第六講 欧州からの訪問者
<壱>
〔ここは、ギルドのある街にある港湾施設、その第五桟橋付近――――
その場所で、なにやら火花が激しく散っているようであります。
『火花が散る』というこの表現は、もしや“狩り手”の連中が、『仕手』をやっている最中なのか・・・とも、思えるのですが、
どうやら、その様相は異(こと)にしているようで・・・・
では、一体何者が、“火花を散らしている―――”のでありましょうか??
それは――――・・・
一匹の魔物と互角・・・・いや、それ以上に渡り合っている
少し大柄な女性
が、見受けられます。〕
魔:ぐ―――・・・・くっ・・・。(ふぅ・・・ふぅ・・・)
誰:・・・・・・。
魔:ふ――――・・・ふふふ・・・いや、参った―――― このオレ様の負けだ・・・
このまま、大人しくあっちに帰るから、赦してもらえねぇか・・・?
誰:・・・・・。(クル・・・)
ザ・・・・・
〔この者・・・・ さっ! と、踵(きびす)を返し、その場を立ち去ろうとしたのです・・・・・〕
が???
魔:(し!しめた!!) ふ・・・・物分りがいいじゃあねぇ・・・
ズ・・・ ドオッ!!
魔:かあっ?!! っ・・・・が!??
誰:ふん―――・・・私は、元々、お前達を信用しているわけではないからなぁ・・・。
それぇに・・・お前、今、私が 油断した! と、思ったのだろぉう? 私には・・・一番不釣合いなことだというのに・・・。
魔:ぅ・・・ぐ! ぢ、ぢぐぞぉおお〜〜〜!!!
誰:邪魔よ、退きなさぁい。
ズ バ
ドシュドシュドシュ―――・・・・ジャキンジャキンジャキン・・・
ズ・・・ ・・ドォオオン!
〔この魔物・・・・名を オルガ といい、レベル的にも、決して低くはなく『AA』だったのですが・・・・
その魔物さえも、まるで、赤子の手を捻るが如き―――・・・の、ように、始末してしまったこの女性。
しかも、その華奢な体には、明らかに不釣合いな、大鎌を振るっているようです。(一体何者???)〕
誰:・・・・・。
こんな、レベルの者相手に・・・・いつまで、手こずっているのでしょうか?あの人たちはァ・・・・。
まぁ、いい・・・そろそろ、予定時刻を過ぎる頃合ね、戻るとしよぉう・・・・。
〔この、ナゾの女性が去ってから暫らく経って、臾魅とナオミが、この現場に駆けつけたのですが・・・・
自分達が、ここにつくよりも早く、一件落着していることに気付くのです――――
が、それより何より、驚くべき真事実が、この現場に遺されていたのであります。〕
ナ:(カチッ――☆ すちゃ・・・)こっちの準備は、OK――― そっちはどうだ・・・
≪いつでも、ようおまっせ―――≫
ナ:よし――― では、これより、状況を開始する・・・
ダ―――・・・・ッ
ナ:な・・・なに??
臾:ぉおッしゃあ―――! カクゴしィやぁ―――!?
(って)あれ?? アミさんやないですか―――・・・どないなっとんのや?これ・・・・
ナ:(夥(おびただ)しい瘴気・・・・敵は、まだ近くにいる―――?)
ちょっと待て―――・・・・
ピピ・・・・
ウィィィイイイ・・・・
ナ:ふぅぅ〜〜〜・・・・んむ、あたしに搭載されてる、ノヴァ・ハーツの、どのセンサーにも引っかからないなんて・・・
臾:ん―――なら・・・・逃げられたんでっか?
ナ:・・・・いや、そいつはありえんな・・・臾魅、お前、ヤツのプロ・ファイルは―――?
臾:はぁ? オルガ―――の、でッしゃろ? 一応見ましたで。
レベルは“AA”、ただ・・・バカ力やさかいに、力技ばっかし―――って、元締めもゆぅてはったけど・・・
ペタ・・・・・
ぬ゜る゜っ
臾:ンん―――? なんやん・・・この、けったいな肌ざわ・・・・(ちら)
ぅ、うわっ?!!
ナ:ど、どうした!臾魅!!?
臾:こ・・・これ、血やあらへんかァ!!?
ナ:(なんだって―――・・・?) じゃあ、なにか?あたしらがここに来る前に・・・・誰かが・・・・
臾:始末したんでッか―――?
ナ:(ぅん?壁・・・?) おい、臾魅、そこからどけ。
臾:え? あ・・・・あぃ・・・。
ナ:『サーチ・ライト』
〔自分達が来たというのに、どこか、閑散としているその現場・・・まるで、肩透かしを喰らったかのようなカンジの、臾魅とナオミ・・・
そのことに、意気消沈してしまった臾魅は、思わず手を壁に付いたのですが・・・・
そこには、まづありえない手触り・・・ぬるっとした、まるで、何かペンキ塗り立て・・・のような・・・
そのことに違和感を覚えた臾魅が、自分の手を見返してみれば、そこには―――!!
ドス黒い、紅い液体
そう・・・それは、紛れもなく 血 だったのです。
そこでナオミが、目より出る、おびただしいまでの光量を発する『サーチ・ライト』で、壁を照らし出すと、そこには・・・・!!〕
臾:ぅ・・・うわっ!な、なんやん!これ!!
ナ:は・・・『逆十字』<ハング・ド・クロス>・・・・。
しかも・・・それを、血で??
臾:ッッ・・・・ちゅ〜〜〜ことはやなァ・・・これ、オルガのかいなぁ??
ナ:そう・・・考えるのが、筋――― ってな、ところだろうな・・・
(ピッ)あぁ、処理班か、至急、港湾施設の第五埠頭に人をよこしてくれ・・・終了した。(ピッ)