第五講 ライバル出現す!!
<壱>
〔とある・・・しづかぁ〜〜な、一日でした・・・・〕
誰:ちょいと―――― 邪魔するよ――――!
ざ わ・・・
〔しづかぁ〜〜な、一日が、騒ぎ出した瞬間でした・・・・〕
お:は、はい・・・。
あのぉ・・・・どちらさまで?
誰:いや――― こりゃどうも・・・
お:(あ・・・)向かいの中原(なかはら)さん・・・・
誰:(じろ・・・)ふぅぅ〜〜ん・・・なぁる・・・あんた、女の板前なのかい。
お:えっ?! あ・・・いや、その・・・わ、わたくしは、ここの若女将〔見習い〕なんですけど・・・
誰:はあ?? 女将なんだったなら、どーして、板前みたいなこと・・・・はっはぁ〜〜ん、成る程ねぇ、
今のうちから、英才教育施されてる・・・ってなわけだ。
お:は・・・・(え、英才教育・・・ですか、モノはいいようですわね)
〔あ〜〜〜さて・・・・今、蜆亭になぐ・・・いや、来店した二人の人物・・・な・の・で・す・が!!
一人は、おひぃさんのような、うら若き女性・・・名前を?
中原美也子
<なかはらみやこ>
もう一人は、初老の男性で、名前を・・・・?
中原三郎
<なかはらさぶろう>
と、いうのですが・・・・ところで、この二人、一体何者??
実はこの二人、道路を挟んでの真向かいにある、大衆食堂――――改め、会席割烹
『中原』
<ちゅうげん>
の人間なわけでして・・・
でわ、ナゼに、その 中原 の二人がここ二・・・って、成る程、同じような商売してるから、偵察――――なのですな??
――――と、そう思いきや・・・〕
婀:(おや?)姐上―――いかがなされ・・・
これは、中原の三郎殿、で・・・・そこな娘さんは?
三:あぁ・・・・いや、こりゃどうも・・・
いえ、実は――― 永らく、東京で修行を積んだ姪っ子が、あっしんとこでやってみたい――――って、聞かねぇもんでしてね?
んで――― まあ、断る理由なんざ、これっぱかしもねぇってなもんでして・・・
それじゃあ、今度からうちの厨房任そう――― ってな話になりまして・・・今日は、そのご挨拶も含めて・・・と、言うことなんすよ。
婀:ほぅ――――
お:へぇ・・・・
〔――――と、マァ・・・・そういう、挨拶廻り・・・・だったんですよ。
でも? 真向かいの同業は、なにかと昔からちやほやされている事もあり――― 気にはなったのでしょうかね?
そういう気(つまりは、偵察を含む・・・ )も、少しはあったようでござんす。
そして、いざ来てみれば――― 自分と同い年のおひぃさん(実は・・・・美也子さんのほうが年上なの・・・^^;;)が、ここの女将を張っており、
しかも、女将自らが、庖丁を振るっているものと分かり、気が気ではないご様子でもあるようでつ。
(とはいっても・・・・今のこの段階では、『女将修行中の身』なのだすが・・・)
――――と、ところで・・・ここの御ン体と、ヤツは・・・??〕
静:女将――― 中原様が―――
瀬:おぉや、もう来た―――? ところで・・・・葱のほうは?
静:は―――― はぁ・・・
瀬:来てる―――のね?(にたぁ・・・・)
静:・・・・は・・・・・はぁ―――・・・
ス:静さん――― どーかしなすったんで? それに“中原様”―――って、向かいの??
静:え―――・・・えぇ、まぁ・・・
ス:でも・・・・なんで、また、“葱”なんです??
静:い、いえ――――・・・あの―――・・・・その――――・・・
瀬:いっやぁ〜〜――――ねぇ! “葱”を背負って来るもの―――っつったら、“鴨”に決まってんでしょ―――?
ス:は?なんですと?? か・・・・カモ? でも・・・鴨にしては、時期はやすぎまへん?
静:あ――――あの・・・驍様、その“鴨”でわなくて・・・・
ス:え゛・・・・ま、まさか??
静:は――――はいぃ・・・。
瀬:ニゃ〜〜――――っはっはっは!
なんとさぁ!サブちゃんの姪っ子さんが、東京から帰ってきたんだってぇ〜〜
そこでね?私が、ステキな招待状送りつけてやったのよ!
ス:招・・・待・・・・状・・・・??!
静:あの――――驍様、実は、その代物、『招待状』とは名ばかりの・・・(ぼそ・・・)
ス:い・・・・いわゆる・・・・“挑戦状”・・・な、わけでっか・・・
静:は―――・・・はい。
ス:は―――・・・・成る程、どうりで、ここ最近 活き活き してるわけだ・・・。
でも―――・・・ねぇ? 悪りぃクセだよねぇ〜〜・・・水面に一石投じて、その周囲の反応見るの・・・・って。
静:こちらも――――迂闊でした・・・中原様の姪っ子がこちらに帰ってくる―――という報を受けて、
この方がどういう反応をするかくらい―――
ス:ま―――― しようがないですなぁ、いづれはこうなるこっちゃから・・・
大人しく、一過するのを見守るしかないかもねぇ・・・・・
〔なんだか?よく見えたような・・・・見えないような会話なんですが。
早い話がこう――――
向かいの、(良い意味合いでの)商売敵に、ここの女将見習いと、実力伯仲してそうな、活きの良いのが入ってきた―――
このことを、仲居頭より聞きつけた大女将は、その“活きの良い”のが、乗ってきやすそうな文言を並べた、書き付けを送り――――
当然、そのことを真(ま)に受けた、この“活きの良い”のは、自分の伯父の止めるのも聞かずに、敵中堂々と入り込んでしまった――――
嗚呼――― このことを、『カモネギ』と呼ばずしてなんであらふか―――・・・・
かはひそうにも、この“ネギ”ちゃん―――― じゃなかった・・・美也子さんは、瀬戸さんの挑発にまんまとはまってしまい・・・
今にいたるところのようなのです。〕