第壱拾弐講 哀しき雨音・・・
<壱>
ザァ〜〜〜〜―――――
ザァ〜〜〜―――――
ザァ〜〜〜―――――
ザァ〜〜〜―――― ザァ〜〜―――――
ピッチョン・・・ ピッチョン・・・・
ザァ・・・・・・・・・
時季(とき)の頃は、初夏 梅雨・・・・
そして、これは・・・
この降りしきる、雨の中で出会った・・・
ある二匹のお話しです・・・
バシャバシャ・・・・ パシャパシャパシャ・・・
(どうやら、何かのお使いの帰りからか、コみゅちゃんが、足早に帰っているようですよ?)
コ:うみゅ〜〜ん、ちょっと寄り道してたら、雨さんに降られちゃったみゅ〜〜。
でも、おひぃさんに言われたとおり、カサ持ってて、正解だったみゅん!♡
さ、早く帰らないと、乃亜が待ってるみゅん♡
(とかく、梅雨というのは、雨の降る時が頻繁のようでして、何かのときに、 傘 というのは必携のようです。
しかし・・・・この後、コみゅちゃんは、この傘を手放さなくては、ならなくなったのです。
どうして・・・?
それは、こんな理由からなのです。)
パシャパシャパシャ・・・・・ パ・・・シャ・・・・
コ:(うん?)あ・・・っ、あれ?
パシャ・・・パシャ・・・ パ シャ・・・・
(とある軒先で、ダンボール箱から覗いた、可愛らしい顔。
その、可愛らしい顔の申すには・・・?)
みィ〜〜――― みィ〜〜―――
コ:あ・・・っ、捨て猫みゅ・・・。 かわいそうに・・・、でも、ゴメンね?あたち、急いでるから・・・。
猫:みィ〜〜、みィ〜〜。
コ:・・・・・・ゴメンッ!
パシャパシャ・・・・・・・
たったったったた・・・
猫:みィ〜〜〜―――
(捨てられた猫に、ほんの少し同情するも、この時のコみゅちゃんには、どうする事もできなかったのです。
それに、蜆亭にしろ、ギルドにしろ、捨てられた猫を拾って飼うほど、余裕はなかったのです。
・
・・・・と、言いたいところなのですが。
今、コみゅちゃんが去ったところから、また誰かさんが、駆けってきたようですよ? 誰でしょう?)
たったったったっ
パシャパシャ パ シャ・・・・
コ:(はぁはぁはぁ・・・・ふぅ・・・) ごめんね?君を拾ってあげられないけど・・・代わりに、このカサ、あげるよ。
猫:みィ〜〜―――みィ〜〜―――。
コ:そのうち・・・またきっと来るからね? それじゃあ・・・みゅん!
猫:みィ〜〜―――。
(その、誰かさんとは・・・やはり、コみゅちゃんのようです。
そして、コみゅちゃん、自分の差していた傘を、この・・・濡れそぼっていた仔猫に差してやり・・・
自分は・・・・
そう、自分は、傘もないまま、ギルドへの帰路を急いだのでした。)
コ:だだいまーですみゅ!♡
乃:・・・・あっ、ねぇちゃま、おかえりみぅ♡・・・。
コ:あっ、乃亜、ただいまみゅ♡
乃:・・・・ねぇちゃま、どちてずぶぬれみぅ?・・・・。
コ:え・・・・えっと・・・こ、これは・・・みゅ?!
乃:・・・・?・・・・。
お:ハイ、お帰りなさ・・・まあっ、どうしたの?コみゅちゃん。 あなた、ずぶ濡れじゃあないの・・・。
コ:あ・・・っ、おひぃさん。 え、えっと・・・これは・・・・あのぅ・・・そのぅ・・・。(み、みゅぅぅぅ・・・)
お:あなた・・・ここを出るときに、傘を持って出たでしょう?それがどうして・・・。
コ:え、えっとぉ・・・・(うみゅぅぅ・・・ど、どうしよ・・・)
お:・・・・困りましたわね。 それより、早く濡れた体を拭きましょう?風邪、引いちゃうわよ?
コ:ハイみゅ・・・・。
(コみゅちゃんは、この時なぜか捨て猫に、自分の傘を与えた事を申し述べなかったようです。
どうしてでしょう・・・?)