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(どうやら、最悪の事態は収まったようです。
・・・・が、未だ頭が混乱して、事態がよく飲み込めていない者。
アダナにエリアとジョカリーヌが歩み寄ります。)
エ:アダナ様・・・・。
ア:エ、エリア・・・。 こっ、これは・・・・一体どういう事なんだい ?
ジ:お主・・・。 まぁ、覚えておらぬのも無理はなかろうが・・・。
実はの、アルディナよ、そなたは一度死んだのじゃ。
ア:えぇ? じ・・・じゃあ、やっぱり?? で・・・でも、私・・・そんなに・・・
ジ:ふふ、未だに信じられぬようじゃが・・・・。
とある方のご尽力のお蔭で、お主はなれたのじゃよ、この妾を凌ぐ程の者に・・・・な。
ア:ええっ?! で、でも・・・私そんなにパラメータの方高くないし・・・、それに リッチー だ、なんて・・・・。
レブやゾンビーなんかの間違いじゃあないのかい?
ジ:その点なら心配は要らぬ、妾もこの両の眼で、しっかりと拝ませていただいたからな・・・。
お主等二人、不死の頂点を極めた瞬間を・・・・・な。
ヱ:ええっ?! そ・・・・それ・・・って、私も・・・なんですか??
ジ:エルミナール殿、お主は、一度カミイラに噛まれて吸血鬼になった者。
故にやり直しなどきかぬ・・・。
じゃが、お主の場合は、一ランク上に昇華したのじゃよ。
ヱ:え・・・・、そ、それでは・・・・。
ジ:うむ、お主はヴァンパイアの中でも、魔力が一番強いとされる 真祖 となったのじゃ。
(なんと言うことでしょう・・・。 ヱルムは ヴァンパイア の“真祖”、
そしてアダナは 死せる賢者 “リッチー” になったというのです。
一体いつから・・・・?
そう、この謎解きこそ、前回のエリアのあの呪法にあったのです。
実は、あの呪法、死した肉体に命を与える・・・という、
それは『不死創生』(ビカム・アンデッド)や、『蘇生』(リザレクション)とはなんら変わらないものの
ただの一点だけそれらとは違っていたのです。
それは・・・?
それは・・・・肉体は死しても、ココロは滅せず・・・ということ・・・・。)
ヱ:そう・・・だったの・・・ですか・・・・。
ジ:そう・・・気を落とすことはない。
お主さえ気をしっかり保っておれば、血の渇きを覚える事などないじゃろう。
それより、エルミナール殿、お主・・・・今日ここへ来るとき、徒歩(かち)で来たのかえ?
ヱ:はい、普通に・・・あっ! そ、そういえば・・・私・・・!!
ジ:(ふふ・・・)そう言う事じゃ、陽光というものは不浄の者の最大の敵。
それをお主等二人はものともせずに来た。
それが妾をも凌ぐ力の所以じゃ。
ア:あっ・・・・、そういやぁ、真昼間にジョカりん見ること少なかったよなぁ。
へぇ・・・・なんだか、私ら急に無敵になった気分だなぁ・・・。
ソ:ふふ、これだからバカは扱いやすいというものだ。
ア:あ゛ッ! なんだとぉ? ソロン!!
ソ:事実を言ったまでだ、悪いか?
ア:・・・ったりめーだぜ!?
大体びっくらこいたよ・・・いきなり、私に向かって剣を振り下ろすんだもんなぁ。
まぁだ心臓バクついてる感じがするぜ・・・・・マイったよ・・・。
ソ:だ が、そうせねば信じはしなかったろう、感謝ぐらいしてもらいたいものだな。
ア:ちぇ・・・結局これだもんなぁ・・・。
(この地上に存する者の頂点に立てるまでの力を有するようになったヱルムと、アダナですが・・・。
本人達の自覚はまちまちのようです。
この先、彼女達はうまくやっていけるのでしょうか・・・・?)
――――了――――