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〔そして、この闘いが終わった後で、この場所に空間の歪みが発生し、何者かが、空間転移してきたのです。

その者とは―――件(くだん)の、女魔術師 ヘカテ が・・・・〕

 

 

へ:(おや・・・?) ここは・・・ずいぶんと、また辺鄙な場所に、出てきましたね。

  争いの形跡があったから、寄ってみたのだけれど・・・

 

あら?あれは・・・リッチー?

 

ジ:これは・・・いかがされたか、空間転移が、お出来になられるとは・・・並ならぬ、実力の持ち主とお見受けしたが・・・?

 

へ:(フ・・・)に、しても・・・珍しい事もあったものね。

  ここ数日で、死せる賢者に、二度も出くわす事になる・・・なんて、

まぁ・・・最初の方に会ったのは、余り大した事、なかったけど・・・。

 

 

エ:(死せる賢者に二度・・・!? そ、それも・・・ジョカリーヌより先・・・ハッッ!! ま、まさか!アダナ様の身に、何か??)

  ジョカリーヌ・・・あいつを打ち倒して・・・

 

ジ:はっ?? い・・・今、なんと・・?

 

エ:あいつを・・・コテンパンに、のして・・・って言ったの!

 

ジ:ぅ・・・むむぅ・・余り、気の進まぬ事じゃが・・・いたし方あるまい・・

  そこの者、怨み辛みなどないが・・・滅させてもらうぞ!!

――氷結なりし者よ、討ち貫け――

=ワール・アン・ティー=

 

へ:むっ?!!       我が、紅蓮の宝珠『ファイア・クレスト』よ、術式を無効化せよ!!

 

ジ:な・・・なんと、―――ファイア・クレスト―――とは・・・な、なれば・・・

エ:・・・無駄よ、ジョカリーヌ、あれに、炎は効きはしないわ・・・

 

ジ:な、なんですと?? な、なれば・・・本物?!!

エ:・・・・。(コク)

 

ジ:(な・・・なんと・・・) むぅぅ・・・万策尽きたるか・・・

エ:(フフフ・・・それにしても、彼等・・・意外に、こちらに来るの・・・早かったわね。)

 

 

〔そして、彼女、以前に会った、もう一人の死せる賢者、リッチーであるアダナを、余り大した事のない・・・と、そう評価をし、

その彼女の言葉で、エリアは、アダナと、この女魔術師へカテが、自分の知らないところで対決をしたものと思い込み・・・

しかも、今より、700年前に、フレンス・ブルグを飛び出したアダナの身に危険が・・・と、そう思ってしまったようなのです。

 

そして、直ちに、ジョカリーヌ様に、迎撃するよう頼んだのですが・・・・

すると、やはり、この者も、以前にアダナと対峙した時と同じように、あの紅き珠の“ファイア・クレスト”を用い・・・応戦したのです。

しかし―――ここで、ジョカリーヌ様、この者の持っている、その紅き珠がなんなのかを、知りえているがゆえに、少しばかり気後れをしたのですが・・・

よもや、本物がこの世に出回っているはずが・・・と、思い、お得意の術式で臨もうとしたところ、エリアの口から意外な事実が・・・

 

そう―――それは、紛れもない、“紅蓮の宝珠”アーティファクト『ファイア・クレスト』である事を、知らしめられたようなのです。

それがゆえに、ジョカリーヌ様も、―――万策尽く―――と、思わざるを得なかったのですが・・・

逆に、エリアの方は、彼のへカテが、ファイア・クレストを持っていたお蔭で、彼女達が何者なのか・・・を、知りえたようです。

 

 

そして―――この激突を静観していた、あの樵夫の男が、ヘカテの方に歩み寄り・・・・〕

 

 

木:これ、ヘカテよ、それがしの客人に、なんと言うことをする?

へ:(う・・・ん?) そういうあなたは―――グルカ! 副団長こそ、ここでナニを?

 

グ:フフ―――まぁ・・・見ての通り、木の伐採よ。  それより、それがしの客人に、手を上げる・・・とは、どういう了見からか?

へ:はあ・・・しかし、どういう事・・・とは申されましても・・・・先に術式を放ってきたのは、あちらでして・・・

 

グ:お前―――何か、気に触るこでも、申したのではないのか?

へ:(気に触る・・・・はっ!)もしや―――  あなた達、ひょっとして、アダナとかいう者を、存じ上げているので?

 

ジ:うむ、あやつなら、妾の教え子の一人じゃが・・・

 

へ:そうでしたか―――あ、いや、そうとは知らず、先程は無礼な事を・・・申し訳のないことを言いまして・・・

 

ジ:いや―――何、かまわぬよ。

へ:それは辱(かたじけな)い―――。  それより副団長、あの方は見つかりましたか?

 

グ:・・・・・。

へ:あの・・・グルカ?

 

 

グ:・・・・静かにしろ、遥か―――この方角で、なにやら起こっておる・・・・

へ:この方角――――・・・確かに、憎しみに満ちた気を、感じますね・・・

 

ジ:(何?この方角―――? この方角とは・・・フレンス・ブルグではないか!! し、しかも・・・こ、この憎しみに満ちたりた気・・・)

  この気は・・・・カミイラ!!

 

エ:(この、私の・・・『次元の雷』を喰らって、尚、現世に這い出てくる程の力―――・・・・まさか?!!)

  ジョカリーヌ様!急いで戻りましよう!フレンス・ブルグへ!!

 

ジ:う、うむ!!                   =空間移送方陣=

 

 

グ:では、それがしらも、行ってみることにするか、そこへ・・・・

へ:ハッ、かしこまりました。       =空間移送方陣=

 

 

 

 

 

 

 

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