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〔でわ、ナゼにキリエが、ご満悦顔なのか・・・・それは、こういうことだからなのです。
かの三人姉妹の女神・・・・そのうちの一人、Aに、キリエがこんなことをしたから・・・・
Aの固有領域にて――――
Aが、自身の術の開発にいそしむべく、その研究計画を練りこむために、椅子に腰掛けたところ――――〕
ぐら・・・・
A:(お゛っ?!)
ガタ――――ン!☆
☆ごッッ☆
〔なんと・・・・その椅子は、Aが腰掛けた途端崩れ、Aは床にしりもちをついただけではなく、
机の脚に後頭部を、強かに打ち付けてしまったのです。〕
A:(ぐ・・・くを゛おぉぉ・・・) な、なぁ〜〜んで、椅子が急に・・・・
――――ん? これは・・・・“冷気”・・・
ま・さ・か〜〜〜あんのガっキゃあ〜〜〜!#
〔あ゛・・・あれ?? A・・・・さん? な、なんだか・・・言葉遣いが、あの人によう似てきてますよ???
そんなことが、ここであったとは露とも知らない、三人姉妹のうちGさんが、ヱルメスを伴って、Aそんの固有領域に来たようですよ?〕
G:お邪魔いたします―――・・・
A:(ムッ!) 誰―――!##
ヱ:(ひ・・・)
G:あ・・・姉君、手前ですよ・・・・
A:あ・・・誰かと思ったら、G、お前・・・(と)ヱルメスぅ??
ヱ:おばちゃま・・・怖いィ・・・(ひっく・・・いっく・・・)
A:あぁ・・・いや・・・ゴメンよ? い、今のはお前に怒ったんじゃあなくってさぁ・・・・(オロオロ)
G:それにしても・・・いかがなされたのですか、その・・・頭の、立派なコブは・・・。
A:(はぁ・・・)それなんだよねぇ〜〜。
あいつの事、恩赦を与えたのは、間違いだったのかねぇ・・・・。
G:あいつ・・・・とは。
A:キシリアだよ―――。
あんの悪たれ・・・赦され、解き放たれたら、前にもまして悪戯(わるさ)ばかりしやがる・・・・。
G:は・・・・あ・・・。(成る程・・・)
それより、姉君、言葉遣い・・・言葉遣い・・・・。(ひそ・・・)
A:えっ? あ・・・ああ、悪い悪い・・・・(セリフコントロール・・・・セリフコントロール・・・)
ところで、今日は何の用で来たのですか・・・
G:(そうそう・・・)いえ、実は・・・・ヱルメスめにも、そろそろ術の勉強をさせたほうが、よくはないか・・・・と。
A:(ふふ―――)そうだったのかい・・・。
ヱルメスや、お前の母は、教育熱心なんだねぇ?
ヱ:・・・・はい。(ぽ♡)
A:(ふ―――・・・)可愛い子だ・・・。
そうだね―――― では、私が、今、独自に開発しているものを見せてあげよう・・・・
ようく・・・・私の指先を・・・・見てて御覧・・・・・
―――・・・ ぽ っ ・・・―――
ヱ:(あ・・・)火?? で、でも・・・何も唱えていないのに・・・
G:姉君・・・これは?
A:あぁ――― 私の“顕現”を使ったんじゃあないよ。
これは、私自身の『気』と、この宙空に漂う、“火”の素と成りうる『元素』を択び出し、
私の気と融合させる事によって、為されたものなんだよ・・・。
〔そう――― 何も、呪文を唱えることなく出でた“火”――― 実は、このことに問題があったのです。
それというのも、この頃、既に、この三姉妹の手によって、確立されていた術の形態は、
今でも見られるように、『呪文』と呼ばれる、ある種の“契約”で、紡がれたもので喚起できうるモノだったのです。
それを・・・今のAの手によって為された事は・・・・それではない、いわば自分の気力・心力と言った、潜在のモノと、
今そこの宙空に漂う、ありとあらゆる物質を掛け合わせて、発現されたモノ・・・・その術式の名を・・・・
=ドルイド=
そして、この出来事を目の当たりにし、ある事を危惧するGは・・・・〕
G:姉君・・・・その術式、少々まづくはありませぬか・・・
A:ああ、わかっているさ・・・何者とも契約をせず、自分自身の能力で喚起できるコレ・・・・
それは、私達三人の持っている『顕現』と、似通っているくらいはね・・・。
G:それを・・・分かっていらっしゃるのでしたら・・・
A:なら・・・・G、お前・・・今の私のように、“顕現”を使わずに、何かを為して御覧・・・?
G:承知しました―――・・・。(ス・・・)
ヱ:・・・・・。
G:――――・・・・(ん・・・)・・・・・――――――。(こ、これは??!)
A:できない・・・だろう?
G:な、なぜ・・・どうして?!
手前や、姉君、それに妹めには、父君から同じだけの能力を分け与えられて―――・・・
A:いや、私達の能力は、平等だよ、今でも・・・ね。
G:そ、それでしたなら、ナゼ――――・・・
A:だが、私がお前達に見せたコレは、全くの偶然上の産物なのさ。
G:偶然・・・・なのですか・・・
A:ああ――― だから、今の時点でコレを扱えるのは、私だけ。
Nにも、同じような事をさせても、お前と同じ結果が得られるだけだよ・・・・
G:(うぅ・・・む・・・)
A:だが・・・まあ・・・そんなに心配しなくても、滅多と使えるものじゃあないから・・・・安心をし。
〔彼女達の言う、『顕現』とは、契約による“呪”からではなく、自らに既に備わっている『能力の開放』であり、それらによる現象でもあったのです。
(いうまでもなく、Aの顕現は“火” Gは“大地”“大気” Nは“水”“陰陽”“樹木”・・・・そう、これらは、彼女達の出生にも関係している事なのです。)
でも、しかし―――
その 顕現 も行使せず、 呪 さえも発動させず、発言できうるその術式の簡易性に、大いなる疑問を抱いたG――――
なのですが・・・いざ自分も――― と、なると、これがどうしたことか、いくら己の気を練ってしても、自分の姉と同じような事は起こせないでいたのです。〕