≪弐;お見舞い≫
〔さても―――そうは云いましても、負傷した左近、次の一日は、治療に専念いたしますようで、
鷹山の本家=本邸=にて、ゆっくりと養生しておるようでございます。
――――と、そんなところへ・・・〕
侍:若―――お客人にございます。
左:・・・ナニ?
(ふぅむ・・・)今日は一日安静だから―――と、いうておいてくれ。
侍:かしこまりました―――
侍:若・・・そのお客人、どうしても今、会いたいと―――
左:なんじゃと―――??
(うぅ〜ん・・・)――――して、そのお客人とは何者なのじゃ。
侍:はあ―――それが・・・
町娘のようなのですが、若が手傷を負ったのを、何処より訊きましたのやら・・・
それで、その待ち娘の云うには―――
『以前お世話になりましたので、お見舞いにあがりました』
と―――・・・
左:ほう―――
(・・・ワシが負傷して療養中なのを知っておるのは、“北町”と“妖シ改メ方”の連中しかおらぬはずなのじゃが―――)
――――あ、いや・・・判った。
それほどまでに、と、申しておるのならば、あがってもらってくれ。
侍:かしこまりました―――
〔療養中の左近の下へ、お客人が訪れた様子―――・・・
とはいいましても、左近が自邸にて一日安静しているというのは、極、限られた存在にしか知らされていない・・・
はずなのではございますが―――??
今回、鷹山本家に訪れた 客人(まれびと) は、このこと―――左近が捕り物にて負傷した事を、宜しく知りえていたようでございまして、
なれば―――と、思っていた左近、事情を知っている者を追い返すわけにもいくまいとし、
その 町娘 を自邸に上げたようでございます。
したらば・・・その件の 町娘 こそ―――〕
し:左近様―――お加減はいかがですか?
左:し・・・しの!! な―――なぜにそなたが・・・
(はっ!!)もしや――― お客人 と、いうのも・・・
し:はいっ――― あたしの事ですよ。(ニコ)
〔負傷をした左近を見舞いに来た者こそ、下町長屋の住人である、しのだったのでございます。〕