<U>

 

(アダナ先程よりも、より沈痛な面持ちをして周りを心配させるも、ジョカリーヌが一喝してそれを打ち消します。

そして、 玉座の間 の扉を開けると、そこには一匹のヴァンパイアが佇んでいたのです。)

 

ギゴゴゴ・・・・

 

ア:あっ!・・・・あれは・・・                                           ジ:くっ! またしてもか・・・っ!!

タ:ヱルム・・・・                                                       エ:・・・・・。

 

ヱ:ふっ、ふふふ・・・・。 ようやくそこのトラップを潜り抜けてきたようね。

  そのご褒美に、この私 自らが相手をしてやろう・・・覚悟しなッ!!

 

ア:・・・・なら・・・                                             ヱ:(うんっ?!)

 

ア:なら・・・この私が相手だよ。 それで・・・文句はないだろう?

ヱ:お前・・・先程の魔剣使いか・・・いいだろう、面白い相手になってやろう。

 

ア:(ヘ・・・ッ) 出て来い! 我が剣『グラム』よっ!!

ジャキンッ!

 

ヱ:う・・・・ん? 何だ、お前・・・・先程の魔剣はどうした!!                 ア:残念ながら今そいつは『お休み中』だよっ!!

ヱ:ならば、お前如きに関わっている暇などない、どこへやったのだ・・・?

 

ア:へンっ! 企業秘密だよっ!!   おおりゃあー!

ブウゥゥン・・・・

 

(アダナ、情け容赦なく斬りかかるも、ヱルム ひらりとかわして反撃体制に入る)

 

ヱ:フン・・・力だけはあるようね。  でも、目くらっぽうじゃあ 私は斬れやしないわよ・・・・

ア:・・・・大きな・・・・お世話なんだよっ!!

 

ジ:(うんっ?! アルディナの様子がおかしい・・・あれではやってくれと云わんばかりではないか・・・・??)

タ:おいっ! アダナ!!  自暴自棄になるなっ!!                       エ:だめぇっ! アダナ様・・・早まっては!!

 

 

ア:(皆・・・) ヘ・・・ッ! 友達一人救えないなら・・・死んだ方が マシ なんだよっ!!!

ヱ:な、何を・・・・世迷い事を!!

 

ア:(・・・・よしっ! 今だっ!!)  “分け身”!! バシュー・・・                             ソ:な・・・っ! アダナ・・・・

ア:後の事は頼んだよっ! ソロン!!   うおおおおっ! 喰らいなっ!

ドブォォォオオン・・・!!

 

(アダナ『グラム』を大振りするも、所詮 その気 になれない太刀筋は、ヱルムの体を掠るはずもなく、虚しく空を切ってしまいます。

ですが・・・・逆に、ヱルムが放った下から突き上げる掌は、容赦なくアダナの体を貫いてしまいます・・・・。)

ズッ・・・・ドォッ・・・・!

 

ア:ぐ・・・・はぁっ!

ヱ:“アーク・エネミー”!!  バカめが・・・スキだらけなんだよっ!!

 

ア:うっ・・・・・うぅ・・・。  よ、ようや・・・く・・・・つ、つか・・・まえた・・・・・ぜ・・・・。(ブルブル・・・)

 

(すると・・・・アダナ、懐よりあの小箱を開け、紅の石“ガーネット”をあしらえたペンダントを、かつての友の首にかけようと試みるのです・・・・が)

 

ア:うっ・・・うぅ・・・ち、ちくしょう・・・。(ブルブル・・・)  て、手が・・・・震えちまって・・・・(ブルブル・・・)

  う、上手く留められや・・・・・しな・・・・い・・・・(ブルブル・・・)

  ゴ・ゴフッ・・・(ううっ・・) だ・・・・ダメだ・・・・目・・・・も、かす・・ん・・・・・・・・

 

ズル・・・・・ドサッ!                                                    チャリ・・・・・ン

 

エ:ア・・・・アダナ様ーッ!!  い、いやぁっ!! し、死なれてはぁっ!!

 

ソ:ムッ! い、いかん! 再構築されぬではないかッ!!                   ジ:あ・・・っ! ま、待たれよ、ソロン様!!

ソ:ええい! 何をするジョカリーヌよ!  邪魔だていたすなっ!!         ジ:いや・・・それより見られよ、エルミナール殿を・・・

 

 

(そう・・・・そこには、釈然としないヴァンパイアが、血塗れのハンターを眼下に、ただ呆然と佇んでいたのです)

 

ヱ:・・・・・。

 (何なんだ・・・・・? この・・・・感覚は・・・・。 私は・・・・カミイラ様の憎むべき相手を打ち倒した・・・・のだろう?

  それなのに・・・・何なの? この、言いようのない・・・・後味の悪さ・・・・)

 

キラ・・・ッー☆

 

ヱ:うん・・・? これは・・・・?(チャリ・・・・)  ペンダント・・・? しかも、私の瞳の色と・・・・

 

エ:そうよっ! これを・・・・これをあなたの首にかけるために・・・・アダナ様は、あなたの今の一撃をあえてお受けになったのよ!!

  それなのに・・・・それなのに!!

 

 

(この少女の・・・・エリアの涙ながらの訴えが効いたのでしょうか。 それとも、命を賭した友の行動がそうさせたのでしょうか。

奇跡は起こったのです。)

 

 

ドクン・・・・

ヱ:あ・・・・・。

 

ドクン・・・・!

ヱ:あぁ・・・。

 

ドク・・・・・ン・・・・ッ!!

 

 

 

ア:『あのさぁ・・・私から一つ提案あるんだけと・・・・いいかなぁ?』

ヱ:『はぁ・・・・なんでしょう??』

ア:『いや・・・あ、あのさぁ・・・。 あんたの親友第一号に私がなっても・・・いいかなぁ・・・・なんて。』

 

 

ア:『あんたの親友第一号に私がなっても・・・いいかなぁ・・・・なんて。』

 

 

 

 

あんたの・・・・

親友第一号に・・・・

 

私が・・・・

なっても・・・・

 

いいかなぁ・・・・

なんて・・・。

 

 

 

 

ヱ:あ・・・・あ、あああ!  わ・・・私・・・・なんてとんでもない事を!  ア、アダナさん・・・・アダナさんッ!!(ゆさゆさ・・・)

 

(ヱルム、アダナに抱きつき、彼女を揺さぶるのですが・・・・既に変わり果てたアダナからは返事があるわけでもなく・・・・)

 

ヱ:うわあぁぁぁ・・・・

ソ:えぇい! どけぃ!! (く・・・っ!) ま、まずい。 ふんっ! ふんっ!

 

(ただ慟哭するだけのエルムに業を煮やしたのか、ソロン 心停止をしてまだ間もないアダナの心臓の回復を試みるべく、心臓マッサージを始めたのです。

すると・・・・)

 

トク・・・・      トク・・・・・・

 

ソ:ふぅ・・・僅かながら動きだしたようだな。  済まぬがジョカリーヌよ・・・。

ジ:うむ、手は尽くしてみましょう。

永劫なる氷壁よ、我が求めるは永遠なる凍結なり

『サナトス』!

 

パキイイィィン・・・・パキキ・・・

 

ジ:これでいくらかはもてるでありましょう・・・が。

 

ソ:問題は・・・・。                                                     ジ:そう・・・これからですじゃ。

ヱ:あぁ・・・・アダナさん・・・・ご、ご免なさい・・・・。

 

(ヱルム、ジョカリーヌによって創り出された 氷の棺 の中の、アダナにすがりより、ただ・・・ただ・・・泣きはらすばかりなのです。)

 

ソ:おい、タルタロス・・・。                                             タ:なんだ。

 

ソ:これから万が一の事があるとも限らん・・・・エルミナールのヤツを見張っておれ・・・。

タ:ンな・・・・なんだ・・・と?

ジ:済まぬが、タルタロス殿、そうしてはもらえぬであろうか?

  これからカミイラと一戦 交えようと言う時に、エルミナール殿に自暴自棄になられては、こちらとて敵わぬのじゃよ・・・。

 

タ:分かりました。 そういう事なら・・・・最善を尽くしてみます。

 

 

ソ:それより・・・・ジョカリーヌよ。 あの娘は、エリアはどうしたというのだ?  先程より震えておるようだが・・・?

ジ:あのお方は・・・、今 凄まじいまでの怒りに打ち震えておられるのじゃ・・・。

  カミイラが妾に仕掛けた復讐劇にな・・・。

 

ソ:なん・・・だと?  あの・・・・お方??

ジ:うむ・・・、おおよその事は検討がついてはおりますれど、いまだ その確証がもてませぬ。

  じゃが、これだけは確実に言える・・・エリア殿は、ここにおる中でも妾達に匹敵、いやそれ以上の力を持っておられるのじゃ!!

ソ:(なんだと・・・) ・・・・・・うんっ?! 現れたぞ・・・。

 

 

 

 

<<                          >>