第三百十三話;最終決戦
リリアからの「言の葉」が届いたのか・・・「元・神託の巫女」であった「エリス」に戻っていたジョカリーヌは、
また再び、エリスから分離したのでした。
その事を認識した「賢下五人」達は・・・
ル:ほむ、離れおったぞ。
ガ:なら、今を以て機会はない―――取り戻すよぉ!
プ:ぬうう・・・そうはさせてたまるか!
「トゥルヴァドゥール」よ、協力をせい! 阻止するぞ。
――=真言=――
ト:云われるまでもない・・・が、私に命令や指示はするな!!
――=オガム=――
フ:やはり、そうきましたか―――ならば・・・
――=サイレス=――
ロ:あなたが、そうくるのならば―――・・・
――=ロー・レ・ライ=――
ソ:(互いの能力を相殺し合っている・・・けれど、戦場に措いての効果は、そのまま―――)
ならば、私は・・・
――=祝福の舞い=――
すかさずジョカリーヌ確保に向かうも、今回は敵方に回ってしまった「歌姫」達・・・
「プリマドンナ」「トゥルヴァドゥール」「ローレライ」の働きによって阻止されようとしたのですが、
今回も賢下五人側の味方になった、「サイレン」「ディーヴァ」の働きにより、勢力は拮抗・・・鎬を削り出したのです。
それに、「サイレン」と「ローレライ」は、互いの能力を相殺し合っており、
それでも彼女達の能力は、この戦場で持続していた・・・
つまり、未だに「呪」や「術式」などは、無効な状態のままだったのです。
そこで威を発揮してきたのは・・・
レ:へっへっへっ―――こうで、なけらにゃあのう・・・
いっちょう、ぶちのめしちゃろうかいのう―――エリーゼ・・・
エ:ほ〜い♪ ほじゃあ、どんないつから、ぶちのめしちゃろうかいねぇ〜♪
直近接戦闘が得意な、二人の賢下五人・・・「拳帝神皇」と「破壊神」―――
そして、最近・・・この「拳帝神皇」の弟子となった(無理矢理との話もありますが・・・w)・・・
マ:あ・・・あのぉ〜〜わ、私も・・・やるん―――ですよねぇ??
レ:当ったり前じゃろがい、何のために、ワレを連れてきた―――思うちょるんなら。
マ:(あはは〜〜・・・)ですよ・・・ねえ―――
ヘ:ナニ今更怖気づいてんのよ、マリア・・・
私は征くよ―――!
レ:ほほう〜―――その姐ちゃんのほうが、判っとるようじゃのう。
マ:(はあ〜あ・・・ヤレヤレ―――)そうきましたか・・・仕方ない―――ならば私も!!
プ:フン―――小娘風情に何ができるか・・・
私らを侮るではないわ!
なにしろ、以前を教訓に、私も直近接戦闘を身に付けたのだから・・・ねえ。
進化していたのは、なにも賢下五人側だけではありませんでした・・・
それと云うのも、「プリマドンナ」ことバイメイニャンも、以前の展開で「サイレン」「ローレライ」の沈黙の世界に巻き込まれた時、
何も出来なかった無力な自分を省み、時を隔てたこの時代にまで、新しい戦闘技能と云えるモノを、達人の域まで極めていたのです。
けれども―――・・・
プ:(ぬっ?! こ奴のこの動き・・・)まさか―――
マ:この短期間で・・・総ての技を習得するのは無理がありましたからね・・・。
だから、一極集中して、一つの「技」のみを「皆伝」することにしたのです。
さあ・・・お受けなさい――=「神」の拳“柔”・有情断迅=――
まさしく、その名・・・「舞闘の女神」に相応しく、舞うかのような体捌きで「プリマドンナ」からの攻撃を受け流して行くマリア・・・
しかしてそれは、「拳帝神皇」と称されるレヴェッカの・・・それも多彩なる技の一つでもある『「神」の拳“柔”』だったのです。
しかし恐るべきは、その拳・・・受けても痛みを一切伴わない―――云わば、「快楽の内に死を迎える」モノだったのです。
ですが、マリアからの攻撃を受けても、「プリマドンナ」の存在は砕け散る―――・・・でも、なく??
しかしてそれは―――・・・
プ:ぐっ―――くぅおっ!!
へ:(・・・?)マリア―――あんた??
マ:加減は・・・してあります。
それに私は、なにも「命まで奪え」との命令は受けていません・・・
そうでしたよね、師父―――
レ:フフ・・・ええ心がけじゃあ―――それでこそ、わての弟子よ。
「寝返りし者共を抹殺せよ」―――その様な命令も受けていないし、喩え受けていたとしても、現在のマリアの実力上、
そうまでしなくても最善の結果が得られるモノと思い、拒否していたに違いはないのです。
それに、マリアの師匠筋となったレヴェッカも、そうした意見を明確にしてこなかったことから、
現在のマリアには、流派の一つでも体得させれば、それなりの成果・・・それで事足りるモノだろうとの思惑があったのでしょう。
ですが、バイメイニャンは―――・・・
プ:フッフッフッ―――甘い・・甘いのう。
ならば私は、お前に対し殺意を込めて闘うまで・・・
マ:(!)ならば私は、飽くまであなたを活かすのみ・・・
飽くまでも―――相手を殺す「殺人拳」・・・
飽くまでも―――相手を活かす「活人拳」・・・
ここでも両者の拮抗は始まりました。
そしてこの後、各々が相手を見極め、対峙することとなったのです。
中でも「トゥルヴァドゥール」は、未だに自分達に不利になり、また、相手側には有利に働いている「ディーヴァ」の「舞い」に対し、
即座中止の勧告を行うのですが・・・
ト:あなたも・・・「歌姫」としての「宿」に目覚めたのなら、かつて私達になされた不遇を知らないはずはないでしょう。
ならば、私達に力を貸すのが道理―――そうは思いませんか・・・
ソ:知っています・・・なにより、この「宿」に目覚めた頃より・・・。
ですが―――それでも「尚」・・・です。
あなたの方こそ、判っているのではありませんか・・・なぜ今、自分達はこんな事をしているのだろう―――と・・・。
逆に、判らない―――と云われるのならば、なぜあなた方はエリスの甘言に惑わされたのですか。
「かつての自分達が受けた不遇」・・・コレを持ち出しさえすれば、「歌姫」としての「宿」に目覚めた者ならば懐柔できるだろう―――
そうした「トゥルヴァドゥール」の思惑は、外された・・・どころか、逆にソフィアからの一理ある説得に取り込まされそうになったモノでした。
そこで急遽―――今度は矛先を、「サイレン」へと変え・・・
ト:ならば「サイレン」―――あなたはどうなのです・・・少しもおかしいとは思いませんか。
ヘ:(・・・)無駄よ―――今の少尉殿に、何を云っても・・・
ト:女よ・・・今私は、「サイレン」に問うたのです―――関係無き者は口を挟むな!!
ヘ:関係? あるわよ・・・なんたって私は、こいつとは「腐れ縁」―――だしねぇ。
それに・・・こいつの頑固さときたら、隊の中でも折り紙つきでね、一度「こう」と決めたら、絶対に変わり様がないし、変え様がないのよ。
しかしそこで、「トゥルヴァドゥール」への反論をしたのは、何とヘレンなのでした。
そのことに、「トゥルヴァドゥール」からは、「関係者ではない」と飃言されるのでしたが・・・
ヘレンは、フランソワの性格を、知り尽くしていた・・・
一度フランソワが思いこんだなら、他人の意見など聞き入れようがない―――・・・
そう・・・かつて、宇宙軍から自主除籍をする時、その意思はフランソワだけしか知らなかったのですから・・・
だからこそ、ヘレンには判っていました・・・
あたら営利目的の勧誘の言葉に靡く、頑固者の戦友ではない事を知っていたから・・・
そして―――・・・
リ:へへへっ―――あっちこっちで、大盛り上がり・・・だなぁw
さあっ―――て・・・と。
市:リリアさん―――あなたは本当に・・・
リ:ああ―――「相手」は、するよ・・・
けれど、「闘い」は、しない・・・
蓮:(!)なんと・・・しかしここは、最前の只中ではござらぬか?!
リ:蓮也・・・間違っちゃいけないよ―――私は何も、殴り合う為にここへと来たんじゃぁ・・・ない。
話し合えば、判り合える・・・そうだろ、エリス―――
エ:フ・・・フフフ―――世迷い事を・・・
卆が来ぬならば、妾が・・・
今回の「争い」の中心となるのは、やはりエリスとリリアでした。
それに、リリアは・・・事態がこうなる以前に、「或る事」を心に決めて来ていたのです。
そう・・・「いかなる事態になっても、エリスとは争わない・・・」
しかし、今回の事象点の大元であり、騒動の発端とも云えるエリスを前に、「闘わない」・・・「争わない」・・・事が、いかに至難なのか、
リリアには判らないはずはないのに・・・
その事を見越してなのか、早速エリスからは、激しいまでの攻撃が加え・・・られ??
市:(!!)リ・・・リアさん??
蓮:リリア殿? お主―――・・・
エ:それは「晄楯」・・・フン―――軽薄な・・・先程卆は、妾とは「争わぬ」と云い置いたばかりではないかえ。
それを・・・ククク―――なぜにそのようなモノを?
リ:おおっと―――勘違いしてくれちゃ困るぜ・・・
何も私は、みすみすやられようって云ってるわけじゃないしな。
それと確かに―――私は「争わない」「話し合う」とは云ってるけどもな・・・
あんたがそう出てくるんじゃ、少々荒っぽくなっても、し方・・・ないよな?w
しかし―――先程の「宣言」とは裏腹に、リリア自身が持つ戦闘技能・・・「晄楯」を展開させて、エリスからの攻撃を凌ぎ切ったのです。
そのことに、先程「宣言」した事とは違うのではないか・・・と、思ってしまった市子に蓮也にエリス・・・
けれどリリアは、予め事態がこうなる事を云い含められていたから、そうしているのだ・・・と、そう説明するだけに留めていたのです。
=続く=