≪陸;素浪人≫
し:(はぁ〜っ・・・次までに考えとかなくっちゃ―――)
ただいま――――・・・・って、まァだあの“ただ飯喰らい”は起きていないんですかっ―――!!#
〔さて・・・それはさておいて、どうやらしのさん、自分が住んでいる長屋に帰ってきたようですが―――・・・
今の口ぶりからすると、“同居人”・・・しかも、余り素行のよろしくないのを抱えているようですねぇ??〕
し:(む゛〜っ!!)ちょ〜〜―――いとっ!! あ〜た、いつまで寝てんですかッ!!
もう辰の刻過ぎてるんですよっ?!!
素:(素浪人;どういう経緯(いきさつ)からか、このしのさんの住まいに転がり込んできている浪人風情)
う・・・うぅ〜ン・・・まァだあと少し―――(むにゃむにゃ゜゜゜)あと、もう半こ・・・く――――
―――ぐぉおお〜っzzz―――
し:(こぉんのぉ〜〜っ・・・・)(ぷるぷる)
朝方になって、酔っ払って帰ってきたかと思えば―――
早く起きなさいったら!! 番所に突き出しますよっ?!!
素:(んご―――・・・)へっ?!!
あっ―――いや、はい、はい、起きます起きます、今すぐ起きますよ――――・・・・?!!
(・・・って)ありゃ、こりゃ旦那―――いぃ〜いお天気でござんすねぇ〜?
ほれ―――お天道様もあんなに高く、昇っちめぇやがって―――・・・(テヘヘへ)
し:(――――ったく・・・)誰ぁ〜れが旦那よ、誰が!!
全く―――あんたみたいな素浪人を、あたしの伯父が“身寄りがないから〜”ってことで、仕方なくここにおいといてやれば―――・・・
素:ぐをぉおおお〜〜―――zzz
し:(くぉんのぉぉ〜〜##)
〔おやおや―――なんだか早速、しのさんをピリピリさせているようですが・・・
それも無理らしからぬところのようで、兎に角もしのさんの住まいに居ついちゃっているというこの男、
手に何も職を持ち合わせていない、いわば『素浪人』なのであります。
しかも―――どうやら、よろしく“朝帰り”のようで、大家であるしのさんを、やきもきさせていたようであります。
―――と、まあ・・・ここまで見てみれば、住まいの一部を間借りしている者と、させている者・・・
と、言う関係が見えてくるようなのですが―――・・・?
それはそうと―――しのさんも、自分のお仕事(寺子屋の先生)があるので、
早いトコ、邪魔者であるこの素浪人をたたき起こして、どかせない限りはどうにもならない―――と、言ったところのようです。
(実は・・・自分の住まいで、子供たちを教えてんの)
そして、これはしのさんちの――朝餉――の光景・・・〕
素:あ゛〜〜―――・・・あのぅ〜〜・・・・
し:――――ナニよ(んぐんぐ)
素:“めざし”―――ですよねえ?これ・・・
し:・・・悪かったわねっ。
あたし一人だけならまだしも、ここには穀潰しがいるんだから―――しょうがないじゃないのよ・・・。
素:ええっ―――いやあ・・・おいらはね?何も、おかずに問題ありき―――っていってるんじゃなくてさぁ・・・
し:だから、なんなのよっ―――!!
素:(こっわいなぁ〜〜・・・)
この――――・・・ね?“炭”のように黒焦げになったの・・・・って、“めざし”ですよねぇ〜?
って、いってるの。
し:(うぐ・・・っ)(ぐさぁ〜り)
う・・・うるっさいわねぇっ!!し、仕方がないでしょっ!あ〜たが起きるのが遅いんですから・・・
素:ええっ??お・・・おいらの所為??
――――って、そりゃあ〜ないんぢゃないの?? 第一、これも“火加減”さえ気をつけてさえいれば―――
し:つべこべ言うんだったら、食べなきゃいいでしょっ―――!!#
素:は・・・はぁ〜い・・・分かりました・・・・。(トホホ)
〔なんとも―――・・・どうやら、何一つまともな事はしないくせに、朝餉のおかずの事を意見してしまったお蔭で、
逆に、とばっちりを受けてしまうこの素浪人・・・
何事にも、“平生が往生”といった事のようでございます。〕