≪捌≫
瀬:どう?驚いた?阿恵華ちゃん。
お:あ・・・は、はい。 どうも、本日は、結構なものを・・・
瀬:あら、まだお礼を言うのには、早くてよ?
お:はい?それは・・・どういう事です??
ス:こちらも―――、おまっとさんでありやした・・・。
お:あっ、ステラさん・・・そのお料理は??
ス:へいっ! 桜鯛、またの名を『花見鯛』、その昆布締めで、山の息吹を、吹き込ませて頂やした・・・
どうか、心行くまで、ご賞味の程を・・・・
サ:はぁ―――っ・・・こりゃあまた・・・・
臾:ご大層なもんを・・・・
婀:(むむぅ・・・) 息を呑む・・・とは、この事じゃな・・・桜色の切り身に、包まれておる大葉の緑が、またなんとも絶妙な・・・・
コ:お山の息吹・・・って、なんだろみゅ?(クンクン・・・)
乃:・・・なんだろですみぅ・・・。(じぃ・・・)
さ く っ ・ ・ ・
J:あっ!こ・・・これ・・・って、 蕨(わらび)?!!
お:えっ?!あっ!!ほ、ホント・・・・鯛の風味に、昆布のコク・・・
それに、蕨の歯ざわりと、香りが・・・すごくマッチしてて・・・
瀬:フフ・・・どうやら、定刻までには、間に合ったようね・・・
ス:へへ・・・まあ、こちらも、何しろ急拵えで、7名分のを追加するのに、骨ぇ折れましたっすけどもねぇ。
そんなに喜んでもらえるたぁ、料理人冥利に尽きる・・・ってなもんですよ。
〔そしてここで、ステラの作っていたもののお披露目―――それは、なんとも華やかな、この花見に合わせて作ったようなもの・・・・
『桜鯛の昆布締め 蕨添え』
だったのです。(それを、計九名分)
そして―――ここでおひぃさんが・・・〕
お:(ふぅ・・・・そうでしたか・・・そうなのよね、今回もまた・・・)
ねぇ・・・ステラさん、お隣、よろし?
ス:へっ?? ま、まぁ・・・ええですけんど・・・。
お:では・・・よいしょっと・・・ふぅ・・・。(ぐいっ)
ス:いかが・・・でやんした?お味のほうは・・・。
お:おいしかったですわよ・・・文句の付けようのないくらいに。 あの・・・一つ聞いても?
ス:へぇ・・・。(ずず・・・)
お:・・・・あなた、どうして、この櫻の存在を? わたくしは、すっかりと忘れていましたのに・・・
ス:えっ?まあ・・・ここで働かしてもらってる身なんでねぇ、それとなぁ〜く、大女将に聞きだしたんすよ。
んで・・・ひぃちゃん、どして忘れてたりしたん?
お:わたくしは―――、幼い頃に、お父様と一度だけですけれど、ここに来た記憶があったんですの・・・ほんの、一度きりですけれどね。
その時でも、今と負けないくらいに咲き誇っていた、この櫻を見て、子供ながらに大はしゃぎしていた、憶えがございますわ・・・。
でも―――、でも・・・そんなこと、日々の喧噪で、忘れてしまっていたようですけれどね・・・。
全く・・・こんなの、笑い話にも、なりませんわよね・・・。(くいっ)
ス:・・・・・。
まあ―――、ええじゃないですか、これを機会に、思い出すことが出来て・・・・さ。
そんなにしょげてちゃ、折角いい華を付けてくれた、この櫻に、悪いでがんすよ・・・・。
お:はい・・・そうですわね。
〔どうも、いい―――とても良い、む〜でぃ〜な雰囲気・・・のようですが??〕
瀬:あぁんら――――、あの二人、中々にいい雰囲気のよぉねぇ〜〜。
ちょいとお邪魔蟲、してあげようかしらぁん?♡
婀:ああっ―――! せ、瀬戸様!余計な真似はせんでよろしいですから・・・
瀬:あぁら、ほんの冗談よ、ぢょ―――だん♡ 私が、そんな野暮ったいこと、するワケないでしょぉ〜〜ん?♡
婀:そ・・・そういいながら、右手に持っているものは、何でありますか・・・・(#)
J:あっ・・・・や、槍?
臾:ゅうて・・・・あれで、横槍のつもりやろか・・・。
サ:笑えねえ話だな・・・。
コ:ホントにあった、怖い話み゛ゅ゛〜〜〜・・・・。
婀:(ヤレヤレ・・・妾のづつうの種が・・・また一つ・・・) 気苦労がたへぬわひ・・・・。
瀬:にぃ――――っひっひ! あ゛――――面白。
乃:・・・・かんぜんな、ひきつぶしみぅ・・・・・。
――お後が、よろしいようで・・・――
―――了―――