一時・・・真面目さを忘れた、やりとりを交わした時でも、すぐに突き付けられた厳しい現実と云うモノはあるのでした。
そう・・・今回も、敵対者とでも云うべきエリスの隙を窺うべく、内部に潜り込んでいたユリアが―――・・・
ユ:う―――・・・
リ:(!!)ユリアさん? そこにいるのはユリアさんなのか?!!
ユ:リ・・・リア―――そう・・もう来てしまったのね・・・
ごめん・・・なさい・・・わたくしが・・・至らなさ過ぎて―――・・・
リ:あ・・・おい―――しっかりしろ!!
・・・この人は、あんたにとっても、大事な人じゃなかったのか―――エリス。
エ:フ・・・それは違うな。
この者と契りを交わしていたのは、「ジョカリーヌ」であろう。
それに―――フフフ・・・今の卆は、余裕が失せているようにも見受けられるぞえ。
リ:どーだっていいだろ・・・そんなモン。
ミ:竪子よ、判っておろうな―――
リ:ああ・・・「誘い」には気付いている―――けど、そうも行かねえよ。
だって、私の内で決めて来たもんさ。
絶対に、この人とは闘り合わねー・・・って、な―――
市:(!?)しかし・・・それでは―――?
リ:「無理だ」・・・って云いたいんだろ―――市子・・・
判ってるよ、そんな事は・・・判り過ぎるくらいに、私には判っている―――けどな・・・
エリスの足下に転がっている美しい肢体こそ、ユリア―――その人なのでした。
しかし、今回の手の内を読まれ、「三候」までを討ちとれた処までは、巧く行っているモノだと思われていたのでしたが・・・
寸での処でエリスに露見してしまい、現在では逆に窮地に立たされていたのです。
そんなユリアを見て、リリアも動揺を隠しきれなかったモノでしたが、
「その事自体」がエリスからの挑発―――「誘い」だと気付いていた為に、容易には乗ろうとはしなかったのです。
ですが―――・・・
エ:ホ・ホ・ホ・ホ―――ならば、卆が来ぬと云うのならば、妾から仕掛けるまで・・・
「三候」は知り過ぎし故に、この舞台からの退場を願ったが、ならば新しき「手駒」を配置するまで。
妾が以前苦しめられ、辛酸を舐めさせてくれた者共―――「歌姫」の三人よ、来たれ!!
リリアが闘争の舞台に上がって来ないならば、強制的にでも上げるまで・・・
そこでエリスが仕掛けてきた策略とは、今回の件で調略に成功した―――『トゥルヴァドゥール』『プリマドンナ』『ローレライ』・・・
そう・・・以前、エリスやその郎党達が、敗北の味を合わされたと云う、「歌姫」の―――
それも実に三人までもが、今度はエリス側に加担をしたのです。
これで、戦力的には、エリス側に圧倒的に有利―――
この戦力差を見ては、さすがのリリアも前言を撤回しなければならないか―――と、そう思われた時・・・
?:やはり・・・そう来たかい―――
ま、こっちにしてみりゃ、想定の範疇―――なんだけどね。
リ:ガラティアさん???
ガ:よぉう♪ それにしても・・・ミザントロープ、随分な様じゃないか―――w
ミ:そう見えるか、吾にしてみれば身軽になったモノと思っているのだがな。
ガ:ハハハハ―――やせ我慢も、そこまで云えりゃ上等―――てもんだw
リ:ところで〜〜あのぅ・・・ガラティアさんは、なんで??
ガ:フッ―――私だけ・・・じゃないよ。
ル:ほむ・・・総ては、筋書き通りとみえる。
リ:ルーシアさんまで?? え?―――てことは・・・
レ:どうない、景気ィだしちょるかいのう―――リリアちゃんよぅ。
リ:レ・・・レヴィさん―――じゃあ・・・
ポ:ほーい♪ うちもおるよぉ〜?
突如として決戦の場に現れたのは、ガラティア―――だけではなく、あとの三人もそろい踏み・・・
そう、「賢下五人」の全員が、今のこの時をして再結集をしたのです。
しかも・・・彼女達だけではなく―――・・・
リ:(!!)・・・っ―――おま・・・え・・・ソフィア?!
なんでこんな処に―――・・・
ソ:(・・・)私も―――もう既に「ディーヴァ」の宿に覚醒し者・・・
それに・・・もうあなたばかりにだけ、迷惑をかけていられませんからね・・・。
リ:そんな―――「迷惑」・・・だなんて・・・
ソ:あなたは常に、私の前に立ち、私の代わりに傷付いてくれていた―――
あの時もそう・・・私が、サライの命運と引き換えに―――と云う条件の下に、プロメテウスの虜囚とならんとした時・・・後先を顧みることなく、あなたは救出をしてくれた・・・。
私は――私は・・・この「運命」を、どんなにか呪った事でしょう―――
あなたが「女」ではなく、「男」だったなら・・・と―――
そうすれば、私は過去の約束に基づき、あなたの下に嫁ぐ事によってサライは消滅―――
そして現実的にも、あなたに嘘の敗北宣言を出さずに済んだのです。
市:「約束」・・・とは―――ソフィア様、あなた様は―――・・・
ソ:ええ・・・そんな事は元より気付いていましたし、何より私は大真面目でした。
だからこそ・・・なのです、だからこそ―――私とリリアの性別が同じ事に気付いた時、私は悲観に暮れるしかなかったのです。
リ:お―――おいおい・・・あん時ゃ、悪かった〜〜て云ったろ?
まあ・・・安請け合いで返事しちまったのは、事実―――なんだけどさ・・・
ソ:そんなことは、もういいのです―――
だって・・・どう云った象であれ、私は・・・やっとあなたに恩を―――
するとその時―――・・・一条の閃光が、ソフィアめがけて飛来してきたのですが・・・
それは、ソフィアに届くことなく霧散してしまうのでした。
それにしても誰が―――誰もが知らなかったリリアとソフィアの逸話を中断させたのでしょうか。
それとまた・・・その中断を阻止したのは、誰―――?
プ:ちぃ・・・阻まれおったか―――
それにしても、下らぬことを長々と・・・
リ:ナニしやがんだ―――こんのクソババア!!
もうちょっとでソフィアが―――・・・
ト:お熱い事ね―――同じ性別でなければ、ベストカップルだったのでしょうに・・・
ロ:いや―――それよりも、今の「プリマドンナ」の攻撃を阻止したのは・・・
フ:折角の心地よかった語りを中断させるなんて―――なんて無粋な人達なのかしらね。
リ:フランソワさん?! それじゃ―――こっちの「歌姫」の方も・・・
フ:フ・・・それは何も、私達ばかりではない様ですよ―――
ヘ:少尉殿!
マ:バカ・・・ヘレン―――危ないって!!
リ:(あ・・・)マリア―――に・・・ヘレン?!
ハハ・・・なんだよ―――皆そろい踏み・・・かw
ソフィアに向けられた「害意」を取り除いたのは、やはり昨今―――「歌姫」の一人である「サイレン」の宿に覚醒めたフランソワの、「超音波」によるモノでした。
そして、これにより・・・「歌姫」の方も、全員そろい踏み―――ばかりかと思えば・・・
彼方にて、フランソワの事を「少尉殿」と叫ぶ声があったのです。
そして、その声が上がった方向を見てみると、どう云う経緯で連れて来られたのか・・・マリアとヘレンの二人が―――
(恐らくは、ここにいる全員が、マリアとヘレンがここにいる理由―――が判っていないので説明を・・・
以前のお話しで、彼女達二人がいた場所に、「誰」がいたのかを思い出してくれれば、「原因」も判って来ようと云うモノ。
そう・・・つまりは、「レヴェッカ」が、ほぼ無理矢理に近い形でマリアを弟子に取り、この時が来るまで「特訓」をしており、
その「仕上げ」として、今作品最大の戦場往来を果たしていると云うワケ。
・・・と云う事は―――ヘレンは全くの「とばっちり」と云う事にw^^;)
この二人の姿を見て、自分の知り合いが自分を勇気づけに来てくれたモノだと思ったリリアは―――・・・
第三百十二話;古の言葉
リ:そう・・・だよな―――「私」は、決して一人ぽっちなんかじゃない・・・
背後ろで支えてくれる皆がいるから、退こうにも退けゃしないんだ・・・
ああ―――そうさ・・・だから・・・「だからと云って、負けるわけにはいかない」んだっ―――!!
その時リリアは―――何気なく・・・意識すらせずに、その「言の葉」を発していました。
そして、その「言の葉」は―――・・・
エ:(!! ぅぬううっ?! こ・・・この「言の葉」は??!
ぐ―――ふうぅっっ! わ、妾の内で蠢きよると云うのか!? あの「言の葉」に反応をして!!
解せぬ・・・あの様な―――他愛のない「言の葉」に、何程のモノが・・・)
エリスの内で蠢く「何か」・・・
しかしそれこそは、最早「ジョカリーヌ」以外の何者でもありませんでした。
ですがエリスが評するように、その時リリアが紡いだ「言の葉」は、「他愛のない」「何程のモノもない」モノだった・・・
それなのに―――・・・
ならばなぜ、エリスの内の「ジョカリーヌ」が、こうも激しく反応を・・・
リリアの「言の葉」に対して呼応をしたのでしょうか―――
もう・・・過去の記憶は、古過ぎて忘れ去られてしまったのかもしれない―――・・・
あれは・・・そう―――・・・
カルマ「コキュートス城」の一角で、自分達の実力に見合わない強敵を前にした、「ある人物」の「魂の言霊」と呼ばれた者がありました・・・
リ:―――そんなのは判ってる・・けれど、だからと云って―――私達は負けるわけにはいかないのよっ!!
その「言の葉」を紡ぎ上げた人物こそ、リリア=クレシェント=メリアドール・・・
ある「哲学士」は云う―――「この世に「絶対」と云うモノは、ない」―――と・・・
しかし同時に、絶対に近い「何か」は、「有り得る」としていたのです。
つまりは「それ」が、リリアの先祖に当たる「リリア」から発せられていた・・・
無論「先祖のリリア」も、意識をしてその「言の葉」を紡いだのではないのでしょう・・・
けれど、結果としては、自分達の前に立ちはだかる強敵を撃破できた―――
そして・・・その「言の葉」は、現在―――ジョカリーヌにも届いていたとすれば・・・??
エ:ぐ・ぬ・・・ぉおおはあぁっ!!
プ:(!!)エリス殿―――?!
ト:(!!)あれは―――エリスの内から「人」が?!!
ロ:むうぅ・・・これは―――・・・
エ:ば・・・バカな―――??
な・・・ナゼ―――なぜ妾の内の「ジョカリーヌ」が、拒絶反応を???
ユ:届いたのです・・・今のあなたには理解し難い事だとは思いますが・・・
ジョカリーヌには、先程のあの「言の葉」が届いたのです!!
けれど・・・あなたは、その事を認めたくはないでしょう・・・
あの「言の葉」の重みを理解しているから、尚更―――
エ:ぬううう・・・煩いわ!黙らっしゃいっ!!
リ:ああっ―――なんてことを・・・!
でも―――
レ:フッフッフッ―――あれでええんよ・・・
ああ云う「反応」をするんは、焦っちょる証拠よ! 気にもせんかったら、云わすだけ云わしとくもんよ―――ほうじゃろが、エリスよ!!
エリスの身体の内から「人形」が出てきました・・・
しかしそれは、よく見れば「ジョカリーヌ」だったのです。
その事にユリアは歓喜したモノでしたが、逆に煩わしさを覚えたエリスは、ユリアの事を足蹴にしたのです。
その行為にリリアは憤慨するのでしたが、レヴェッカに云わせるならば、最早その行為自体が「エリスの焦り」だと、そう指摘をしたのです・・・。
=続く=