」とは―――?

 

 

 

グ:(・・・)フッフッ―――どうやら、「それ」ではなかったようだな。

 

エ:(?!)それ―――って、どう云う意味だい・・・?

 

グ:私自身が知っている「黒焔」は、こんなモノではない―――・・・

  なぜならば! この私の半身は、「黒焔」によって削がれているからだ!!

  なぜ私が、「全身鎧(プレート・アーマー)」なのか・・・篤とその目で確かめるがいい!!

 

 

 

「闇の騎士」が、「漆黒の全身鎧」で身を包んでいた理由―――

それは、自分の半身が、「黒焔」によって侵蝕され、生死の境を彷徨(さ ま よ)った経験があるから・・・

そしてその証しは、全身鎧を解除した時、如実に現れたのです。

 

そこには・・・なんとも形容し難い(云い現わしようのない)―――奇妙にしておぞましいモノがあったのです。

 

 

グ:フ・フ・フ―――どうした・・・この私の現在を見て、言葉を失ったか・・・

  それは当然だろうな、斯く云うこの私も当初は、自分がなぜこのような状態で生きてられるのか、不思議だったのだからな・・・。

  だが、その謎はすぐに解けた―――この私が、「半身の莫い(こ   ん   な)」状態で生きていられるのは、

  総てあのお方―――「サトゥルヌス」のお陰なのだ!!

 

 

 

しかし・・・確かに、住む「宇宙(せ か い)」は違えども、「生物」と云う括りでは同じなはず―――

なのに・・・それがどうして・・・半身を喪った状態で、自分達と同じ実力を持てていたのか、

そこの処は興味の対象ともなるのでしたが・・・

やはりそこには、確固たる理由が存在していたのです。

 

そう、「サトゥルヌス」・・・

彼の存在が、黒焔に侵蝕され、生死の境を彷徨(さ ま よ)っていた「リントヴルム」に、救いの手を差し伸べ・・・

そして、「サトゥルヌス」自身が盟主と崇める存在の、手先となるように仕込んだ・・・

 

その、信頼や絆は確固たるモノ―――・・・

そのことは、ヱリヤやエルム達に措ける、ジョカリーヌとの関係・・・

それと同等か、それ以上のモノだと、二人は感じていたようです。

 

 

しかも―――・・・

 

 

 

第三百八話;意外なる展開

 

 

 

 

グ:おお―――! ジェルソミナ・・・やはり来て下さったか!

  この私とて、自惚れ・・・とまではいかないが、やはりどこか慢心していた処はあった様だ・・・

  そこで、恥を忍んで云うのだが、この私の撤退に協力して貰えまいか?

 

ヱ:(くぅ・・・ここで更なる援軍の到来か―――)

エ:(こいつは・・・万事休す―――かねぇ・・・)

 

 

 

グレーテルにしてみれば、強力な援軍―――が、しかし、ヱリヤやエルムにしてみれば、ここで更なる強敵と(まみ)えるのは、

まさに窮地に陥る―――と云って、差し支えなかったのです。

 

 

―――ところが・・・?

この場に現れた「サトゥルヌス」のジェルソミナは、特にこれと云って何をするでもなく・・・

 

 

 

ジ:(・・・)グレーテル、首尾の方は・・・?

 

グ:「ローレライ」の意識は、もうこの惑星には感じられない・・・

  おそらく、ローゼンの連中が、依頼の遂行を成し遂げてくれたのでしょう・・・

 

ジ:(・・・)そう―――・・・

 

ヱ:(!!)失敗―――したと・・・云うのか?

エ:あの娘達が??

 

ジ:(・・・)ええ、そのようね・・・

  それに―――お出ましの様だわ・・・

 

 

 

しばらくは、任務遂行の状況確認をしたに留まっていたモノでした。

 

そうしている内に、今回の「ローレライ」争奪の阻止をしていた者達も集まり・・・

 

 

 

レ:ほほう―――こりゃあ、こりゃあ・・・「三候」筆頭のお出ましとは・・・

 

ジ:フ・フ・フ―――あら、コレはお久しぶり、「拳帝神皇」・・・

  それでは、わたくしはこれにて・・・わたくし自身に課せられた役割―――

 

 

 

そこで・・・その場にいた者達は、全員―――目を疑う光景を目の当たりにしたのです。

 

その事は同時に、自分の身に、何が起こったかすら判らない・・・判らないでいた、当人の言葉が―――

 

 

 

グ:(??え??)がっ―――ぶうっ!!!

  さ・・・「サトゥルヌス」・・・? ジェルソミナ??!

 

ジ:あなたの役割は、もうお終い―――それを告げに来たのと、

  あなたの処分をするのが・・・このわたくしの役割―――・・・

 

グ:そ―――そんっ・・・な・・・で、では・・・私は・・・所詮使い捨て・・・だった・・・と??

 

ジ:(・・・)ええ〜〜―――そうみたい・・・そのつもりで(・ ・ ・ ・)いたみたい(・ ・ ・ ・ ・)ですから・・・

 

ヱ:(??なんだ・・・今の言葉?)

エ:(私達を・・・惑わそうとしている??)

 

グ:お・・・おのれえぇ〜〜っ・・・だ、だが・・・私の抜けた穴は・・・

 

ジ:そんな心配は、必要ないみたいです・・・

  それに、「アンフィスバエナ」も捕えられたそうですし・・・ですがまあ、処分の方はいずれ―――

 

  ああ、そうそう・・・それと・・・永い間、ご苦労サマでしたわね。

 

グ:〜〜・・・・・・・

 

ジ:そんな―――面白おかしい・・・哀れ過ぎる表情を浮かべても・・・

  これは最初に、わたくしと盟主との間で取り交わされた約束事なのです。

  『妾の大願成就の為、役立つ者を、汝を含め三人集めよ』

  『そして、然るべくの時の為に、動け・・・』

  『そして、事の成就が整い次第、知り過ぎたる者達には、速やかに、この舞台より退場を・・・』

 

マ:(!)な―――なんて都合のいい・・・

ヘ:あんた達・・・本当に腐っているわね―――・・・

 

ジ:『それから汝は、妾の為にその総てを捧げ・・・尽くせよ―――』

  つまり・・・わたくし達の盟主であるエリスは、最初からわたくししか当てにはしていなかったのですよ。

  ゴメンなさいね〜〜? それもこれも、今まで・・・秘密だったのですから。

 

ヱ:くうっ―――かつての敵だったが、同情に値する!!

エ:ええ・・その通りだよ、こんなのって・・・この人が浮かばれやしない!!

 

 

 

今の今まで、グレーテルを繋ぎ止めていた、「何か」が外されたような感じがした・・・

それはまるで、「操り人形(マ リ オ ネ ッ ト)」の操り糸が、断ち切られた時の様に・・・全身の制御が自分の意志のままにならず―――・・・

言葉通り半身を喪っていたグレーテルは、残り半分の五体がバラバラになる感覚に陥り、やがて意識も・・・

 

それに、今まで同志の様に思っていた、残りの仲間でさえも処分の対象にする言葉を聞かされ、

まさしく無念の内に、その躯を野に晒してしまったのです。

 

 

そんな様相に、それが喩え先程まで敵対していたとはしても同情を禁じ得ず、

かつての好敵手の無念を汲んだヱリヤとエルム・・・そして、マリアとヘレン―――でしたが・・・

 

 

 

レ:待てえぃ―――!!!

 

ヱ:!!

エ:!!

マ:レヴェッカ・・・様? 何を・・・「待て」と??

ヘ:そうよ―――こんな下衆な連中、一刻も早く・・・

 

レ:わりゃ―――ようも「秘密」を、ベラベラと喋りくさったのう・・・

  どういうつもりなら?

 

ジ:「どう云うつもり」―――も、わたくしが操るのは「ヴェクサンシオン(嫌  が  ら  せ)」ですので・・・

  ただ単に、あなた方を混乱に(・ ・ ・)陥れたい(・ ・ ・ ・)だけ(・ ・)・・・

 

レ:それだけ(・ ・ ・ ・)で、仲間を処分する―――云うんは、まだちぃと早い(・ ・ ・ ・ ・)気がするんじゃがのう・・・

 

ジ:フ・フ・フ・フ・フ―――では、また・・・すぐに(・ ・ ・)お会い致しましょう・・・

 

 

 

ただ一人―――「賢下五人」の一人でもあったレヴェッカは、なぜかこの時・・・ジェルソミナとエリス蜜月の「秘密」を、ジェルソミナ自身が暴露したのか・・・

そこの処を気にとめ、既に臨戦態勢に入っていたヱリヤ達四人を制止させたモノでしたが・・・

 

その場には、云い現わしようのない感情が、渦を巻いているのでした・・・。

(ジェルソミナが、自分と盟主のみ知る密約を暴露したのは、自分が操る「ヴェクサンシオン」であるから・・・と、言い逃れはしたようですが、

レヴェッカは、そうではない―――と、捉えられていたようです。)

 

 

 

 

=続く=

 

 

 

 

あと