≪肆≫

 

サ:(ン・・ゴク・・・ゴク・・・ゴク・・・っ!)

  ぷっはぁぁ〜〜――――! いっやぁ―――いいねぇ〜! こんな、青空の下、桜の花、見ながら、一杯飲(や)れる・・・なんてぇ。

 

臾:ま・・・・至福の至り・・・っちゅう事でんがなぁ。

 

サ:おっ・・・こいつ、いっぱしの事を言うようになったじゃねぇか、

ほれ、もっと飲みな、今日はとことんまで、ブレーコーと、いこうじゃねぇか。

 

婀:(ふふ・・・) それは、一向に構わぬが、余り、羽目を外し過ぎになられるなよ?

 

J:うっにゅ〜〜〜〜ん、ちめたいおびぃる、おいち―――!

  ほぉれ!婀陀那ちゃんも、もっとたぁ〜〜くさん、飲もうぢゃにゃいのっ!!

 

婀:は・・・・・はは・・・。

  (どちらかといえば・・・ここの氏神である、あなた様は、控え目にされてもらいたいのじゃがのぅ・・・)

 

 

お:(ち・・・) ふぅ・・・・。

(それにしても・・・余り雰囲気、出ないですわね。  確かに・・・確かに、皆でワイワイやってるのも、愉しいのですけれど・・・

  何か・・・こう・・・一つ、物足りないような・・・)

 

婀:おや?いかがされましたかな?姐上。 タメ息など吐かれて・・・

お:いえ・・・・なんでも、ありませんですよ・・・。(ち・・・)

 

 

〔何か・・・こう・・・瑣末なことが、気にかかりながらも、宴の方は、進んで行くのではありますが・・・・

数刻経った時、どうやら、遠くの方で、なにやら怒鳴りあう声が・・・・〕

 

 

酔:おぅおぅ、なにさらしてくれとんのじゃい!ワレぇ!!# ビールが、かかっとるやないけぇ!##(ひっ・・・)

酔:あぁ・・・こりゃ、ど〜〜――も、すいまぜんねぇ・・・(ひっ・・・) まあ、えぇじゃないっすか、お花見の席なんすから・・・・(ひっ・・・)

 

酔:あんじゃと?ごるぁ!?# ナメとんのんかい!ぉお゛?!#(ひっ・・・)

酔:まぁまぁ・・・そんなん青筋たてぃでも・・・(ひっ・・・)

 

酔:ぉお!やんのか!ごる゛ぁ!##(ひっ・・・)

酔:はは・・・・なんだと?このぉ・・・(ひっ・・・)

 

 

 

婀:(はぁ〜〜〜) どうやら・・・向こうの方で、喧嘩が始まったようですなぁ・・・

 

サ:おっ?!なに?? 喧嘩だとぉ?? (腕 捲くり)

臾:あぁ・・・ドン、酒入ると、喧嘩ッ早(ぱ)ょうなりおるから・・・・困ったもんでんなぁ・・・

 

 

J:ほぉ〜〜〜れ!いいぞ―――!やレ、ヤレぇ〜〜〜!!

婀:女禍さま・・・あんたが、煽ってどないするっちゅぅんでスかッ!#

 

 

乃:・・・・おはなみのせきで、けんかすることは、よくあることみぅ・・・・。(ぼそ)

コ:乃亜・・・・頼むから、それ、皆に聞こえないように言ってね・・・?

 

乃:・・・・みぅ・・・。

 

 

お:(はあぁ〜〜〜、なんとなくですけど・・・あのお二人が、人ゴミの中での、お花見、避けた理由が、今更ながらに、分かって来ましたわ・・・・)

  これでは、愉しむどころか・・・・わたくしは、じっくりと、桜の花が見たいだけですのに・・・・。

 

婀:姐上、いかがされたので? お顔が優れないようですが・・・まさか、お気分でも害されたか??

お:ああ、婀陀那ちゃん・・・・いえね?なんだか・・・ようやく、あのお二人が、こういう処を避けたがったのが、分かって来まして・・・。

 

婀:(ふぅむ・・・)確かに、そうですよなァ・・・花は花でも、喧嘩の華とは・・・

どうでしょう?ここは一つ、場所変えをいたしまして、別のところでする、というのは。

 

お:変える・・・? っ・・・て、どこへ??

婀:もう一つの、候補に挙がっておった、お稲荷様・・・ですよ。

 

 

〔花は花でも、喧嘩の華・・・とは、よくも申したもので、すっかりと、情緒というものを損なわれた、おひぃさん一行が向かった先が、

この土地での、もう一つの桜の名勝として名高い、最上稲荷権現の、 『薄墨桜』 なのですが・・・

ここでも、やはり・・・・と、いうか・・・・〕

 

 

J:あぁ・・・・ここでも、やっぱやってるじょ・・・喧嘩。

臾:まぁ―――ようも、また、飽きもせんと・・・

 

コ:あ゛う゛う゛う゛・・・・薄墨しゃん、せっかくキレーにお花つけてるのに・・・み゛ゅ゛ぅ゛ぅ゛・・・(うるうる・・・)

乃:・・・むっ!だれみぅ!おねぃちゃんなかすの!!・・・。

 

コ:あ゛・・・あ゛あ゛っ! 枝、折っちゃ、いけないんだみ゛ゅ゛〜〜〜!!(ぼろぼろ)

 

乃:(キュピ―――ン!☆) お姉様を・・・泣かせるヤツは、何人たりとも生かしてはおかん!! そこへなおれぇ!愚民共ぉ!!##

 

 

お:(ひぃえ?!)

臾:(の・・・乃亜はん??)

サ:(怒り爆発して、 お稲荷さんver かよ・・・)

J:(ありゃりゃ・・・乃亜、お姉さんが泣くと、簡単に沸点低くなるからなぁ・・・)

 

乃:神罰を喰らわしてやる!!

婀:これこれ・・・乃亜殿、そのような物騒なことを言わずに・・・

 

乃:し、しかし!婀陀那様!!

婀:これは、なんじゃろーかの―――?(ぴらぴら)

 

乃:(う゛・・・・ぐっ!!) 北村屋の・・・油揚げ・・・・

婀:今、気を鎮めてくれたなら、これぷらす、揚げたてを10枚ほど、用立ててやるのじゃがのう・・・

 

乃:じ・・・10枚??(し、しかも揚げたてを・・・??)

  (ぼふん―――☆) ・・・わ、わかりまちたみぅ・・・・。

 

 

お:(は・・・・・)

臾:(なんつ〜〜――か・・・はっやいなぁ、取引に応じるん・・・)

サ:(つ―――か、婀陀那のヤツ、あの子らのコントロールの仕方、手馴れて来てねえ?)

J:(・・・と、いうより、あの子達、あれ(北村屋の油揚げ)には、目がないもんねぇ〜)

 

 

〔そう―――そこでも、神宮と、かわりはない光景、花見での喧嘩が繰り広げられていたのです。

その光景に、今にも泣き出しそうなコみゅたんが!!その横では、プチ切れ状態の、乃亜たんが!!

 

しかも――――、一番やってはいけない行為・・・桜の枝を手折る・・・・に、ついに泣き出したコみゅたん、

そして、怒り爆発して、真の姿、稲荷権現の右将に変化してしまった乃亜たん、

(有無を言わさず、愚民共に対し、滅殺奥義『縛之道』を、行使しようとしたところが、またなんとも

 

これを見た、ギルドの連中、一旦コシが引けてしまうんですが・・・

そこはさすが、婀陀那さん、この二人の好物を引き合いに出し、調停を謀り、成功したようです。〕

 

 

婀:それより――――いかがいたしましょう、姐上・・・。

 

お:(はぁ・・・)わたくし達、折角この日を、愉しみにしてましたのに・・・こんなのでは、愉しむどころか・・・・

帰るとしましょうか、蜆亭へ・・・

 

婀:そう・・・・いたしまするか・・・。(ふぅ・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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