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ゼ:へへへ―――っ、旧世界の遺物だか、なんだかしんねえけど、このオレにかかっちまやぁ、ガラクタも同然よ。

  ほれ、あんたもさっさと目的のもん・・・・とってきな。

 

ヘ:あ・・・・は、はい。

 

  ど、どうも済みません・・・お待たせをして・・・。

 

ゼ:なぁ―――に、いいって事よ・・・気にすんな。

へ:(ん―――? 今のセリフ・・・昔どこかで聞いたような・・・)

  それにしても・・・ずいぶんと無理・無茶をするんですね・・・・あなた。

 

ゼ:あぁ―――ん??

ヘ:今の、マジェスティック・ガーディアン戦ですよ。

 

ゼ:ああ―――あれか・・・ま、小難しく考えてても、どうにもなるわけでもなし、

それにこっちにしたって、いい稽古台みたいなもんだったしな。

 

へ:稽古・・・・台?

 

ゼ:ん?ああ・・・・このオレが、独自で作り上げている、或る剣技だよ。

へ:ああ・・・・先程の・・・その巨大な剣を、まるで小枝のように振るうなんて・・・怪力なんですね。

 

ゼ:へっ――― よせやい、赤の他人からそう褒められるだなんて・・・・なんだか、へそがむずがゆいぜ。

へ:(ふふ―――) ・・・あら?

 

ゼ:んっ?どうしたんだい?

へ:ちょっとまって・・・・あなた、ここに傷が・・・

 

ゼ:ハァ?傷?? ・・・・なんだよ、かすり傷じゃんか、こんなもん唾(つば)でも付けてりゃあ・・・・

へ:いいえ、よくありません、それに・・・この傷、小さいようですが、深いようですし・・・・とりあえず、応急処置しましょう。

 

ゼ:はぁ〜〜〜(ヤレヤレ・・・・)  ・・・って、ちょ、ちょっとあんた??! な、なにしてんだあ??!

へ:そんなに恥ずかしがる事・・・・ああ、これです? 私、大事なものはここに隠していることにしていますので・・・

 

 

〔ゼクス―――へカテを助けた経緯を、『自分の剣技を、鍛え上げるための稽古台』としたようで、その結果も、自分としては、まさに及第点だったようです。

 

そして、ヘカテも、自分の目的を達成し、二人して引き上げようとしていたところ、自分を助けてくれた際に負ったものなのか・・・・

ゼクスの左肘の辺りに、小さな傷を確認したようです。

 

彼自身は、“こんなもの、唾でも付けてれば治る”と、主張したようですが・・・

彼女とて、手助けをしてくれた恩を返さないまま・・・・とは行かなかったのでしょう、応急処置をするようです・・・・

が、その薬を出す際に、ゼクスは少し戸惑ってしまったようです、どうして―――?

 

それは、ヘカテが、その胸を少しはだけてしまったから・・・でも、彼女の言によれば、“大切なものは、ここに隠している”ようですが・・・・

では、その胸の谷間より、取り出した薬とは―――〕

 

 

ゼ:そ・・・・そいつは・・・・なんだ?

へ:これは・・・・私の、長年の研究の成果、これに・・・この ノーブル・ディザイアー を少し削って入れると・・・

  出来たわ・・・『ノーブル・エリクサー』の完成よ―――!

 

ゼ:(はァ〜ン・・・ノーブル・・・)・・・・エリクサーだと?!

へ:え?ええ・・・私が、長年・・・・改良に改良を重ね、そしてようやく最後の材料―― ノーブル・ディザイアー ――を見つけ・・・

  それを加えられる事になった、という事よ。

 

  大丈夫、あなたに一番最初に使わせてもらうけど・・・品質は、折り紙付きよ?

 

ゼ:い・・・いや、そうじゃなくて・・・あんた、まさか・・・3,000年位前に、一度オレ達の庄で、迫害受けなかったか・・・・?

 

へ:(えっ?!!)さ・・・3,000年前・・・に、迫害・・・? そ、それをどうして、あなたが・・・・

(はっ!!)ま、まさか・・・・あなた、あの時の?!!

 

ゼ:や・・・やっぱり・・・

へ:そ、そんな・・・じ、じゃあ私・・・あなたに二度も・・・それを・・・・

ごめんなさい、それなのに、最初あんなに突っぱねちゃったりして・・・・

 

ゼ:あっ・・・・ああ・・・・いや、い・・・いいんだよ、別に・・・

  (しっかしよぉ〜〜偶然手助けしたのが、よりによって前にも・・・だったなんて、

こいつは、吉日なんか・・・はてまた厄日なんか・・・分かりゃしないぜ)

 

 

〔そう・・・・万能薬『エリクサー』の、バージョン・アップ版『ノーブル・エリクサー』だったのです。

 

そして、ゼクスの脳裏にかすかに甦る、3,000年前に助けてやった者が、口にしたその言葉と、同じ単語に・・・

どうやら、目の前の、この女魔導師が、あの時のその者である・・・と、いう事に感付くのに、そう時間はかからなかったようです。

 

それに、それはどうやらへカテも同じだったようで、二度も、その命を救ってくれた恩人を、

最初は無下な形で突っぱねてしまった事に、恥ずかしさを感じてしまったようです。

 

 

それから――― すっかりと、そのわだかまりが解けた二人は、洞窟の出口に出たのですが・・・・

実は、そこに――― この二人が、思いもかけないような者達が、待ち構えていたのです。〕

 

 

ゼ:へへ―――っ・・・そうかい、そんじゃあ、あん時探してた薬草で作ったこれが それ だったってわけ――?

へ:ええ―――あの時は、本当にありがとうございました、それなのに私ったら・・・

 

ゼ:いい―――ンだよ、べえっつに、大した事をやったわけじゃあないしさ・・・

へ:(くす・・・) 存外に・・・ゼクスさんて、謙遜家なんですね。

 

ゼ:よせやい、照れるぜ。

ヘ:フフフ――――

 

 

誰:・・・・お熱いところ・・・申し訳ないですけれど・・・・。

 

 

ゼ:―――ん? な、なんだ?あんたぁ・・・・

へ:(えっ?!        ・・・あの・・・背中におのを背負った男・・・)

 

 

誰:今、獲ってきたその宝珠――― 元にあった場所まで、返してきて下さらない?

 

ゼ:な―――なんで?! 一度獲得した宝物は、誰のものでもない! その獲得した人物のものなんじゃあないのか?

誰:・・・・・。

 

ゼ:そ、それに――― これは、この人が、あるモノを作らなきゃあならないのに、必要不可欠なもんなんだぜ!!

誰:これ――― お若いの、お方様の前で・・・口が過ぎるぞ!?

 

へ:(えっ?!この・・・女の人・・・今、『お方様』・・・って・・・そ、それじゃあ・・・)

 

誰:およしなさい―――グラディウス。

グ:は。 し、しかし―――

 

誰:(ふ―――) それよりも、思ってた・・・・いや、それ以上ですね、 ゼピュロス=クルーガー=スルゥドリクジュ さん・・・。

 

ゼ:えっっ?? な、なんで見ず知らずのあんたが・・・オレの名前を・・・

グ:お、おいっ!お前―――

 

誰:他にも・・・確か、あなたは、ティアマットの魔導師・・・でしたわよね? ヘルネリア=カーリナハールト=テシュラーハンヌフォルト さん。

へ:は・・・はいっ!

ゼ:(ええ??) お・・・オレだけじゃあなく・・・この人の・・・まで??

 

誰:当然でしょう? だって・・・あなた方は、この私の・・・・

 

 

〔すると!その時・・・・上空より、なにかの飛行物体が、この『お方様』めがけ・・・・!!〕

 

どすうぅぅ・・・・ん

 

誰:・・・・・・。(←直撃)

 

誰:ふふふ・・・・お――――っほっほっほほ!お待ちなさいな!? そこ逝く者達。

 

ゼ:は・・・・え??

へ:・・・・。(こっ・・・この人は・・・・)

 

誰:その、『高貴なる宝珠』は、このエニグマの、それもこの地の安定のために、置いてあったもの・・・

  それを盗み出そうとするのは、もはや言語道断! この私、自ら罰を与えてくれますわっ!!

 

ゼ:・・・・・。 (な・・・なぁ〜に突然上から降ってきて、さも当然そうなことを言ってんだ?この・・・あぶねー女は・・・)

へ:・・・・・。 (ま、間違いない・・・う、噂には聞いてはいたけど・・・・こ、これは危険だわ?)

 

誰:(フフ・・・) どうやら、己の罪深さゆえに、声も出ないようだわね・・・。

  ですが、一つだけ、その罪を償える法があります。

 

  それは・・・・あなた達は・・・これから・・・・この・・・・(つんつん・・・)

 

  な、ナニをするの?グルカ、折角私が“決め”の一言を言おうとしているときに・・・邪魔しないでくれる??

 

グ:い・・・いや、キシリア・・・それはいいんだがな?

キ:何ですか・・・全く、早くお言いなさい!?

 

グ:いや―――その・・・な? お前の・・・足元・・・。

 

キ:え―――? 足も・・・(チラ) ぅわう! な、なに?リントハイム・・・あなた、どうして私の足の下に寝てるわけ??

 

ゼ:(いや・・・どうして・・・って言われても、あんたが ふみつけ にしたんだろーがよ・・・)

へ:(ど、どうにかせねば・・・このままでは、この人も巻き添え食って・・・)

 

 

誰:(ゆらぁ〜り・・・) きっさぁ―――ん・・・言いたい事は・・・それだけか・・・

キ:あら、どうしたの?怖い顔ねぇ? ま・さ・か、私にふみつけにされたくらいで、お怒りにならないでよね? エリア様―――。

 

エ:あんたの場合!それだけでも十分よッ!!#(めらめら・・・)

 

キ:あっらぁ〜〜ん、やっだあぁ〜ん、キリエ・・・こっわぁぁ〜〜い、たあすけてぇ〜?グラディウスぅ――

  この人ったら・・・まぁるでベヒーモスみたいな形相になっちゃって・・・あら?グラディウス??

 

グ:すまんが、それがしとて、命は惜しいのでな・・・・自分でまいた種は、自分で始末してくれ・・・・

 

キ:・・・・・キシリア=リヒトブレム=エルダーナリシュヴァアラ ちゃんどえす!

 

エ:(ブチ!#)

『大空の・・・星の一部に・・・おなりっ!!』

≪場外葬らん≫

 

キラ―――――ン☆

 

ゼ:は・・・・。(ぽかん)

へ:・・・・・。(ま、まさか・・・こんな“引き”になるとは・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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