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(そう、そこにいた者たちが一様にして目にした光景は、次々と体を再構築、『再生』していくアルディナの姿があった・・・

そして、彼女が起き上がったとき、(めく)れ上がったフードから(のぞ)いた顔には・・・・)

村人1:はああぁっ!!み、見ろ!!し・・・『シンメトリー』だ!!

村人3:ひ・・・・、あ、あれは・・・、()まわしき『魔女』の血を引く者の眼!!!

 

(そう、そこには、左の目には、何者も癒されるような『エメラルド・グリーン』の瞳・・・、

しかし、もう片方の目には、見た者には“死”さえ訪れさせるような『ピジョン・ブラッド』の瞳、が、そこにはあったのである。)

少女:え・・・、私が見たときとは・・・違う??(いえ・・・、確かあの時は、右の方は、前髪ではっきりとは・・・)

ブ:な・・・なんだと!?も・・・もう一度、言ってみろ!!ワシは、ブサイクじゃねぇ!ブエル様だ!!

ア:済まんが・・・、お前と、じゃれてやれる時間も限られているんでな・・・、大人しく消えてもらうぞ・・・・。

  それと、死ぬ前に一度教えておいてやろう・・・・。

  今は、こんな姿をしているが、・・・・・、このワシの正体は・・・・・

  ソロンだ・・・・。

ブ:な・・・なに?!かつて“魔界”で、『魔皇』<マオウ>と、云われたヤツが・・・、どうして・・・・

ソ:ふふ・・・、ワシの悪い癖だ・・・、また要らぬムダ口を叩いてしまったよ・・・、アルディナ・・・・

  出でよ!我が剣覇蝕(はしょく)の剣』よ!!そして、紅蓮の炎に包まれるがよいわ!!

  インサニティ・カプリチオ!!

ブ:グギヤァァァァ・・・・・・

少女:す・・・凄い・・・・さすがハンターさ・・・・う゛っ!!(お・・・お母さん・・・?)

 

(一瞬にして、ブエルを葬り去ったソロン、だが、しかし、事態は予測も付かない方向に向かいつつあった・・・、

なんと、アルディナを救ってくれた少女の母親が、少女の首に手をかけているのである・・・・。)

ソ:どうした・・・、女よ・・・、その娘をどうするつもりなのだ?お前の実の娘じゃあないのかね?

母親:ふふ、違うね、このガキの母親なら、四・五日前に、このオレが喰っちまったよ。

ソ:それで、邪魔者がいなくなったんで、キサマもずらかるハラか・・・・。

グ:あぁ〜、そうさ、それに今が潮時みたいなんでなぁ〜、おっと、動くなよ・・・・、こんな小娘の細首、へし折るなんざ、わけはねぇ・・・・。

ソ:ふ・・・、相も変わらず、いけ好かんヤツらだ・・・。

もし、ワシがキサマなら、まず最初にこのワシを倒し、その後で、今ここに居るヤツらを皆殺しにするものなのだがね・・・・。

お前はどう思う・・・、アダナよ・・・。

ア:私も同感だね・・・、いちいち人質とらなきゃならないってところが気にくわない・・・、まっ、こいつも狩るしかないね・・・・。

グ:(な・・・、オレの背後から声?)あ゛・・・・っ!えっ?!お・・・同じ顔??

村人1:ホ・・・ホントだ・・・、ど、どうなってんだ?!こいつは・・・・。

村人3:お、おィ・・・見ろよ・・・あっちも『シンメトリー』・・・・。

ア:何を、ハトマメな顔をしてんだい?最初に『ブエル』にやられたとき、真っ二つになっただろう?

あの時、ヤツのところに跳んだ上半身には、『ソロン』が宿り、

残りの半身にはこの私が、体を“再構築”させて、機会をうかがわせてもらったのさ。

影で、こそこそと、この村の家畜共を食べてたあんたが、のこのこと顔を出す瞬間をね!!

グ:へ・・・っ、だが、切り札なら、まだオレの手の中にあるぜ・・・・?

ソ:その切り札とやらは、この娘の事かね・・・・?

グ:あ・・・・あれ?い・・・いつの間に・・・・

ア:観念しな・・・この下衆ヤロウが・・・・

  出でよ!我が大剣『グラム』よ!!そして、その身に受けよ!

  ハリケーン・スクライド!!

グ:ギ・・・・・・・・・・

 

(“黒き疾風(かぜ)” と、共に掻き消えるグール、そして、後に残ったのは、数人の村人と、少女、

そして・・・・、同じ顔を持った“魔女”の後継者であった・・・。)

ソ:とりあえず、片付いたな・・・。

ア:あぁ・・・、また、あんたの力を借りる事になるとは・・・・。

ソ:ま、こちらも体を借りている身なのでね、せめてもの家賃代わりといったところさ・・・、さて・・・。

ア:うむ・・・・。

 

(ここで両者向かい合い、互いに両手をかざす・・・・すると・・・・?)

少女:ああぁぁ・・・、ふ・二人が一人になっていく・・・・。

村人3:ど・・・どうしてそんな事が・・・?

ア:当然といえば当然、元々は、この私の体なのだからな・・・、一つに戻らないと、後々不都合な事があるだろう?(ニッ・・・)

村人1:(や・・・やはり、この女・・・・)

 

(そして、ここで、残りの村人全員が身構える・・・・)

ア:(もう・・・ここには、いられないな・・・・。)



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