<U>

 

 

―― その翌日 ――

 

(今日はヱルムの誕生日という事もあってか、早くからギルドにくるアダナ。  そこにはもちろん、タルタロスやエリアも見えるようです。)

 

ア:ありゃ? ヱルムのやつミッションで出てんのかよ。 水臭いねぇ〜〜、私に一声かけてくれりゃ・・・。

タ:ふぅむ・・・でもこれ昨日書いたもの のようだぜ?

ア:はぁ? なんだって? そいつはおかしいじゃないか。 あいつ、今日が自分の誕生日だって事、忘れてんのかなぁ・・・。

 

ソ:『気に入らんな・・・』

ア:あぁ? どしたんだ? ソロン・・・。

ソ:『いや、何・・・・どうも気に食わんだけだ。 らしくないようだが・・・どうも胸が騒いでな・・・・。』

 

ア:いや・・・でもさぁ、一応ミッションで出てんだし・・・。                     エ:あの・・・アダナ様?

ア:うん? どうしたんだい、エリア。

 

エ:あの・・・ヱルムさんにミッション依頼した人・・・って誰なのでしょうか?

ア:(ふぅむ・・・) いわれてみりゃ、そうだよな。  よし、ここは一つヱルムに依頼してきたヤツ探してみっか?

タ:そうだな・・・・。                                                         エ:はい! 賛成ですっ!

 

 

 

 

(その一方、ギルドの長老室にて・・・。 長老が深刻そうな顔をして、ジョカリーヌに相談を持ちかけたようです。)

 

長:あの、先生・・・・少々お耳に入れたき事が・・・・。

ジ:なんじゃ・・・坊主。               うん? 何? 北東の方角よりなにやら妖しげな気が漂うて来ておる・・・と、こう申しておるのか?

  ふむ・・・、これはひょっとすると、 “真祖” のあやつが動き出したのやもしれぬなぁ・・・・。

長:・・・・と、申されますと?

 

ジ:なれば、原因は恐らく妾にある。 7,000年間ずっと西の洞窟に こもりっ放しだったのに、妾は今ここにおる。

  それが悔しゅうてならぬのを妾は一人知っておる・・・・。

長:ま・・・・・まさか?!

 

ジ:うむ・・・・、妾と同じく 不死の道 を歩み、そして決別した・・・・。  そして、かつては“友”と呼び合ったこともあった・・・。

“真祖” 『カミイラ=エイデル=ゲーリング』

  じゃよ・・・。

  何事も・・・・・なければよいのじゃがな・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(行方知れずのエルムを捜索し続けるアダナ達。  しかし・・・その努力もむなしく、一ヶ月の時間が過ぎようとしていたのです)

 

ア:ちっくしょう!! なんだってんだ・・・ヱルムどころか、あいつにミッション依頼してきたヤツですら見つからないなんて!!

 

ジ:おぉ・・・・これ、どうした皆の者。 最近一つも顔を見せぬようじゃが・・・何かあったのかえ?

ア:あっ! ジョカりん!!  大変なんだ、エルムのヤツがここ一ヶ月も行方くらましたままなんだよ!!

 

ジ:な、何!!? エルミナール殿が!? (し・・・・しまった・・・! あやつ、妾に直接ではなく・・・こういった形で・・・!!)

  う、迂闊であったわ・・・・。(ギリ・・・)

 

エ:ジョカリーヌ・・・(ぼそ)                                              ジ:(ハッ!!)

エ:あなた・・・何か心当たりがおありのようね。 話して頂戴。

ジ:うむ・・・・よかろう。 こうなってしまっては、一刻の猶予もならぬ、長老室で話してつかわそう、ついてまいれ。

 

 

 

 

 

(一同長老室にて・・・・)

 

ジ:皆集まったようじゃな。  実は最近になって分かった事なのじゃが、なにやら北東の方角で不穏な動きがあるらしいのじゃ・・・。

 

ア:ちょ・・・ちょっと待ってくれジョカりん。 それと、今回のヱルムの失踪と何の関係が・・・・

ジ:まぁ、話は最後まで聞くがよい。 実はかの地は、妾が かつて封を施した 恐るべき或る者 の住まう場所なのじゃ。

 

  それに、依然皆で遺跡の魔方陣の綻びを修復しに行ったのを覚えておるな?

ア:あっ・・・あぁ。 確か・・・エリアとの『特別クラス』で行ったところだよな・・・。

 

ジ:うむ、そうじゃ。 そして、そこで何があったかも覚えておるな?

ア:えっ・・・え〜〜〜ッと???  待てよ??  確か・・・・

タ:そういえばあの時、一度オレ達に倒された“バルログ”が復活した・・・

ジ:そう・・・・たった一匹の コウモリの力によってな・・・・

 

ア:え・・・っ? ぅうおっ・・・(シュイィ・・・・ン)

ソ:たった一匹のコウモリに・・・お前が知りうる“恐るべき或る者”・・・。

まさか、あやつの事を言うているのではなかろうな、ジョカリーヌよ・・・。

 

ジ:(ソロン様・・・・) 残念ながらそのようじゃ・・・。

  よいか! 皆も心して聞くがよい! 恐らく、妾の予想が十中八九 正しければ、今回のこの騒動の主は

ヴァンパイア! しかもその中でも強大な力を持つとされる『真祖』じゃ。

そして・・・・その名は・・・

カミイラ=エイデル=ゲーリング!!

 

ソ:やはりな・・・・ワシのいやな予感が的中してしまった・・・。  で、どうする? このまま手をこまねいて待つというのか・・・?

ア:『なんだと!!? おい!コラ! 冗談じゃ・・・・』(シュイィ・・・・ン)

 

ア:・・・じゃねぇ!(うっ・・・つつ・・・)  万が一、ヱルムのヤツに何かあってみろ! 私はそいつを絶対許さねぇからな!!

ジ:アルディナ・・・そなた、それほどまでにエルミナール殿の事を・・・・。

ア:当たり前だろう! 友人として・・・どんな時にも支えてやれるのが本当の“友”なんじゃないのかい??!

 

タ:アルディナ・・・              エ:アダナ様・・・                ソ:『・・・・・。』             長:・・・・・・・。

 

ジ:・・・・ふふふ、エルミナール殿も、とんでもないのに好かれたようじゃの・・・・。

長:せ、先生!

 

ジ:ふふ・・・あいや、これは失敬。 じゃが、それも羨ましくもあるものよ・・・。 確かに、“友”とはかくもありたいものよな・・・。

 

長:(先生・・・。)                           ア:(ジ、ジョカりん?)                             エ:(ジョカリーヌ・・・。)

ソ:『(ジョカリーヌ・・・)』                                   タ:(ジョカリーヌ様・・・・。)

 

ジ:よし、なれば もうこれ以上議論を続ける余地などない。 これより『特別クラス』として出るぞ!

ア:そうこなくっちゃ!                                             タ:ふっ・・・・腕が鳴るぜ!!

エ:・・・・・・・。(ヱルムさん・・・大丈夫だといいんだけど・・・)

 

ジ:よいな・・・・後の事は頼んだぞ、坊主・・・。                                          長:お任せくだされ・・・・。

 

 

 

 

<<                                                              >>