第参講       もう一人の強者

 

<壱>

 

 

(度重なる、上位妖魔の襲来に、今ある戦力では不足気味・・・と、考えた シホ=マクドガル。

そして彼女が、考えに考えた挙句、とあるところに一本の電話を入れるようです。)

 

 

マ:・・・・・。(ピッピッピッ・・・ポッパッ・・・  プルルル・・・プルルル・・・・  ガチャ)

  ああ、すみません、9課特別捜査部の部長・・・につなげて欲しいのですが・・・申し訳ありません。(英)

 

 

  もしもし、私だ、おまえか? どうだ、そちらは、うまくやっているようだな。

  うん?いや・・・・何・・・・こちらに帰ってくる気はないか・・・と思ってな。

 

声:どうしたんだ、あんたらしくないな、やけに気弱な発言だが? まぁ、6年ぶりだから・・・帰ってやってもいいけど?

 

マ:いや・・・そうじゃあない、“一時的”・・・でなく“永久”に・・・だが、ダメか?

 

声:“永久”に? なんだ・・・そいつはまたえらく、手を焼いているようだな。

 

マ:あぁ・・・・そうなんだ・・・。 私が、また前線に出てもかまわんのだが、それでは若いもんの育成にはならんから・・・・なぁ。

 

声:『ブレイダー』がいるじゃあないか、そんなもん、あいつに任せておきゃあ。

 

マ:サヤか、いや・・・あいつには、昔の私の役を、やってもらわなければならんからな。

  そういう意味では、もっともっと、経験をつんでもらわねば・・・。

 

声:そうか・・・・わかった。

 それじゃあ、三日後に辞表を提出するから、多分・・・そうだな、そっちに行くのは一週間後になるだろう。

 じゃあな・・・・『セイバー』

 

マ:ありがとう・・・・恩に着るぞ、『スレイヤー』

 

 

(なんと・・・・今シホが電話をかけたところは、とあるところ(恐らく米)の市警の 第9課『殺人課』(ホミサイド) であり、

そこの中でも“特別捜査部”の部長・・・のようなのですが。

 

その両者の喋り方から察するに、旧知の仲・・・とも思えるのですが、互いを『セイバー』『スレイヤー』と呼び合う・・・ということは、

そう・・・この二人こそは、かつてはこの地にて、人外なる者達を狩っていた『狩り手』のメンバーであり、

サヤ達と同じ、『死天王』だというのです。

 

 

そして・・・・アレから一週間後・・・。

町は、ようやく秋の気配を落とし始め、木々には赤や、黄色のものが見え始めています。

 

そんな中、臾魅が、一軒の洋服店の前を通りかかります。)

 

 

臾:・・・・・おッ?!秋もんかいな。  はぁ〜〜ええもんでとるなぁ〜・・・。

  しっかし・・・今、うちの財布 火の車 やしなぁ・・・・あきらめるしか、ないんかなぁ・・・・。

 

 

(とはいいながらも、未練たらたらの臾魅。)

 

 

臾:ええなぁ・・・・でも、しゃあないよなぁ・・・・。           うんっ?!

 

 

(しかし、その時、偶然か否か、ショウ・ウインドウのガラスの映り込みに・・・・

頭には野球帽、

上着はMA−1を着用。

それの袖をヒジの辺りまでまくり、

下には、よく穿きこなされたLevisの501・・・

一見すると男性?・・・・のような人物。

が、どうやらこちらの様子を、窺(うかが)っているのが見えたのです・・・・。

 

しかし、その人物、不敵な笑みを残しながら、その場を去ったのです。

その態度に、妙な違和感を覚えた臾魅、尾行を開始する・・・のですが。)

 

 

臾:(なんやン・・・ケッタイなやっちゃなぁ。 まるで自分の表情、読み取られとうないみたいに、帽子を深こう被りくさりよってからに・・・)

 

 

(そして、どうやらその人物、臾魅の尾行に気付いたのか、急に歩くのを早めたのです・・・・)

 

 

臾:(あっ!気付かれたか?!  いや・・・あの角曲がったら袋小路や・・・そっちのほうが都合がええで。)

 

  ・・・・・。(ダッ!)   よっしゃ! あっ!おらへん・・・・んなアホな、うちが来る4・5秒の間に逃げられるはずが・・・・

 

(すると!その時・・・・背後(うしろ)から声が!!)

 

帽:まだまだ・・・・だな、嬢ちゃん。(ぽんッ!−☆)

臾:(ええっ?!)な、なんやて・・・・?

 

帽:じゃあね!

 

臾:あっ!こら!!またんかいや!!

 

 

(その者は・・・まるで臾魅を試したかのように・・・・彼女の肩を軽く叩き、その場を颯爽と去ったのです。

そして、その路地を出、前を通りかかったトラックの荷台に飛び乗り、そのまま逃走。

 

一方の臾魅は、そのトラックを追いかけ、角を曲がったところで、赤信号に捕まっているトラックを発見・・・・したのですが。)

 

 

臾:(はぁはぁ・・・)やっと・・・追いついたで・・・この・・・っ??えっ?!なんやて??

確かに、このトラックの荷台に、飛び乗ったはずやのに・・・

 

 

(そう・・・・そのトラックの荷台には、何も乗ってなかったのです。)

 

 

臾:えぇいっ!くそっ!! まんまとしてやられたわ!  ・・・・に、しても、一体どこぞの誰が・・・?

 

 

(見事に撒かれた(?)臾魅だった・・・のですが、その角のビルの屋上で、彼女を見下ろす視線が・・・・)

 

 

帽:ふぅん・・・・成る程、つまりアレが今、期待の成長株・・・だと、こういうことか。(ニヤ・・・)

 

 

 

(そして、こちらは、件の臾魅の事件のあった場所より、そう遠く離れていない交番・・・・)

 

 

ナ:ふっ・・・・わぁあ〜〜あ!  ああ〜退屈、お役所づとめがこんなにも退屈だった・・・なんてねぇ〜。

 

 

    ・・・んん?(なんだ・・・?あいつ・・・さっきからこっちをじろじろ見て。)

 

 

(そう、なんと、ここにもかの怪しき人物が・・・しかも、彼の者、ナオミを挑発するような行動を、とり続けたのです。)

 

 

ナ:・・・・。(んのヤロウ・・・完全にあたしをなめてやがるな?よし、そっちがそのつもりなら・・・)

  あっ、ちょっとあたし、警らに出てくるよ。

 

(と、そう言い残し交番を後にするナオミ。 そして、そのナオミを誘(いざな)うかのように、狭い路地に入るその者・・・・

 

そして・・・・・)

 

 

ナ:動くな・・・(カチッ!) お前・・・どういうつもりだ? この・・・あたしに、なんか用なのか・・・?

 

 

(この、自分を侮蔑したような態度をとった者に対し、容赦なく銃を向け、ハンマーを起こすナオミ・・・が、しかし・・・?)

 

 

帽:・・・・・。(ピク!)          ・・・・・・・・。(クル・・・)

シッ・・・           パアァ・・・                   ・・ン!−☆

 

(なんと、その者、振り向きザマに、ナオミが構えていた銃を叩き落としたのです!!)

 

 

ナ:うわッ!(・・・なっ??!しゅ・・・手刀?? そ、それも・・・恐ろしくしなやかな・・・) ・・・・っ??!

 

 

(帽子から・・・・覗いて見える、アイス・ブルーの瞳、そして・・・口元には不敵な笑み・・・・ それ に、思わず戦慄してしまうナオミ・・・・)

 

 

ナ:うぅっ・・・!!(ま、まず・・・いっ!!)

帽:・・・・・・フッ・・・・。

シュ・・・    パアァァ・・・・          ・・ン!−☆

 

(鞭のようにしなったその腕は、素早く、そして着実にナオミの後頭部にヒットする・・・)

 

 

ナ:う・・・(グラ・・・とさッ!)

 

(そして・・・崩れるように倒れるナオミ・・・)

 

 

帽:フンッ!バカが・・・  に、しても、ちゃんと手加減したのに・・・・あっけないもんだねぇ。

  さぁて、残るターゲットは後一人・・・・。(にやり)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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