第三講 お墓参りで一騒動!!
<いち>
(さて、新たに一人の従業員を加え、女二人に男一人 という、周囲から見ればなんとも羨ましい環境の下で営業しているここ『ギルド』・・・・。
でも、世の中そんなに甘くないようでして・・・・・。)
お:ちょいと!ステラさん、ごみ捨てに行ってきて頂戴な!! 婀:これ、お主、そんなところでちんたらしてないで、こちらも手伝わぬか!
(そう・・・・、女二人、男一人・・・・というのは、うらやましくもあるが、その反面多数決では、絶対的に負けているのである・・・。)
ス:ひょっとしてワシ・・・ってダマされてるぅ~~?(〒フ〒)(それは考えすぎ・・・・・・・・・かも?)
(ところで、今回の講釈はそんなことがメインではなく、最近入ってきた彼女、そう『森野婀陀那』のふとした疑問から始まったのです・・・・。)
婀:(この前・・・、この男から漂ってきた香り・・・・・、空港のショップですれ違うた、外人のモノと同じであったな・・・・、
あながち移り香とも思えぬが・・・?)
ス:あに? どったの~~? 婀陀那っち、ワシの顔になんか付いてる~~? ひょっとして・・・ワシにホれたんでないの~~?(ぐフフフ・・・)
婀:(フ・・・)冗談もホドホドにされよ・・・、なぜ妾がお主のような男に・・・・ ス:おやまぁ・・・・お高く留まっちゃってさぁ・・・・(ケケケ・・・・)
お:ほ~らそこ! おしゃべりしないで、さっさと片付けなさいな!!
婀:これはこれは姐上・・・、どうも申し訳ございませぬ・・・。 ス:はぃはいは~~い
お:返事は一つでよろしい!!
(しかし・・・、そんな中、その週の土曜に、婀陀那が自分の家の菩提寺に『墓参り』に来たところから、少しづつ何かが変わってきたのです・・・。)
光苑寺
(実はここは、『森野』だけではなく、おひぃの実家『柾木』と、驍の実家『杜下』の菩提寺でもあるのです)
(その寺の一角の、とある墓にて・・・・静かに手を合わせ、誰かの菩提を弔う婀陀那の姿がある・・・・。)
婀:(・・・・・・。)忠兵衛、元気にしておったかの・・・、お前が亡くなってもう四年じゃ・・・、早いものよの・・・・。
どうじゃ、お前の好きだった酒じゃ・・・、あの世で好きなだけ飲るがよいぞ・・・・?
(そして、お参りを済ませ、婀陀那か立ち上がり、帰ろうとしたその時・・・・、境内の一角に新しい墓が立てられているのに目がいく・・・・)
婀:(おや・・・・? 以前来た時には、あのような所に墓などなかったはず・・・・。それに、あの辺りは・・・・・杜下様の・・・・?)
誰かまた・・・・、亡くなられたようじゃの・・・・・、それにしても、この妾より前に来て、花を替え、水をやり、線香もやっておるとは・・・、
よほど親密な間柄・・・・・・・な、何ィ?!
(婀陀那が驚いたのも無理はない、何しろその墓には墓碑銘などなかったのだから・・・・)
婀:(なんじゃ・・・・この扱われようは! これでは誰がこの墓に入っておるか、分からぬではないか!!?)
(・・・と、そんなところへ、この寺の住職『団慶』が現れる・・・・・)
団:おぉ・・・・、これはこれは森野様・・・、暫く会われぬうちにすっかりと女らしゅうなられて・・・・・。
婀:そなたは・・・・・? 団:ここの住職『団慶』ですじゃ・・・・。
婀:そうか・・・・、では団慶殿、つかぬ事をお伺いするが、この・・・・、杜下の区画に立てられておる、墓の主は誰なのか・・・・・教えてはもらえぬものか・・・?
団:森野様・・・、それをお知りになってどうなさるおつもりです・・・?
婀:別にどうもいたさぬ! ただ・・・・誰とも分からぬ墓に、かような丁重な扱い・・・・、妾は気になって仕方ありませぬのじゃ・・・!!
団:(ヤレヤレ・・・)どーしましょうかいの・・・、このことは堅く口止めされとるのですが・・・、まぁ、婀陀那様ならよろしいじゃろう・・・。
婀:おぉ! それはかたじけない!!
団:あれは・・・・二年前、杜下のメイド長がお亡くなりになった・・・・、それはそのお人のものなのですじゃ・・・・。
婀:なに・・・・? 杜下の・・・・メイド長??
団:そう・・・、そしてそれ以上は決して言えぬ事です・・・・。決して口にしてはならない・・・・・。 今ワシが言えるのはこれだけです・・・。
婀:そ・・・・、そうか、いやこれは貴重な情報を・・・、恩にきますぞ、和尚・・・・。
(そして帰る為、寺の石段を降りる婀陀那、そして・・・、偶然か否か、下より上がってくる人物が・・・・、なんとその人物とは、
かつて婀陀那が空港のショップで、すれ違った件の人物、独の武官『リヒャルト=アィゼナッハ』その人であった・・・。
そして、互いにすれ違う際に、お辞儀をする二人・・・・。)
婀:(コク・・・・・・・) アィ:(コク・・・・・・・・・)
婀・・・・・。(うん?! そういえば・・・、今の男、確か数日前に空港で会うたあの男では・・・?)
(そして、今来た道を急いで引き返す婀陀那・・・・)
団:おゃ、どうされました? 婀陀那様・・・・何かお忘れ物でも・・・・? 婀:(はっはっ・・はっ)お、和尚・・・、今来た男は・・・どこじゃ?
団:あぁ、あのお人なら・・・・・ほれ、おそこじゃ・・・・。(団慶、彼方を指差す・・・・するとそこには・・・・?)
婀:(な・・・・なんと・・・・あの墓の前ではないか・・・!!) 一体これはどういう・・・・。
(*)ここから先のやりとりは独語です・・・・(ご了承下さいまし~(^^;;)
アィ:・・・・・・。(これは・・・・驍の参った後だったか・・・・・) ス・・・・ッ
ハナコよ・・・・安らかに・・・・。
(アィゼナッハ被っていた帽子を取り深々と墓前に一礼をする・・・・・、それはあたかも、親しき友にするように・・・・。)
アィ:(フ・・・ッ・・・・) うん? (アレは確か・・・、先程すれ違った・・・・・何か忘れ物でもしたのかな?)
婀:少々お尋ねしたい事がございます。 アィ:・・・・・・、あなた・・・・独語を?
婀:えぇ・・・・・少しばかり・・・。 アィ:そうですか・・・・・、それで、一体何を・・・・?
婀:まぁ、立ち話でもなんでしょうから、建物の中ではいかがか? アィ:いいですとも・・・。