≪艶乃一;疼く下半身≫
ぺちょり――― ぺちょ―――・・・
じゅうるるる〜〜―――
し:うっ――― うぅ〜〜―――ん・・・
くちゅ――― くち・・・ にちゅにちゅ―――・・・
にちり〜 にちり〜 にちにち・・・・・
し:あはぁっ―――う・・・うぅ・・・(びくっ!)
〔それは―――その日の晩のこと・・・なにか―――こう―――液体を舐め、または啜り上げるような物音―――・・・と、
練り物を練り上げるかのような、それでいてねちっこさのあるモノを弄(まさぐ)らんとしている物音―――
またそれと共に、己れの下腹部が、どうにも疼いてくるような不思議な感覚に、
思はずもしのは目を覚まし―――そこで見ましたるものとは!!?〕
し:(はっ――!)な・・・なに??! なにをしているの?あなた―――!!
ぺろり〜〜―――
謎:<ほほ・・・目覚めおったか―――だが・・・時すでに遅し・・・じゃ。>
し:え・・・? ナニ―――なんの事を云っているの??!
謎:<ふふふ・・・それにしても、実によい味を醸し出しておるぞよ―――
特に・・・そちのほとより溢れ出ておる蜜―――>
ちゅぶりっ〜〜―――
し:んあはぁっ―――!(な・・・ナニ? あ、あたし・・・ナニをされているというの??)
〔なんとも―――妙なる刺激に目を覚ましたるれば、自分の躰にのしかかるようにしている一つの影―――・・・
それが、またなんとも執拗にも、しのの下腹部を弄(まさぐ)っていたというのであります。
しかも―――男女の睦み事よろしく、上体の方は勢いよく肌蹴(はだけ)させられており、
そこにもさんざんに嬲りおおせた痕が・・・
―――と、いうことは、その“影”はいよいよ持っての本懐という事で、しのにのしかかっていたとも取れなくはないのでは御座いまするが・・・〕
謎:<くっくっくっ―――なるほど・・・そちは未だ男というものを知らぬ生娘のようじゃのぅ・・・
なんとも芳しい匂いのすることよ、これでいよいよ 妾 の―――>
し:(わ・・・妾?? ど―――どこかで聞いたことのあるような言い回しだけど・・・
あ゛―――あ゛あ゛あ゛っ・・・思い出すことに集中が出来ない・・・っ!!)
あ―――・・・あぁ〜〜―――っ!だめ・・・そこぉ〜〜―――!!
謎:<ほぉぉ〜〜―――よい反応ぞよ。
そのような初心(うぶ)なものを見せらるると、妾の芯も疼いてこようというモノ―――
ゆっくり・・・ねっちりと、そちを弄(もてあそ)んでくれようぞ。>
し:(うぅっ―――くうっ!)と―――秋・・・
謎:<おや?よいのかえ―――?
このようなあられもない姿を、殿方に晒す事が出来るというのかえ。>
し:(・・・えっ?!!)―――う・・・うぅ〜っ・・・ひ、卑怯なっ! や、やあぁ〜ん!!
謎:<くふふ・・・さあぁ〜〜観念しとおせ―――
そちの羞恥なぞ、この妾がうでた玉子の殻を向くように・・・ゆっくり―――じっくり―――剥いでみしょう・・・>
し:(い・・・いやぁぁ〜〜――だ、だめぇ〜〜、そんな・・・そんないろんなとこ觸られちゃ、お、おかしく―――・・・
そ、それに―――秋定様にこんな恥ずかしい姿・・・見られたく―――ない・・・)
〔なんとも―――手慣れたる手つきで、次々としのを翻弄していく其の怪しき影・・・
てっきり夜這い男のする業か―――と、思いきや、図らずも口にしていた“妾”なる言葉に、
実はその“影”が、 女形 であったことは知れたようなので御座います。
いや―――しかし?
女が同じく女を弄(もてあそ)ぶ・・・と、いいますのは、当世の尋常(よのつね)では考えられない事―――
だったれば、今のこの仕様に関しては何事ぞ・・・とも、取れなくはないのでは御座いまするが・・・・
―――ところが・・・あったんで御座いますよ、それもまた随分と昔に、そういった事例が・・・たった一件だけ―――
それはそうと、こちらの方も佳境に入りましたようで―――・・・〕
謎:<ふふ―――ふふふ・・・それ―――そぉ〜〜れぇ――――!>
・・・こっこ―――>
謎:<む・・・ん―――?>
こけこっこ――――>
謎:<ふふん――― 一番鳥・・・早その刻限か。
あんじょう弄(もてあそ)びたかったのじゃが―――この形態ではここまでが限度のようじゃしな・・・>
し:はぁ〜〜―――・・・はぁ〜〜―――・・・(くてぇ)
謎:<くっくっくっ―――また・・・今宵も游びにくるでな・・・。
それまでに、ゆっくりと身体を休みとおせ―――>
〔さんざ―――しのを弄びましたる、その怪しき女形の影は、お約束通りに『一番鳥』が鳴きましたるのを機に、
須らく仕手の方を止め、いづくにより去りていかんとする―――と、いうのでは御座いますが、
さてもその去り際には、『また今宵も―――・・・』と、いう不気味な宣下を遺していったようなので御座いまする。
さりとて―――昨晩はあんなことがありましたとはいいましても、日々の習性とは哀しきものにて御座いまして、
辻に集まりたる雀の鳴き声に目が醒めましたるしの。
ですが―――なんとも如何ともしがたいことに・・・〕
し:(呆゜〜)
あ゛〜〜―――・・・なんだったんだろう・・・昨晩の・・・
もしかして、夢―――?? だったらいいんだけど〜〜――――
〜じゅく〜
―――あら!やだ・・・アタシったら・・・濡れてる??!
〔あの晩の―――なんとも不可解なる“女形の影”との『秘め事』に、
その端々は途切れ途切れとなってはおりますものの、しのの未だ冴えぬ頭の中には、
『秘め事』があったといいますのは、忘れたくとも忘れられない事実―――だったようで御座いまする。
それに加え―――そのまた次に気付きましたるのは、まさにその『秘め事』があってからの・・・
しとどに濡れそぼっている己れの舩淦(ふなあか)―――・・・
不意になされた行為とはいえ、なんともふしだらなことよ―――と、思いながらも、
自分の間借りに居候をしている者に、このことが知れたるとなんと言われるか判りませんので、
即刻、証拠隠滅に取り掛かったようにて御座います。〕