第八講 魔女たる由縁
<壱>
〔欧州よりの、『狩り手』“特別派遣員”(・・・と、そう言ってしまえば聞こえはいいが、実は“内部監察官”)だったという・・・
ジィルガ=アィゼナッハ
普段の彼女(とは言っても、まだほんの一部)を知っているサヤ・臾魅にとっては、
その余りな冷淡な仕事振りに、肌に粟を覚えた事でしょう。
しかも、驚いたことには、彼女達が仕手から帰ってみると、なんと教会には、そのジィルガ女史がいたわけで―――・・・〕
サ:(この女・・・・)
ナ:(一体なにを考えて―――・・・)
臾:(なんや〜〜――っちゅうンねや!!)
バ:(成る程・・・これが、この女を『魔女』と言わしめたる由縁か・・・・)
ジ:あぁ〜〜ら、どうなさったのですゥ? 皆さん、怖い顔なさってェ・・・。
バ:いや・・・別に。
それより、お嬢さん、夜のお散歩は、いかがだったんです―――・・・・。
ジ:そうねェ〜〜―― 中々にスリリングに満ちて・・・・愉しくありましたよォ。
サ:よくもまぁ・・・ぬけぬけと・・・。
ジ:あら、何か言いましてェ?
サ:いや・・・・気のせいだよ。
マ:どうしたのかね、君達・・・用件があるのなら、はやく済ませてくれないか。
臾:いやぁ〜〜そうしたいんは、ヤマヤマなんやけどなぁ〜〜――・・・
ナ:いるだろ―――? ここに一人・・・部外者が・・・(チラ)
ジ:あらァ? 私の事ですゥ?? 私なら、別に構わなくてよォ。
バ:そういうわけにも行かないんだ・・・なぁ、お嬢さん。
〔明らかに、この女史を怪しい者と認めている狩り手の面々たち、でも・・・そんなこと、どこ吹く風か―――
次々と追及の手をかわしていくジィルガ・・・・。
でも―――突然!〕
ジ:プッ―――! ククク・・・・アハハハハ――――!!
お嬢さん―――? まだくちばしの黄色いひよっこ共に・・・“お嬢さん”・・・って呼ばれるなんて・・・アハハハハ――――!
サ:(こいつ―――! 開き直りやがったのか?!)
ジ:あぁ・・・可笑しい・・・。(ンククク・・・)
それより――― あなた達も、小芝居なんて止めたらどうなの、はっきり言えばいいでしょう、
『お前は“ウイッチ”なんだろ!!』
―――って。
ナ:(この・・・! 女・・・。)
臾:(うちらより役者が上やンっ―――!)
バ:く―――ッ・・・
ジ:(フ――・・・)そうよ・・・あの時紹介した通り、私は『狩り手』の“欧州本部”<極東地区特別派遣員>に任命された、
通称『ウイッチ』
よ・・・。
〔そう、突然に何かが憑いたかのように笑い出したジィルガ――― でもそれは想像に難くなく、
もはや自分の正体を知っているにもかかわらず、あくまで白を切りとおしている彼らの事が可笑しくてたまらない―――
と、言ったところの様子・・・。
でも―――シホは・・・〕
マ:それで――― いかがでしたかな? この者達の仕事振りは・・・。
サ:は―――はあぁ?? お・・・おい、ちょっと待て!
お前・・・こいつが何者か、知ってやがったのか??
マ:ん―――? いや?
ジ:あら・・・この人に関しては、私の正体を明かしたのは、今が初めてだけど?
バ:な―――なんだって?! それじゃあ―――
マ:ああ・・・この人が只者ではない事ぐらいは、一見して分かったよ。
それにしても、あなたでしたか―――・・・お忙しいところをわざわざ・・・・
ジ:いいえ――― 私も、野暮用でこちらに来たまでの事。
この件に関しては局長に、『お前・・・ついでだから行ってこい―――・・・』と、言われまして・・・。
マ:ヤツが―――・・・か、それで、元気にしているかね?
ジ:ええ――― アシュクロフトも元気にやっています。
ただ―――・・・
マ:うん?
ジ:ただ――― 全盛期ほどではありませんけれど・・・ね。
〔そう、シホは、一見しただけで、この女史が只者でない事は識別できた・・・
なぜならば、五感のうちの 視力 が最も弱いせいで、うわべだけで人を判断するよりも・・・
全身からにぢみ出ている 気 とかで判別していたからなのです。
そして―――〕
臾:なぁなぁ―――それにしても、誰やのん? 『アシュクロフト』ゆぅたり『局長』いうたり・・・。
ジ:(フ――・・・)アハトゥング。
サ:(ナニ??)
ナ:(また??)
バ:・・・。
ジ:“アシュクロフト”とは、『欧州本部』の『局長』であり・・・私の直接の『上司』でもあります。
マ:それに、ヤツに“ひと睨み”されたら、皆『石化』したように固まってしまう事から、通称『バジリスク』とも呼ばれているがね。
ジ:うふふ――― 局長が聞いたら、なんていうでしょうね―――・・・。
マ:ふっ―― 私が言っていた・・・なんて、呉々も言わんでくれよ。
ジ:それは分かっていますよ―――セイバー。
ところで・・・気になるあなた達の“評価”・・・知りたくない?
バ:まぁ――― 大体、言わなくても、分かってることだけどもな―――・・・
サ:あぁ・・・・。
ナ:えっ―――? ・・・て、いうことは・・・。
臾:案外よかったりしてぇ?
〔どうやら、シホのほうでも“欧州”の事は詳しいようで、二・三回顧録もあったようですが、
彼女が内部の監察官だという事は・・・・気になってくるのは、その査定の評価なのです。
しかも――― どうやら臾魅・ナオミは、淡い期待もしていたようですが―――・・・
では、その気になる評価のほうは―――〕