第九話          

 

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眩しい陽光が目に差込み、朧げながらも目を醒ますアダナ

何一つとして変わりのない光景

そこには普段通りの日常があったのです。

 

 

そう・・・・あの時が来るまでは・・・

 

 

(すっかり眠気を妨げられ、眠い目をこすりながら時計を見るアダナ)

 

ア:ん・・・・・・ん゛?! あ゛〜〜〜っ!!

  し・・・しぃまったぁ・・・大遅刻じゃんかよぅ!  ど、どうしよ〜〜、まぁたヱルムのヤツにどやされっぞ・・・・。

  

(はっっ!)こっ・・・こうしちゃあおれん!!

 

(急ぎハンターの服に仕替え、台所に向かうアダナ・・・・)

 

エ:あっ、お早うございます、アダナ様。

 

ア:あぁん・・・もぅ、どうしよ・・・・。 あっ! エリア、ちゃんと起こしといてくれよぅ・・・。

エ:なに言ってるんですか、アダナ様。 私が起こしに言った時・・・・。

 

   “う゛っ・・・・う゛〜〜ん・・・・あともう十分・・・!”

 

  って言ってらしたじゃあないですか・・・。

 

ア:あ゛っ? い゛っ? う゛っ? え゛っ??  ・・・・しょっかぁ・・・・ごめんエリア、お前が懸命になって起こしてくれてたのになぁ・・・。

  ぅわ゛っ! もうこんな時間かよ・・・・。  もぅいいや・・・五分遅れようが、一時間遅れようが同じ事だ・・・・。

 

エ:こちらこそ申し訳ありません・・・。 私ももう少し無理して起こしていれば・・・。

ア:いや・・・いいんだよ、エリア。  お前が責任感じるこたぁないんだ・・・。

  (それより・・・コエぇ〜〜のはヱルムのヤツだな・・・こりゃ鞭たたき百は間違いねぇだろ・・・・) (はぐっ・・・)

 

エ:アダナ様・・・。 では、もう少ししたらお片付け終わりますので、久しぶりに私と一緒に行きませんか?

ア:そうだな、そうすっか・・・。

 

 

(自分が慕う者と、一分一秒でも一緒にいられる・・・・それだけでもエリアは十分倖せなようです。

ところが、二人が『ギルド』についてまもなく、事態の急変に気付くのです。)

 

 

ア:(うんっ?!)・・・・どうしちまったんだ? こいつは・・・・

(ここが)厳戒態勢のBになっているじゃあないか??!

  一体何が・・・。

 

  あっ! おい! ちょっと!!  こりゃあ一体何があったんだ??!

 

ハ:あっ・・・あぁ、なんでもここに化け物が現れたんだとよ!!

ア:あぁ? 化け物・・・・って、そいつはジョカりんのことじゃあないのか??

 

ハ:バッ・・・・バカいえ!! あの人なんかじゃあねぇよ! 別の何かが現れたんだよ!!

ア:(え・・・っ)ど・・・どこへ?

 

(そう・・・・ここの一体どこに“厳戒態勢B”までになるような化け物が現れたというのでしょう・・・・。

ここには並大抵の化け物は近寄れないはず、ジョカリーヌがここを創設して以来、破られた事のない結界がどうして・・・・?

 

そういう奇妙な疑問に駆られながらも、現場に近付くにつれ、またも奇妙な事を耳にするのです。)

 

 

ハ:なぁ・・・おぃ、何でもここに入り込んできたのは、ハンターの格好してたみたいだぜ??

 

 

(なんと・・・・侵入者は、ハンターの格好を模しているものだというのです。

その事実に行き当たり、とある嫌な事実がアダナの脳裏をよぎるのです。)

 

 

ア:まっ・・・・まさか・・・・あいつが??

 い、いや・・・そんなことはない、そんなの・・・思い過ごしに決まっている!!

 

 

エ:あの・・・アダナ様。                                      ア:うん? どうした? エリア。

 

エ:あの・・・私、先にジョカリーヌ様のところへ行ってきてみます。

ア:あ・・・・あぁ、そうだな、そうしてくれ。 じゃ、頼んだぞ!!

エ:はいっ!!

 

(どうやらエリア、この事態の収集のため、ジョカリーヌのところへ指示を仰ぎに向かうようです。

ですが・・・・彼女、別の思惑もあった・・・・・ようです。)

 

 

 

 

 

(そして、今回の事の発端は、ここの29Fにある、ミッションを受ける場所にて起こったようなのです。

一人のハンターを取り巻くようにして、身構えるハンター数人と、職員達。

まさに・・・・一触即発・・・・といった状況の下で、アダナは見てしまったのです・・・・。

 

友の・・・・・変わり果てた姿を・・・・。)

 

 

ア:どこだ・・・・(ぅんっ?!)あっ、いた・・・・あぁ・・・・あれは・・・!!

 

 

(そう・・・見覚えのある紫色の長髪、紅の瞳、そして・・・・鞭。

その者こそ、誰あろう、あのヱルムだったのです。

 

そして・・・・最悪の事態に・・・・自分の不安は見事的中してしまったのです・・・・。)

 

 

ア:(そ、そんな・・・・くっ!) おぃ、ちょっとそこ・・・・通してくれ。

ハ:あっ! アルディナ!   危ないぞ・・・・どこへいく!!

 

 

ヱ:えっ・・・?  アルディナ・・・?  あ・・・ッ、アダナさん!(ほろ・・・(ヱルム思わず落泪)

 

ア:(ヱルム・・・)

 おぃ、一体なんだってんだ? 自分達の仲間を取り囲んだりして・・・・。

 

ここはいつからそんな風になっちまったんだ? ぇえ?!

 

ハ:なッ・・・、バカ! そいつをよく見ろ!

 そいつはエルミナールじゃあない! ヴァンパイアなんだぞ?!

 

 

(そう、彼女の口許は、何故かしら朱に染まり、その口からは鋭い犬歯が二本・・・。

紛う事なき吸血鬼“ヴァンパイア”がそこにいたのです・・・・。)

 

ア:なぁ・・・・お前・・・・ヱルム・・・・だよなぁ。

ヱ:ご免なさい・・・・・ご免なさい・・・・・。(ポロポロ・・・)

 

ア:おい、しっかりしとくれよ、ただ泣いて謝ってるだけじゃわかんないだろ?

ヱ:ご免なさい・・・・・、じ、実は・・・・。

 

 

 

 

 

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