<肆>

 

 

〔それは実に淡々としたやり取り・・・そこだけを見ていると、日常会話的なものだったのですが・・・

それでは、ちょっと――― どころか・・・・すごくまづいのです―――!!

 

なぜならば〕

 

 

バ:お―――おい!シホ! どうしてあいつを帰すんだよ!!

マ:何か――― 不都合でもあったのか? バーディー。

 

バ:お・・・おぃおぃ! あったか!? じゃあないだろう!

  あいつなんだよ!昼間話しておいた女・・・って!

 

臾:ほいでもなぁ〜・・・あんな見かけも嫋(たお)やかそうなお人、一人で大丈夫なんかいな?

 

マ:ふ―――・・・オオカミが、羊に喰われた話は、童話の中くらいにしてもらいたいものだな・・・。(ボソ)

 

サ:ぁあ?! なんか言ったか、今・・・。

 

 

マ:いや、何も・・・・それより、早速はじめるぞ。

 

バ:あ・・・・ああ。

  まぁ、お前達も既に耳にしたように、イゾルテのやつが最近復活したらしい・・・。

 

  それに伴い、潰しておいたはずの、拠点のほうも復活しつつあるようだ。

  これについて何か質問のある者は―――

 

サ:ランクAAAか・・・こいつは、随分と厄介なヤツが、出っ張ってきちまったもんだな。

臾:その前にやぁ・・・“拠点”って、どこのんでっか?

 

バ:“血”の・・・“逆さ十字”が、あった場所だ・・・。

 

ナ:すると・・・・港の第五桟橋の倉庫街?

 

マ:その通りだ。

  しかし、例のあの事件のお蔭で、鳴りを潜めていたようだが・・・・また、ここ二・三日で、活動が活発になってきたそうだ・・・。

 

サ:そうか―――・・・うかうかしてらんねぇな・・・。

 

バ:それは、相手もそう感じているはずだ。

  そこで―――! 勢いが強まらないうちに、叩く! ・・・・と、こういうわけだが・・・

 

  これに、異存のある者は―――?

 

サ:(ふ――・・・)愚問・・・・だぜ。

臾:やったるでぇ〜〜・・・。

ナ:アタシ達がやらなけりゃ・・・・か。

 

マ:皆、ないようだな・・・。

  よし――― では、これより状況の開始を、そして、速やかに彼の者達の運命に幕を・・・・それから、神のご加護のあらん事を―――!!

 

 

〔以上の、狩り手の元締めのシホの号令により、『拠点に於ける、敵の殲滅』という作戦に出撃(で)る狩り手の猛者たち。

 

―――と、その一方で・・・

教会より少し離れた地点で、自前のコンパクトを開け、何者かと会話をしている、ジィルガ女史の姿が見受けられるようです。〕

 

 

ジ:はい―――そうです、あの者達の調査の通り、イゾルテが復活・・・それに伴い拠点:ゾーンのほうも復活した模様でございます。

  それで―――・・・? この私めに、その拠点を潰せ・・・と? では、イゾルテのほうは―――・・・

 

  ふふ――― 一任させていただけるのです・・・・ね。

  ヤ・ポール(了解)・・・ふ――― 今宵は、愉しい宴になりそうね。(ニィ)

 

 

〔なんとも―――・・・この女史も、サヤたちと同じく 拠点 を目標としているようですが・・・・

どうも、この者の視野には、その拠点を“潰す”ことから、イゾルテの“抹殺”までおいていたことに、諸兄らは気付いたでありましょうか??

(ここで注意しておくべき事は、サヤたちは、『拠点に群がる敵の制圧』に重点を置いていたことであり、拠点そのものを“潰す”コトには重点を置いていないということ、

それと後、イゾルテに関しては、出くわしたときに、全員で対処するようになっている・・・・と、言うこと。)

 

――――と、するとなると、この女史、もしかして・・・・??

 

 

それはそうと―――・・・港の第五桟橋の倉庫街・・・・にて。〕

 

 

バ:フゥむ・・・やはり襲撃のあった穴は、完全に埋められたわけではなかったようだな。

  だが、それこそは、こちらの思う壺だ。

 

ナ:しかし―――・・・どうしてやつら、騒ぎのあった場所から、離れなかったんですかねぇ・・・・

臾:そ言えば、そうやんなぁ・・・

 

サ:ナァに、答えは簡単だ・・・ここは十二分に、魔素が濃いからなぁ。

 

臾:(は・はぁ〜〜ん・・・)そゆコトでッか・・・・おりゃ!『煉獄掌』!!

 

 

バ:(ほ・・・)使えるようになったじゃないか、臾魅のやつ。

サ:ま・・・最初の頃に比べると・・・な。

 

 

〔どうやら、狩り手の連中、仕手に移っているようです。

 

――――が、しかし、その最中に、こんな事が・・・・〕

 

 

ナ:(よし・・・このあたりは、大体制圧・・・・)

  ん―――・・・?あっ!あれは!!  バ、バーディーさん!大変ですッ! 至急こちらへ来て下さいっ―――!!

 

 

バ:なんだ、どうした、何かあったのか?!

ナ:あれを―――・・・

 

 

〔この付近一帯は、仕手の範囲に入るために、一般人が誤って入ってこられなくなるように、封鎖を施していたはずなのに・・・

どうやら、ナオミが、“あってはならない”人影を目認したようです。

 

しかも、その人影と言うのも・・・・・〕

 

 

バ:(うぅ・・・っ・・・・く!!)あなた・・・一体何をしにここへ―――・・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

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