<V>
〔それはそれとして―――
このお城の一番の難所とされている、『小ホール』前で、こんなことが―――・・・〕
ア:こ・・・・ッ、ここは、確か―――(ごく・・・り)
ヱ:え・・・・ええ、様々なトラップが仕掛けられているという・・・
ジ:(ぅん?!)待ちやれ。
ア:えっ? どうかしたの?ジョカりん・・・
ジ:アレを・・・・
ア:(うん・・・・?)あっ――!! お、お前は・・・・確か・・・
ヱ:あなたは・・・カミイラの第一の従者、ヴェルガー=トゥベリウス・・・。
どうして、あなたがここに―――・・・?
ヴ:(ふん・・・)私とて、お前たちを、ここから先に招き入れるのは、本意ではないのだが・・・
主上・カミイラ様のお望みとあらば、いた仕方あるまいよ―――
ヱ:えっ?? じゃあ――― あの人、今日のこの事を・・・
ア:知ってた――――ってのか?
ジ:ふむ、ならば話は早い、案内して給れ。
ヴ:・・・・・こちらです。
〔なんと・・・そこでで会ったのは、この城の主、 カミイラ=エイデル=ゲーリング の従者の第一人者、 ヴェルガー=トゥベリウス だったのです。
しかも、その従者の口からは、思いもよらぬ一言が―――
そう・・・今、この城に訪れている者達に、カミイラ自身も会いたがっていた・・・・と、言うこと。
でも、これには、また何らかの策謀があるのでは―――・・・と、戸惑いはするものの、
実のところ、今回は、そのカミイラに頼み事をする立場にあるので、私情は棄て、その従者の後をついていく事としたのです。
そして――― この城の玉座の間では、以前見た時よりかは、遥かに見かけも、その存在感も、『大』になった者が―――
待ち受けていたのです・・・。〕
カ:・・・・・。(ギロ)
ヱ:(うっ・・・・うぅ・・・)ほ、本日は・・・お目にかかれて、光栄です・・・カミイラ・・・・様。(ペコリ)
カ:ふん―――・・・・。
ヱ:(うっ・・・・く)あ、あの・・・・今日は、少しばかり相談に乗っていただきたいことがあって・・・・
カ:フッ―――・・・・フフフ・・・
ヱ:なっ―――(ドキ)なにをお笑いに・・・?
カ:いやァ・・・(フン)なぁに、以前この私に噛まれた時には、実に従順だったのが・・・・
それが、今では私と対等・・・なのが、片腹痛くてねぇ・・・・
いや、実にこの数年で偉くなったもんだよ・・・・お前はね!!
ヱ:(ぇえ―――っ??)
カ:この私に、何か“お願い”にきたのだろう?
だったのなら――― しかるべき態度を取るべきじゃあないのか―――
・・・・と、そういっているんだよ。
〔考えられるだけの、最上の礼を尽くし、今回の事を切り出そうとしたものの、
そのヱルムの態度が気に食わなかったのか――― それとも、他の何かが気に入らなかったのか――――
ともかく、カミイラは、依頼の一件を聞く前に、一笑に付してしまったのです。〕
ヱ:(え・・・?え?? しかるべき・・・態度?
そうは言っても、私は前例に倣って、頭を下げている・・・・と、いうのに・・・)
〔しかし――― そこには、ナニが“足らなかった”のかが分からずに、まごついてしまっているヱルムが・・・
そして、それを見かねたのか―――― なんと、カミイラが玉座を立ち、ヱルムのほうへと、ゆっくりと下りてきたのです。〕
ジ:カッ・・・カミイ―――
エ:(バッッ!)・・・・・。
ジ:エ・・・エリア殿!
エ:これは・・・当事者同士でつけるべきことよ・・・無用な手出しは、してはなりませんよ、ジョカリーヌ・・・・。
ジ:し―――・・・しかし・・・・・・分かりました。
〔しかし、そこには、ある事態を予測し、それを止めようとするジョカリーヌ様がいたのですが・・・・
“その行動を起こしてはならない”とし、阻(はば)んだ存在――――エリアもいたのです。
そう・・・この二人は・・・・いや、そこにいた者達(アダナを除く)は、これからカミイラがヱルムに対して、何をなそうとしていたのかが、
分かっていたのです。
なぜならば――――
しかしながら、そのことは当然の如く、ヱルムの身に降りかかったわけで・・・・
では、一体その時、何がエルムの身に起こったのでしょうか――――〕