第0講‘ “番外編” 〜おひぃと婀陀那〜 ――其の弐――
<いち>
それは、最悪の出会いであった。
一方は、“西”の雄『雷鳳高校』のウラ番、[森野婀陀那]。
かたや“東”の雄『樹雷学園』の“中等部・生徒会長”[柾木阿恵華]。
お互いの学校間がライバル関係ということもあり、その抗争はすさまじいものであった。
そして、二人が始めて出会った時、運命の歯車がゆっくりと動き始める・・・。
(おひぃ、近侍の“影”我矛羅(ガムラ)と真沙螺(マサラ)に助け起こされる)
我:姫様、大丈夫ですか?! 真:お気を確かに!! お怪我のほうは?!
阿:あ、えぇ、大丈夫です。 我矛羅、真沙螺、それより事態の収拾の方は?
我:はい、何者かが警察の方に連絡したらしく、今は鎮静化されております。
阿:そうですか・・・・。 では、あの人は? 我:はっ?!
阿:とぼけるでない! このわたくしを・・・・ここまで追い詰めた者の事です。 誰なの? 一体。
我:はぁ・・・それは・・・・・ですなぁ・・・・・。
(我矛羅と真沙螺、一瞬顔を見合わせ・・・・・)
真:お詳しい事は後程・・・ 阿:そうですか、で、どうなったの? あの人。
真:捕まりまして、ございます。 阿:えぇ? 解りませぬ、あのような者なれば、いつでも・・・
我:ですが・・・・一切の抵抗などせず縛についた模様です。
阿:(一体ナゼ?) ・・・分かりました、ではゆっくりと聞きましょ。
(一方その頃・・・・婀陀那、移動中のパトカーにて・・・・・)
婀:(あの者は一体何者? あの言動と言い、妾にひるむことなく言い返した度胸と言い・・・・)
ふふふっ、世間とは広いようで、案外狭いものよなぁ。
(そして・・・・・拘留所)
看:おぃ、お迎えが来たぞ、出なさい。
婀:・・・・・。(婀陀那、無言でオリから出る) 看:もう、二度と、親御さんを心配させるんじゃないよ。
婀:ふふふ、クサイ芝居はもうよい、忠兵衛よ、分かっておるな?
忠:フッフフ、公主様にはかないませぬなぁ。 折角、巧く化けたと思うておりましたに。
婀:無駄口はよい・・・・。 散れ!
シュ・・・・ ・・ン
(忠兵衛、音もなく去る)
(そして、森野邸にて・・・)
父:お前、また『樹雷』の奴らとやらかしたそうだな。
ナゼだ!? ナゼお前はこの父に恥をかかせるような真似を?! 森野の家名に泥を塗るつもりか!!
婀:・・・・・・・・・・・・。
父:答えんつもりか、まァいい、お前は当分謹慎だ! 部屋に戻って、沙汰を待っとれぃ!!
婀:それでは失礼いたします。
(一方、同じ頃、柾木家。 阿恵華の自室にて・・・・我矛羅、真沙螺の手渡した調書を見て開口一言)
阿:何ですって!!? あの者が・・・・・“森野”の?
あぁ、なんて事を・・・お父様だけでなく、わたくし達まで泥沼の様な事を・・・・。
我:それと、今一つ。 阿:なんです?
我:どうやら彼女、親とも対立しているらしく、『親子不仲説』まで巷に流れている始末で。 真:内外共に『四面楚歌』といった状態のようです。
阿:(なんと言う・・・)し、しかし、良くあそこまで、精神が保っていられるものですね。
真:それは恐らく、あの家の“中間”(ちゅうげん)の存在あったればこそ・・・かと。
阿:“中間”(ちゅうげん)? 何なのです? それは・・・
我・真:我等二人のような存在です。
阿:あなたたち二人の?
我:そうです、その家の跡目を継ぐ者が成人するまで、護衛をしたり、何かと世話をしたりする者です。
阿:あなた達“影”のような存在ね。 真:仰るとおりにございます。
阿:ふぅ、分かったわ、今はゆっくり休んで。 それから引き続いて、調査のほうお願いね?
我:承知! 真:心得ましてございます。
我:あ、それから・・・・・・・・・・・
(再び、森野邸・・・・・婀陀那の自室にて・・・・/ただいま、読書中)
婀:・・・・・何か分かったのか? 忠兵衛? 忠:へへ、これに・・・・・。
(そう言い、忠兵衛、何かのファイルを手渡す)
婀:・・・・・・ふむ、やはり只者ではなかったということか。 (お互いにな) まずいな、これは・・・・・。
恐らくあちらも、今日のこの一件で徹底的に調べ上げているところだろう。
しかし、ナゼに、争いの輪というものは容易に崩れぬのか・・・愚かしい事だな・・・・・。
うんっ!? どうした? 忠兵衛、もう下がってよいぞ?
忠:実は公主様、もう一つお伝えしたき事が・・・・
(忠兵衛、懐より一つの包みを差し出す)
婀:うんっ?! なんじゃ? これは・・・コンパのパー券ではないのか? 忠:はぁ・・・それが、見知らぬ顔の男に『これを渡すように・・・』と。
婀:ふむ、(土曜の夜か・・・たまにはハメをはずしてもいいかもしれんな・・・・)
あいや、分かった、故に、分かっておるな?
忠:お任せくだされ・・・・公主様。
(これと同じ事が、柾木の阿恵華の自室でも・・・・)
阿:何ですか! これは、コンパのパー券ですってぇ? 一体どういう事なのです!!?
真:そ、そんな事言われましても・・・・・(ねぇ?) 我:ただ我等はあなた様に、直接手渡すように・・・・・と。
阿:まぁ・・・・よい、分かりました。もう下がって休んでよろしい。
我・真:はっ!
阿:一応、大叔母様に、相談したほうがいいのかしら?
(阿恵華の大叔母『瀬戸亜沙華』の部屋)
コン!コン!
阿:お邪魔してよろしいですか? 大叔母様? 瀬:おや、誰かと思えば。 どうしたの? 阿恵華ちゃん
阿:あの・・・実は、少しご相談したいことがございまして・・・・。
瀬:あら? その手に持っているのって、もしかして、コンパのパー券とか言う代物じゃあなくて?
阿:は、はぁ・・・・・それで・・・・・ 瀬:いいじゃない! 行ってきなさいよ!!
阿:ええ゛っ!? で、でも・・・大叔母様・・・・
瀬:気にしない、気にしない! 第一、今、青春を謳歌しとかないと、後々後悔する事になるわよ〜〜? 大丈夫! 万が一の時は上手くごまかしてあげるから!
よし! 許可する! 行ってこ〜〜い!!
阿:(は・・・・・はは・・・)そ、そうさせて頂きます。
(阿恵華、部屋を後にする)
瀬:・・・・これでよかったかしら? 団蔵殿。 団:ご協力感謝・・・・・傷み入りやす。
瀬:いいのよ、こんな事、造作もないこと。 それにしても、杜下の坊や、あれから随分と成長したようね? 次に会う時が愉しみだわ。
団:亜沙華様の洞察力、恐れ入ります。 では、若には、この事を伝えに・・・・。
ヒュウウゥゥ・・・ ・・・・・
瀬:面白くなってきたわね (二ッ)
(そして、当日 夜半を過ぎ、カラオケルームにて盛り上がっている一団がある、よく見れば、婀陀那の顔も見受けられる)
メ1:へっえぇ〜〜、姉ちゃん、歌上手いなぁ? メ2:あれ? お前知らないのか? 雷鳳の婀陀那っていやァ、プロも顔負けだって話だぜ?
メ3:へぇ〜〜、そっかい・・・・、ヒュ〜〜! すっげぇよなぁ〜〜? メ4:何言ってんだい! あたいらの婀陀那ちゃんが、歌下手なわけないだろ??!
メ5:そうさ! なんてったって、オレらの“学祭”の“華”だもんよぉ! メ6:なんだぁ?! オメーら雷鳳のやつらかよ!!?
メ5:おうよ! オメーは?! メ6:オレか? オレは樹雷だ! メ5:ナニっ!!?
(一瞬の沈黙あり・・・・)
メ5:ギャーッハッハッハ! そうかい! まァ、今日は無礼講だ! 飲め飲め〜!!
(などと、一種異様な会話がなされる中、婀陀那は歌い続ける・・・・そう、まるで何かを振り払うかのように・・・・・)
〔ちなみに、何を歌っていたかというと・・・、『Like a virgin』や『Buzzstyle』等と言った様な、ロック・ポップス色の強いものばかりである。〕
婀:あ〜、さすがに疲れたよ。 ぅんっ?! よく見れば、二人ほど欠けているようだな? どうしたんだ?(グビ・・・・)
メ4:お疲れで〜っす! 姉御!! んなんすかぁ? 二人欠員?? あぁ〜、一人は主催者ですねー、
婀:何? 主催者が遅刻だと?? 怪しからんヤツだなぁ・・・(グビ・・・)それで? もう一人は?
メ4:なんかしんねーっすけどぉ、バックレるのに失敗したんですかねぇ!? (キャハハハは)
婀:案外、そうかも(グビ・・・)しれんなぁ・・・・(グビ・・・) おゃ? ・・・・おィ! もう切れたぞ!!?
メ4:姉御、相変わらず酒強いっすねぇ〜! ボトルもう4本目っすよ〜!? あたしらにゃ、とてもじゃないけどマネできないっすよぉ〜?!
婀:・・・・・そうか? (ニャ) メ4:そうっすよ!!
婀:そうか、ならば仕方がない、妾はしばらく外の風にでも当たってこよう。
(そして・・・なんと、ここで、婀陀那と入れ違いざまに、阿恵華入室・・・・・)