<よん>
(そう、そこにいたのは、もはや齢5・6歳の少女達ではなく、恐らく・・・人間の年に換算して、18・9の娘の者が二人。
その者達・・・とは?
片方は、銀の毛に覆われた三つの尾を持ち、頭には薄水色の髪を頂き、その瞳には『瑠璃色』を宿している。
そして、もう片方は、金色の毛に覆われた二つの尾を持ち、頭には薄紫の髪を頂き、瞳には『紺碧色』を宿している。
と言った者達である。)
乃:見たわね、私達の正体。 この姿見られたからには、ここに居る者、皆、滅するまで。
J:う゛、うい゛いっ・・・! そ、それって、あたしも勘定のうちに入ってんすかぁ? そりゃないにゃりん。
(あの金毛乃方が『右将:乃亜』ね・・・)
コ:乃亜っ! いい加減に目をお覚ましなさいっ! 私の言う事が聞けないのっ!!?
J:あっ、あぁ・・・、ダメっすよぅ、相手そんなに刺激さしちゃ・・・。 なんまいだー、なんまいだー・・・
(そして、こちらの銀毛が『左将:コみゅ』ね・・・)
乃:目を・・・目を覚まして戴くのは、あなたの方です、ねえ様。 どうしてあなたが、彼奴等をかばい立てするのか・・・私には分かりません。
コ:乃亜ぁ・・・・。
乃:まぁいい。 どの道、次の一撃で、ここを灰燼と帰した後、あなたにはお帰り戴くまで・・・。(ス・・・)
『縛之道、其ノ十七・驚雷閃撃』
(はくのどう、そのじゅうとなな・きょうらいせんげき)
バチィッ!バチバチバチ・・・ッ!!
サ:ぅぐあぁっ!!(ドサッ)
シュ・・・ ・・・ジャキンッ!−☆
パリパリパリ・・・ッ・・・
(この雷の一撃が、婀陀那、おひぃさんの元に届く前に、床に突きたてられた剣一振り。 しかも、その剣、雷の効力をも吸収したようです。)
乃:お前、何者・・・。 今の今まで気配を断っていたようだが・・・。
ス:ふぅ〜う、ヤレヤレこわぃねぇ。 すっかり殺気立っちゃったりしてさ・・・。(チャキン・・・)(自分が投げた剣を拾い上げる)
お:(う・・・ぁ・・・、だ、誰・・・、わたくし達を、その身を挺してお守り下さったのは・・・。 背に・・・龍の・・・傷。 ガク)
(おひぃさん、このとき少しの間だけ気付くも、またすぐ気を失う)
乃:その気配の断ち方にしろ、いまの雷撃のかわし方にしろ、只者ではないな。 お前・・・誰なのだ?
ス:誰でもいいでねぇっすか・・・。 そこら辺に転がっている『路端の石』ッすよ。 『お稲荷の権現様』・・・・。
乃:(ムッ・・・) ぅんっ?! その手に持っている剣・・・緋刀『貮連』(ひとう・にれん)。 そうか、お前・・・あの男の世継ぎ。
ス:おやおや、この剣の銘を知ってるたぁねぇ・・・。 それに、 あの男 ・・・って誰のことさ。
乃:知れた事! 世間では“仏”と呼ばれながらも、その実は犬畜生にも劣るあの男・・・。 この地の最高実力者のことよ!!
ス:そうか・・かつてはあんなに華やいでいたお社が、ああも寂れたのは・・・・。
乃:そう、お前の父君、 杜下善三郎 がやった事!!
ス:だからといって、こんな仕打ちはないんじゃあないかな。 現に、柾木さんは、詣でたついでに掃き掃除までしているようだしね。 違うかい?
乃:だが・・・我が姉を、なんの断りもなしに、ここに連れて来た。 それはどう説明を?
ス:(ヤレヤレ) そりゃあれだろ? 今はそんな姿をしてるけど、そうなる前はこんなにちっちゃかったんだぜ?
それこそあのままにしておきなよ、野犬に噛まれてたかもしれないじゃん。
乃:だからといって・・・・さらう事はないはず。
ス:はぁ〜あ・・・(ヤレヤレ、こりゃ取り付く島もないじゃん)
乃:カンネン・・・・・しろ!!(カッ!!)
ぼうっ!!
J:そこまでです! 乃:な・・・なに??(シュウゥゥ・・・)
J:そこから先、手出しをするというなら・・・・いいでしょう、この私が相手をしてあげます。
乃:お前、何も・・・・・なに??! コ:うっ・・・ううぅぅぅ・・・(しくしく)
乃:な、なぜ・・・ねえ様がまた泪を・・・?
(そう、そこには・・・・Jokaの側には、ただ頭を垂れ、泪を流しているコみゅがいたのです)
J:分かりませんか、あなたにはこの子が泪を流している、その理由が。 乃:泪を流す・・・理由??
J:先程から言っているじゃない。 それはあなたの誤解だ・・・って。
乃:だが・・・、それは、彼等が自分を正当化する理由に過ぎない。 それに、人間達、最近 私達を粗雑に扱いすぎる。 これは、 天罰 です。
J:それだけ・・・、たったそれしきの理由で、ここまでにする理由なんてありはしない。
それに、今まで護ってきた者達を、そんなにたやすく見捨てる法がこの世にありますか?
乃:な、何を知った風な事を・・・! それに、“たったそれしき”とは心外な!!
で、では、逆にお尋ねするが、 人間様 のあなた様は、これをどのように処断されるおつもりか!?
J:・・・・、 人 ・・・ではありません。 乃:何?
J:人ではない、といったのです。 少なくとも今は。 私もあなた達と同じく、神を冠する者の一人です。
乃:で、では、同じく神を冠する者として、私達の無念は分かるはずです。 それに人間達の所業も・・・。
J:・・・・・。 言いたいことはそれだけですか、『右将:乃亜』 乃:ど・・・どうして、私の『真の名』を??
J:あなた・・先程、『これは天罰』といいましたが。 では、その天罰を行う者の正義はそこにはあるのですか。 乃:う・・・っ
J:よくお聞きなさい、乃亜。 神を名乗る者、 それ を軽々しく口に出してはいけません。 これは、私にも言えることですが・・・。
確かに、あなたの言い分も最も、しかし、ここにおるものに悪人はおらぬはず。
それでも、己の節度を曲げぬというのなら、仕方がありません。 私も強権を発動するまで・・・・。
(Jokaの目が妖しく輝いた刹那、そこにいた者達は目を疑う事となります。
普段はその絶え間ない笑顔の為、隠されていた彼女の知られざる一面が現れた瞬間です。)
乃:く・・・っ!(ビリビリ・・・) こっ、この神気・・・・も、もしやあなた様は・・・!!?
J:いかにも・・・。 “我に光の束縛を与え給わん”!
(すると、いずこからか、涌いて出てきた無数の光の粒子が、彼女の体に纏わり付き、その姿を一転させてしまったのです。
その着ている衣服は、古えの中国の皇帝が着ていたと言われる それ であり、頭には羽飾りの付いた冠を頂いている。
そう、それこそが彼女の、Jokaの本来あるべき姿、ありのままの姿だったのです。)
ス:神、女禍・・・。 女:さぁ、これで、どうします?
乃:は・・・・・はあぁぁ・・・。(ペタ) こっ、この神気に・・・そのお姿・・・ま、まごうことなき・・・
コ:この世の“二大頂神”のお一人・・・『女禍』様・・・。
女:(ほっ) どうやら、お分かり頂けたようですね。 これで、私もこのような姿をさらした甲斐があったというものです。
乃:も、申し訳ございません。 知らぬとは申せ、先程からの暴言の数々・・・。
女:もうよいのですよ。 それに、過ぎ去った事をとやかく言うつもりもありません。 全てはあなたの姉を想い慕う気持ちから来た事。
何を咎める事がありましょう。
乃:有難き事・・・。 コ:どうもご迷惑をおかけしました・・・。
女:よいのですよ。 それより、元のあの愛らしい姿にお戻りなさい、コみゅ、乃亜。
乃・コ:はいっ!
ぽ・ぽんっ!−☆
女:それでよしっ! これで万事解決だね。