<参>
〔そして、その――― 翌日、
―――光苑寺にて―――
早朝から、団慶と婀陀那が、境内を掃き掃除しているようです。
すると、そこへ・・・・
歳の頃は、27・8
浅葱色の髪を、後ろで一つの大きな三ツ編みにし、
目には銀縁のメガネ、
瞳には、エメラルド・グリーンを宿した、
少し大柄(181cm)な女性
が、姿を見せたようです。〕
誰:あの・・・申し訳ありません・・・。{独}
婀:(ぅん?) いかがなされましたか、お嬢さん。{独}
誰:あ・・・・よかった、てっきりドイツ語通じないもの・・・と、{独}
あの、真に申し訳ありませんが、父の知り合いが、こちらに眠っている・・・と、聞きましたので・・・{独}
婀:(父の・・・友人??)
はて・・・ここには、妾達の家のお墓以外には、何も存ぜぬが・・・{独}
のう・・・団ぞ・・・いや、ご住職、ここに、妾達の家以外の、お墓がありましたかのう?
団:は?い・・・いや、そんなことは聞いとりませんがねぇ・・・。
婀:そうですよなぁ・・・・。
申し訳ないが・・・・お嬢さん? どなたかのお知り合いなので―――?{独}
誰:あ――― いえ、いいのです。{独}
父と、こちらに来た折には、よくお会いしてたものですから・・・{独}
どうも、お邪魔をいたしました。{独}(ペコリ)
婀:いえ―――― こちらこそ。{独}
――――・・・何者かのぅ、あの御仁・・・結局、自分を誰とも名乗らずに、去っていったが・・・・
団:あぁ〜〜〜あ、ビックリしやしたぜ・・・いきなり、ワシの知らん言葉で喋りだしますからのぅ・・・・二人とも。
婀:(ふふ―――・・・)いや、それは済まぬ事をいたしたな、団蔵殿。(チラ・・・)
ぉお―――! もうこんな時間ではないか、では、妾はこれにて・・・
団:いえいえ――― こちらこそ―――。
あぁ、そいから・・・公主さん、御前に逢われやしたら・・・ちったァこっちへ、掃きに来て下せぇ・・・・と、いうて下さらんかいのぅ。
婀:なんと・・・あの方、当分ここの掃き掃除を、サボっておったのですか?
今に、バチが当たらぬとよいのじゃがの・・・。(フフフ)
〔なんと―――!! いきなりそこで交わされた、見知らぬ美女と婀陀那の、ドイツ語での会話・・・
この光景を、ただ まぁるい目 をして、見ているしかない 光苑寺住職:団慶 が・・・
でも、この美女――― 何の目的があって、この寺院に―――?
それは、どうやら、この美女の知り合いが、この“光苑寺”に、眠っている――― と、いうのだそうですが・・・?
ここ、光苑寺には、杜下・森野・柾木以外のお墓はなく、その旨を伝える婀陀那が――――
――――と、婀陀那との会話もそこそこに、去っていくその美女―――・・・
そして、婀陀那が、自分のしている腕時計を見たときには、7時を少し回っていたのです。
こうして、境内の掃き掃除も半ばにし――― ギルドに出勤する婀陀那、すると――――?〕
婀:(カチャ―――)(ぅ・・・ん?鍵がかかっておらぬ・・・? まさか―――!物盗りか?!!)
――――・・・・。
〔そう――― 婀陀那が、入り口のドアに手をかけてみれば、すぐに開いてしまった・・・つまり、物盗りに入られた――――
そう思い、物音を立てずに入室してみれば・・・・なんと、そこには?!!〕
婀:(あ・・・・っ)な、何じゃ・・・驍様ではないですか・・・。(驚かせおる・・・・)
ス:あ、婀陀那ッち・・・・おはやぅ。(むにゅむにゅ゜゜゜)
婀:し―――しかし・・・日頃遅いあなた様が、こんな早くに――― とは、またどういった風の吹き回しで―――?
ス:ああ、いえね? 実はさ、今日ワシが一番苦手にしてるヤツがそっちに行った―――― って、悪友から連絡受けちゃってさ・・・
そいで、昨晩から、こっちにエスケープしてんのよ。
婀:(悪友―――)もしや・・・アィゼナッハ殿・・・・の?
ス:うん――― そだよ。
婀:(・・・・待てよ)よもや・・・・そのお方、女性では?
ス:ほへ?よく分かったね。
婀:――――で、もって・・・メガネをかけておって・・・髪が浅葱色で・・・後ろを三ツ編みにしておる?
ス:な――― 何で・・・婀陀那っちが、そいつの特徴知ってんの・・・
婀:(やはり・・・)し、しかし――― あなた様が毛嫌いするほど、悪そうには見えませなんだが・・・・。
ス:(既に、会ってきたな・・・)はぁぁ〜〜〜〜っ・・・ヤレヤレ、あいつ、人前で本性隠すの、上手いからなぁ〜〜〜・・・・。
婀:(ほ、本性―――??)な、なにかまづいことでも―――・・・・?
ス:ンま――― 実物見りゃあ分かるって事よ。
だったのなら―――― ここの場所、割れるのも時間の問題だろうかね・・・。
んじゃ――― ワシは、またどっかにトンずらこくから、あとヨロシクねぇ〜〜〜?
婀:あっ―――― 驍様、消える前に一つ―――
ス:え?ナニ―――?
婀:団蔵殿が、“たまには、境内掃きに来て下され―――”との事です。
で、ないと、バチが当たるやも知れませぬからな。
ス:へぃへぃ―――― 了解了解――――。
ほんじゃ、ひぃちゃんにも、ヨロシク言っといてね〜〜〜―――。
〔そう、そこには、このギルドの代表格(ホントよ^^;;)、ステラがいたのですが――――
こいつがここにいる経緯というのも、どうやら、『悪友』たる、リヒャルト=アィゼナッハ氏から、
“お前の、恋し焦がれているヤツが行くからヨロシクね〜〜”
と、いう連絡をもらい・・・・え?違うって??
――――あ、ホントだ・・・“苦手なのが行く―――”ってなってるわ・・・(小ネタを・・・・^^;;)
(でも、ヤツ本人の口から出てるのが、ホンマなんだろ〜に〜、とまあそういうことで・・・・)
すると、婀陀那が、思い当たる人物像を言ってみたら・・・・見事―――ビンゴ!!―――だったようでして・・・。
そのことに危機感を覚えたステラ、またどこかへ雲隠れするようですが・・・・
しかし・・・ステラ、アイゼンの娘(??)は、苦手なようでがすが・・・
その件(くだり)の娘も、見た目はどことなく、物腰おだやかで・・・・おっとりしてて・・・虫も殺せない・・・と、言った風な、
まるで良家のお嬢様・・・・つまりは、おひぃさんや婀陀那のような・・・を、思わせるのですが、
幼い頃から、交流のあった者にしてみれば、どことなぁく“苦手”にしてた意識というものは、否めないようでして・・・・
はてまた、どうなる事やら。
そのことを示唆する、この人の一言を―――――〕
婀:やれやれ――― あのお方にも、ほとほと困ったものよ・・・・。
存外、“バチ当たり”というのも、このことやもしれんのぅ・・・・。