第七話 凄 惨
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“不死者”という者の存在がある。
それは、古えより忌み嫌われた存在・・・。
一度、魂が 肉体 という器を離れ、
然る後、 命 をもたない存在になるという・・・。
その身を砕き、引き裂こうとも、 人 ならぬ力で復活してしまうという・・・。
いわゆる、ゾンビーやスケルトンの類は、これの最も低級な存在だろう・・・。
だ が
ここに、その不死の 究極 の形があるとすれば・・・
『死せる賢者』 と言われた リッチー と・・・
『吸血鬼』 と呼ばれる ヴァンパイア であろう・・・。
そして・・・今、この不死として頂点を極めた者同士の、死闘が始まらんとしていた・・・・
(フレンス・ブルグより北東の方角、通称『ペトロ・グラード』と呼ばれる地方の古城にて・・・
よく見れば、一人の少女が、使いのコウモリより受け取った思念波にて、自分が放ったコウモリ憑きを討ち平らげられる様を見ているようである)
少:ふん・・・・気に入らぬ。 結局私のコウモリ憑きは、ジョカリーヌのヤツが倒してしまっているではないか・・・。
それに・・・・この女も!! (ちっ! 忌々しい!!)・・・・・うん? あの 鞭使いの女 ・・・。
ふふ、そうか・・・この女、あの 大剣使いの女 の“友”か。 フッ、フフフ・・・いい事を思いついた・・・。
この女を使って、ジョカリーヌめに苦渋を味あわせてやる。 見ているがいい・・・、かつてお前が味あわせてくれたこの苦しみ!!
互いに信じあっていた者同士が、傷つけあう瞬間を目の当たりにして思い出させてくれん!!!
ヴェルガー!!
キィキィ・・・・・(パタパタ)
ポムン!
ヴ:お呼びでございますか、我が主上・・・。
少:お前は、早急に“協会”に赴き、北のはずれの寒村に これ を届けるよう依頼してくるがいい。
そしてそれを・・・・この女に届けさせるよう仕向けるのだ。 よいな?
ヴ:この女・・・? あぁ、鞭を振るっている・・・この女の事ですな。 かしこまりました。
それで・・・・この女、一人・・・・に、ですか?
少:あぁ、そうだ・・・(ニヤ)
ヴ:委細承知仕りました、それでは行って参ります・・・・・・カミイラ様・・・・。
ところ変わって、フレンス・ブルグ。
ここでは、早“冬将軍”が到来しているようです。
木々はその葉を落とし、外に出歩いている者達も、どことなく寒そうにしています。
と、そんなところへ、エリアを連れ添ったアダナが、最寄のショップへなにやら買い物に来たようです。
(そのショップにて・・・)
エ:あの・・・どうされたんですか? アダナ様。 滅多とお買い物をなされないのに、今日に限ってだなんて・・・。
ア:うん? そうかい? いや・・・実はな? 明日、私の一番の友人の誕生日なんだ。
エ:えっ!? あぁ、ヱルムさんのですね? へぇ〜、そうなんだ・・・ヱルムさん明日が・・・・。
ア:まっ、本人にしてみりゃ『また一つ年取った』って嘆いてっけど・・・、これもまたお祝いの一つだからな?
エ:アダナ様って本当にお優しいんですね。 ア:顔に似合わず・・・かい?
エ:うふふ、そうですね。 ・・・って、ああっ! 違いますよぅ! ア:あっはは、言ったなぁ? こいつぅ!
(そして、アダナ1時間30分かけて品定めをし、ようやく決まったようです。)
ア:よぅし! これに決めた! どうだい?! エリア、このペンダント。
エ:わぁ・・・すごくキレイ・・・。 あのヱルムさんの瞳と同じ“クリムゾン・レッド”をしていますね。
ア:へっへー、そうだろ? おーい、オバちゃ―ん、これおくれ? ありがとー!
ガラン ガラン・・・・
(『ギルド』のミッションを受ける階にて・・・。 よく見ると、職員の一人に呼び出されたヱルムが見てとれます)
ヱ:はぁ・・・・この私に、今日だけ単独行動をとるように・・・・と?
職:えぇ、そうです。 ここより北のはずれの村に・・・・(ごそごそ) これ を届けるだけでいいそうです。
ヱ:(ふぅ〜〜ン・・・) 分かりました。 地図を見る限りでは、そう遠くないようですし・・・・。
お引き受けします。
職:では・・・頼みましたよ?(ニヤ) (ここでその職員立ち去っていく)
ヱ:どうも〜〜。 はぁ・・・、それにしても何の箱かしら? これ・・・。
まっ、いいっか! 北のはずれのこの村なら、たいした障害もなさそうだし。 今すぐにでも発ちましょう。(カリカリカリ・・・)
――エルミナール、ミッション中――
ストン・・・!
(フレンス・ブルグより北のはずれの寒村にて・・・)
ヒュ・・・・・ ・・・ウ・・・・ ・・ ・・・ルルル・・・・・
ヱ:うぅっ! サブぅっ!! このローブの上からでも身を切るような寒さね・・・・(ガチガチ)
え〜〜〜っと・・・(キョロキョロ) あら? あの子・・・どうしたのかしら・・・。
(すると、そこには道端でうずくまっている一人の 少女 がいたのでした・・・。)
ヱ:(背格好は・・・・エリアちゃんと同じくらいね・・・) ねぇ、どうしたの? お腹の具合でも悪いの?
少:・・・・・・・・。(フルフル)
ヱ:そう・・・それじゃあ、膝でも擦りむいたの?
少:・・・・・・・・。(フルフル)
ヱ:違うの? じゃあ・・・・どうしたの?
カ:(ンフフフ・・・)クククク・・・・。 私はね・・・お前が来るのを待っていたのさ・・・。
偽の依頼を信じきって、一人でここに来るお前をね!!
ヱ:ええっ?! お、お前は一体・・・・何者!!?
カ:そんな事はどうでもいい事さ・・・。 さぁ、ようく私の瞳を見てご覧・・・。
ヱ:はっ!! (うっ・・・く・・・し、しまった!!)
こっ・・・この術・・・ま・・・さ・・・・か・・・・・ヴ・・・・ヴァン・・・・パ・・・・イア・・・・・。(くっ!)
カ:ふふ、ムリは体によくない。 さぁ、 意識 も 体 も、私に委ねて・・・・堕ちなさい。
かつてこの術をかけられ、逃れた者など、おりはしないのだから・・・。
ヱ:(く・・・・くっ!!) わ、我が封鞭よ・・・て、敵を・・・討て!!
ヒュ・・・・・・ピシィ
(なんとヱルム、この少女(実はカミイラ)の『魅了』(チャーム)の術に陥る前に、何とか抵抗しようと試みるものの
いかんせん体が既に言うことを聞かず、鞭は明後日の方向を打つばかりである・・・)
カ:ほほぅ・・・。 まだそんなことをする力が・・・。 益々気に入った、我が僕と成り果てるがいい・・・。
カアアァァァ・・・・・ ・・パキキ・・・
(なんと言うことでしょう・・・、その少女の口からは、紛れもなく 吸血鬼 の それ が!! そしてその牙の標的は、ただの一つなのです!!)
ヱ:う・・・あぁ・・・。
(た、助けて・・・! ジョカリーヌ様・・・タルタロス様・・・エリアちゃん・・・ソロン様・・・ア、アダナさんっ!!)
い・・・いやぁぁぁぁ・・・・!!
(その日、一人のハンターの叫び声がコダマしたといいます・・・)