第八話              U

 

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“真祖”カミイラに吸血されて、彼女の下僕と成り果ててしまったヱルム。

しかし、そんな彼女でも、“友”と呼ぶアダナの悲痛な叫びは、

果たして彼女の耳に届くのでありましょうか・・・?

 

そして・・・そんな彼女を“オモチャ”呼ばわりするカミイラ・・・。

この現状を目の当たりにして、憤りを隠せない者がここに約一名・・・・。

 

 

エ:許せない・・・人の 友情 や 命 を弄ぶなんて・・・・(ギリ・・・)

ジ:(エ・・・エリア殿・・・? この者は一体・・・??)

 

(そして、いまだ動揺を隠せないアダナに歩み寄るエリア・・・・)

 

エ:ダメです、いけませんよ・・・・アダナ様。 まだいくらでも手はあります。  ですから、まだ希望を棄てないで下さいね・・・。

ア:あ・・・ありがとう・・・エリア・・・。  でも・・・もういいんだ・・・。

  もう、あのヱルムは戻ってきやしない・・・。  だったらいっそ、この私の手で!!

エ:(アダナ様・・・。)                                                         タ:(アダナ・・・。)

 

ジ:然様か・・・。 そなた、それほどまでにエルミナール殿の事を・・・。 それもまた、いた仕方あるまいてのぅ・・・。

 

ア:けど・・・どうしよう、これから。  あいつら、また こっちに出っ張ってくるって言う確証はないんだろ??

 

ジ:なに、あてならある。 あやつ、カミイラなら恐らく、あすこにおるであろうて・・・。

 

ア:そういえばさぁ。 あのカミイラとか言うやつ、ジョカりんの“友人”だったんだろ? それがどうして今・・・

ジ:なに・・・些細な行き違いじゃよ・・・ほんの些細な・・・な。

エ:そう・・・・その 些細な行き違い が、時には大事に至ってしまうことだってあるのよ・・・。

 

ジ:(な・・・っ?! エ、エリア・・・殿?

  この者・・・先程の事と言い、今のこの・・・まるであの時、そこに居合わせたかのような物言い・・・。

  この方・・・・一体何者なのじゃ・・・・?)

エ:ジョカリーヌ・・・・さん。 今はそんな詮索をしている時ではないわ・・・。

  分かっているのでしょう? それなら、早く あそこ へ案内して下さらない?

 

ジ:う・・・うむ。 あやつ、カミイラがおるのは、恐らくは、この城の最上階にある、かつてのヴァンパイアの王の玉座がある自分の部屋。

  そこに間違いはあるまいて・・・。

エ:そう・・・それでしたら早くそこに参りましょう。

 

 

(そして・・・大広間から玉座の間まで、いくつかの関門を乗り越えていくアダナ達。

その中でも、一番の難所とされる、 玉座の間 近くの 小ホール まで、随一に活躍したのは、なんとこの男であったのです。)

 

ア:へッ! ザコ共がいくら出てこようたって無駄なんだよっ! うぉ・・・(シュイ・・・・ン)

ソ:覚悟するがよいわ!!

 

タ:な・・・っ?! オ、オッさんか??                                   ジ:ソ、ソロン様?

 

ソ:ふふふ、らしくもなく血が騒ぎ出してな・・・少々お節介だが・・・・何、かまうことはあるまい。

 

ア:『あっ! ちょっと!  なにすんのさ! ソロン!!』

ソ:{今はこのままにさせてもらおう。 何、悪いようにはせんよ・・・それでよかろう、アルディナよ・・・。}

ア:『な・・・っ、で、でもよぅ・・・・。』

ソ:{なぁに、隠しておいても分かっておる。 唯一友をなくしかかっておる、お前のその無念の気持ち。

  だが、今 それ を晴らすのはこんなザコ程度ではないはずだ、そうなのであろう? アルディナよ・・・・。}

ア:『うっ・・・・ぐぅっ・・・・』

 

ソ:ふふっ、大分物分りがよくなってきているようだな。  さて・・・久々に暴れさせてもらうとしようか・・・・。

  出でい! 『覇蝕の剣』!!

ジャキン!

 

ソ:我が魔剣・・・・身体の髄まで味わうがよい・・・

『サイクロン・スクイーズ』!!

(その回転によって竜巻を生じさせる技。

しかも、その竜巻は次第に真空波を伴い、周囲の敵に大打撃を与える事となる)

 

ザシュ・・・ザシュザシュザシュザシュ

      ザシュ・・・ザシュザシュザシュザシュザシュ

              ザシュ・・・・ザシュザシュザシュザシュザシュザシュ

ド・・ブオォォォ・・・・・ン

 

タ:す・・・すげぇ・・・流石は・・・                                           ジ:『魔皇』ソロン・・・・様

エ:ただの一撃で部隊を壊滅させるなんて・・・

 

ソ:フハハハハ! どうした! 物足りぬわ!!  ここに手ごたえのあるヤツはおらんのか!!

 

(己の感情あるがままに振るわれる 魔皇 の 兇剣 。  或る者はその剣の飛沫となり、或る者は魂毎 剣に喰われたと言います。

そして・・・・その様は・・・全ての魔を打ち払った際に浴びた返り血で真紅に染まった身体を、血振るいする様は、かつてのその姿を髣髴させた事でしょう。

そして、その一部始終を玉座にて垣間見、思わず戦慄してしまうカミイラ・・・・)

 

カ:な・・・何者だあの女は・・・。 この前とは持っておる得物が違うではないか!!?

  そ、それに・・・・よく見るとあの剣、魔剣『覇蝕の剣』? バカな・・・あれはあの男、ソロンの持ち物・・・・。

  それを・・・どうして一介のハンター風情が・・・??

 

ヱ:カミイラ様!! 今一度この私にご命令を!! 今度こそ、必ずや、この女の命を・・・!!

 

カ:・・・・そうあせるでない、エルミナール。 お前は私の可愛いマイペット、オモチャだ・・・・。

  今はこの場にて座して待つがよい・・・・。

ヱ:ははっ! カミイラ様のお言葉なればっ!!

 

 

(そして・・・この城一番の難所として知られる 小ホール 前・・・)

 

ソ:どうした事だ・・・、ここには何もおらぬではないか・・・・?

ジ:うむ、何もなくて当然なのじゃ。 この部屋は マジカル・ロック が施されておってな・・・・。

  それに、もしそれを解いて入れたとしても、この部屋には様々な仕掛けが、なされておって、妾達を襲う事は確かな事なのですじゃ。

 

ソ:ふむ・・・ならばこの辺でよかろう、返すぞ・・・・アダナよ。(シュィ・・・ン)

 

ジ:そして・・・今回あやつが仕掛けているであろう罠は、その中でも最も恐ろしいとされておる『ディメンション・フォール』じゃろう・・・。

ア:・・・・・なんだい? その・・・『ディメンション・フォール』・・・ってのは・・・・。

ジ:うむ、それはな・・・・

エ:一口で言ってしまえば、違う次元間が入り組んだ状態の事ですよ、アダナ様。   そんな事より、早く先を急ぎましょう・・・。

 

ア:(エリア・・・?)                                                           タ:(エリア・・・ちゃん?)

ジ:・・・・・・・・・。

 

(自分達でさえ、学院時に習ってもいないような事を、いとも簡単に口にしてしまうエリアに、驚嘆の色を隠せないでいるアダナとタルタロス・・・。

そして、ジョカリーヌが静かにエリアに歩み寄り・・・・)

 

ジ:エリア殿・・・そなた、もしや・・・・妾の洞窟の時と同じくして、あのチカラが目覚めようとしておられるのでは・・・?

エ:あら、流石ですね・・・ジョカリーヌ・・・・さん。

 あの時・・・あの直後に皆に施しておいた『記憶封鎖』の術も、あなたには通用しなかったようね・・・・。

 

ジ:では、やはり・・・・。

エ:今回ばかりはね、もう・・・・どうしようもないの。 これ以上、もうひとつの私を抑えられそうもない・・・。

  今の今まで眠っていた事なのにね・・・。  そういう意味では、あのカミイラって人に感謝しなくてはね・・・。(ふふ・・・)

 

(エリアの、その冷たい微笑に一抹の不安感を覚えるジョカリーヌ。 しかし、ここまでようやく辿り着いたのを、今更引き返すわけにも行かず。

半ば、諦めにも似た面持ちで扉を『開錠』するのです。)

 

ジ:                                                    永劫なる開かずの扉よ、我が魔力にて開放せよ

『開錠』!(アンセム)

 

ギ・ゴ・ゴ・ゴ・・・・

 

ジ:・・・やはりな、様々な時空間が入り乱れておる・・・。

ア:こりゃ・・・・下手したら全員どっか違う次元間に飛ばされそうだな・・・。

エ:大丈夫ですよ、アダナ様。  ここは一つ、ジョカリーヌ様に任せてみましょう?

 

ア:あぁ、そうだな・・・。  じゃ、ここは一つ頼むとするよ、ジョカりん。

 

ジ:う・・・・うむ。(さは言えども、これを解くのは難儀・・・・)

 

(すると、ここでエリアが、皆に分からぬように一歩退き、少し離れたところで、なにやら呪文を唱え始めたのです。)

 

エ:                                                    レックァー・サルリィ−ナ・ヴォンド・レ・ハ・フューズ

(我が身を取り巻く、大いなる精霊の力を持ってなされん)

『ヒュル・ヴェルト』!!

 

シュル・・・

ヒュル・・・

シュルル・・・・・

ヒュルル・・・・・・

ヒュ・・・・ルル・・・・ルルル・・・・・・

 

(すると、どうでしょう・・・それまで錯綜していた時限の数々が、一つとなり、やがては元の空間へと戻っていったのです)

 

ア:う・・・・わぁ・・・す、凄いや・・・流石はジョカりんだ・・・。

タ:今まで混沌としていたこの部屋が・・・・まるでウソのようだ・・・。

 

ジ:う・・・っ!!? (な・・・っ?! 妾はまだ何もしてはおらぬというに・・・ま、まさか??!)(クル)

 

 

(ジョカリーヌ、すぐさま後ろを振り返りエリアを見る。 すると、エリア小さく頷くだけで、あえて何も語る様子も見せなかったのです。)

 

ジ:(そうか・・・・そういうことであったのか・・・。 なれば、これからは全て賭けじゃ。

  これから先、いかなる事があろうが、全てはこの方に委ねるしか、他はなさそうじゃな・・・・。)

ア:どうしたんだい? ジョカりん。 急にエリアのほうを向いちまって・・・・。

 

ジ:いや・・・なんでもない。 これから先は、本当に引き下がれぬ事よ・・・・と、そう思うてな。

ア:あぁ・・・もしかすると、下手したら私も命を落とす羽目になるかも・・・・な。

ソ:『オィオィ、縁起でもない事をいわんでくれ・・・・。』

ア:・・・・・・。                                                       タ:(アダナ・・・・。)

 

ジ:では、参るぞ!!

 

 

 

 

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